ソーラー・パネルの電力出力を最大限まで高めるテクニック
最近発表された2つの記事、「Energy Harvesting With Low Power Solar Panels(低電力ソーラー・パネルによるエナジー・ハーベスティング)」と「Solar Battery Charger Maintains High Efficiency at Low Light(低照度で高い効率を維持する太陽電池チャージャ)」には、低電力のソーラー・パネルで効率的に発電を行う方法が述べられています。これらの記事は、ともに最大電力と呼ばれる概念に触れています。ソーラー・パネルに関する場合、これは、ソーラー・パネルの電圧を低下させることなく、できるだけ多くの電力をパネルから取り出す能力を表します。ソーラー・パネルと電力について論じる場合は、最大電力点追従(MPPT)や最大電力制御(MPPC)といった用語がよく使われます。これらの用語の定義と意味について、もう少し詳しく見てみましょう。
図1から分かるように、ソーラー・パネルの出力電流はパネル電圧に対して非線形に変化します。短絡状態では、出力電圧がゼロなので出力電力もゼロです。オープン・サーキット状態では、出力電流がゼロなので出力電力もゼロです。ほとんどのソーラー・パネル・メーカーは、最大電力時のパネル電圧(VMP)を指定しています。この電圧は、通常、パネルのオープン・サーキット電圧(VOC)の約70~80%です。図1では、VMPが32V弱、IMPが4.5A弱のときに、最大電力が140Wをわずかに下回る値となっています。

図1. 最大電力を示すソーラー・パネルのI-V曲線
ソーラー・パネルを使用するすべてのシステムは、そのパネルを最大電力出力で使用するのが理想です。これは、ソーラー・パワーを使用するバッテリ・チャージャについて特に言えることで、できるだけ多くのソーラー・エネルギーをできるだけ短い時間で取り込み、保存することが目標として想定されています。言い換えると、いつ、どの程度のソーラー・パワーを利用できるかを予測することはできないので、エネルギーを使えるときにできるだけ多くのエネルギーを利用する必要があります。
ソーラー・パネルをその最大電力点で動作させる方法は数多くあります。最も簡単な部類に入る方法の1つが、ダイオードを介してソーラー・パネルにバッテリを接続する方法です。このテクニックは、「低電力ソーラー・パネルによるエナジー・ハーベスティング」に述べられています。この方法は、パネルの最大電力出力電圧をバッテリの比較的狭い電圧範囲に合わせることに依存しています。利用できる電力レベルが非常に低い(約数十ミリワット未満)場合は、おそらくこれが最善のアプローチです。
これと対極にあるのが、完全な最大電力点追従(MPPT)アルゴリズムを実装する方法です。MPPTアルゴリズムにはさまざまな種類がありますが、そのほとんどは、ソーラー・パネルの動作範囲全体をスイープして最大電力の発生点を見つけるための、何らかの能力を備えています。LT8490とLTC4015は、この機能を実行する集積回路の例です。フルMPPTアルゴリズムの利点は、ローカルな電力ピークとグローバルな電力最大値を区別できることです。マルチセル・ソーラー・パネルでは、部分的に日陰になった状態のときに複数の電力ピークが生じる可能性があります(図2を参照)。通常、本当の最大電力動作点を見つけるにはフルMPPTアルゴリズムが必要です。このアルゴリズムは、ソーラー・パネルの出力範囲全体を定期的にスイープして最大電力が得られる動作条件を確認することにより、これを実現します。スイープの完了後は、回路がパネルを強制的に最大電力点に戻します。これらの定期的なスイープの間は、MPPTアルゴリズムがこの動作点を連続的にディザして、パネルがピーク値で動作するようにします。

図2. 部分的に日陰になったソーラー・パネルに現れた複数の最大電力点
以上2つの中間的なアプローチの1つが、リニア・テクノロジーが最大電力点制御(MPPC)と呼ぶ方法です。このテクニックは、ソーラー・パネルの最大電力電圧(VMP)は、通常、入射光が変化してもそれほど大きく変化しないという事実を利用します(詳細は「低照度で高い効率を維持する太陽電池チャージャ」を参照)。したがって、簡単な回路を使い、電圧を固定してほぼ最大電力でパネルを動作させることができます。分圧器を使ってパネル電圧を測定し、入力電圧が設定レベル未満に低下した場合は、設定電圧レベルを維持できるようになるまでパネルの負荷を減らします。この機能を内蔵した製品には、LTC3105、LTC3129、LT3652(HV)、LTC4000-1、LTC4020があります。LT3652とLT3652HVのデータシートではMPPCではなくMPPTという言葉が使われていますが、これは主に、LT3652がリリースされた当時はリニア・テクノロジーがまだMPPCという言葉を使っていなかったことが理由です。
MPPCとLTC3105に関する最後の注意点は、LTC3105が0.25Vという極めて低い電圧で起動できる昇圧コンバータだということです。このためLTC3105は、「1S」ソーラー・パネル(つまり、多数の太陽電池が並列に配置されていても、出力電圧が1つの太陽電池の出力電圧であるようなソーラー・パネル)の出力電圧を昇圧するのに特に適しています。1Sソーラー・パネルの最大電力点は1つだけで、電力ピークが複数になることはありません。このシナリオでは、複数の最大点を区別する必要はありません。
まとめると、ソーラー・パネルをその最大出力動作条件で動作させる方法は数多く存在します。パネルは、そのパネルの最大電力電圧に近い電圧範囲を持つバッテリに(ダイオードを介して)接続できます。また、グローバルな最大値を見つけるための定期的なグローバル・スイープと、その最大値を維持するための連続的なディザを含む、フルMPPTアルゴリズム(例えばLT8490)を使用できます。LTC3105、LTC3129、LT3652(HV)、LTC4000-1、LTC4020など、その他の製品は、入力電圧レギュレーション法(MPPC)を実行し、固定動作電圧でソーラー・パネルを動作させます。リニア・テクノロジーは今後数カ月のうちに、ソーラー・パネルをその最大電力点で動作させる、もう1つのテクニックを発表する予定です。ご期待ください。
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