PINダイオードスイッチを備えた日本のCDMAセルラバンド用のMAX2269パワーアンプ

2003年07月10日
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要約

このアプリケーションノートは日本マーケット向けセルラCDMAバンド用のパワーアンプを紹介しています。ダイオードスイッチは低出力時の性能向上のために使われます。PINダイオードがスイッチした場合、+16dBm時でPAEが向上し、ACPRが-50dBc以下となります。データは、+27dBm、+16dBm、および+13dBm時において、887MHz、906MHz、および925MHzを取得しました。

追加情報

海外向けのCDMAアプリケーションについては、「PINダイオードスイッチを備えたCDMAセルラバンド用のMAX2266パワーアンプ」を参照してください。

はじめに

MAX2269パワーアンプは、日本のセルラ周波数帯域で動作するIS-98ベースのCDMAセルラ電話用に最適化されたものです。中間出力電力の効率を最適化したことにより、中間電力での効率が向上し、結果として、標準的な都市部における平均消費電流が低減され、通話時間が長くなります。

MAX2269の標準評価ボードでは、SPDTスイッチを使用しています。このボードは、+27dBmの出力電力で29%のPAE、+17dBmの出力電力で17%のPAEが得られています。ただし、今回のアプリケーションでは、SPDTスイッチの代わりにPINダイオードスイッチを使用しています。PINダイオードスイッチに変更することにより、最大出力電力で得られる電力付加効率(PAE)が向上します。MAX2269でPINダイオードスイッチを使用することにより、中間及び低出力電力レベルでもPAEが確保されます。

PINダイオードスイッチ

このアプリケーションで選択したPINダイオードは、Alpha IndustriesのSMP1321-079です。図1に、PINダイオードスイッチの回路図を示します。MAX2269が高電力モードのとき、/SHDN = ハイレベル、PWR = ハイレベルで、PINダイオードスイッチはオフに切り替わります。この状態で、POUTはハイインピーダンスになります。次に、MAX2269が低電力モードのとき、/SHDN = ハイレベル、PWR = ローレベルで、PINダイオードスイッチはオンに切り替わります。L1とL3はチョークコイルで、L2は、PINダイオードの内部容量との並列共振に必要となります。PINダイオードの順電流は、R1により決定されます。

Figure 1.
図1

図2は、出力マッチングの一部を示しています。低電力経路が高電力経路に接続されていない場合、MAX2269の性能は、MAX2268の性能とほとんど同じになります。MAX2268は、35%を超えるPAEを達成します。低電力経路のアイソレーションが不良の場合、PAEとACPRは低下します。高電力モードで、高性能を得るためには、低電力経路からの良好なアイソレーションが必要になります。

図2
図2

性能

表1に、性能の結果を示します。3種類のデータ、すなわち最大出力電力(+27dBm)、切り替えポイント(+16dBm)、及び中間出力電力(+13dBm)があります。PINダイオードスイッチを使用しているときには、2つの出力間のアイソレーションが大きいため、最大出力電力におけるPAEは向上します。最大出力電力では、ACPRは-47dBcを超え、PAEは33~35%です。中間出力電力では、ACPRは-49dBcを超え、PAEは16dBmで18%、13dBmで11%になります。アイドル電流は36mAです。

表1. (VCC = 3.5V、入力信号 = CDMAの上り規格)

Frequency (MHz) Gain (dB) ACPR (885kHz) (dBc) ACPR (1.98MHz) (dBc) PAE (%) Idle Current (mA)
High-Power Mode @ POUT = +27dBm
887 26.88 -47.70 -59.67 33.37
906 26.68 -47.86 -60.71 34.20 103
925 25.82 -47.11 -60.43 35.09
Low-Power Mode @ POUT = +16dBm
887 28.12 -49.15 -59.26 18.95
906 27.72 -50.94 -60.98 18.34 36
925 27.06 -53.09 -62.23 17.49
Low-Power Mode @ POUT = 13dBm
887 28.22 -60.66 -64.92 11.40
906 27.76 -60.88 -65.15 11.17 36
925 27.06 -59.42 -65.34 10.75

高電力モードから低電力モードへの切り替えポイントが+16dBmの場合に測定した性能を図3及び図4に示します。CDMAシステムの場合、通常の動作状態で通話時間を長くするためには、中間出力電力でのPAEが極めて重要となります。MAX2269のモードを+16dBmで切り替えた場合、中間電力でのPAEが向上し、ACPRは-50dBcを超えます。

Figure 3.
図3
図4

図5. テストのセットアップ
図5. テストのセットアップ

図6. 回路図
図6. 回路図

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