説明
このアーティクルはマキシムの「エンジニアリングジャーナルvol. 64」(PDF, 1.99MB)にも掲載されています。
はじめに
リチウムイオン(Li+)バッテリは、他種類のバッテリよりも化学的にデリケートで、荒い使い方をすると痛みやすいという特性があります。そのため(Li+)バッテリ用チャージャは回路が複雑で、電流と電圧を高い精度で設定できるようになっています。この精度が低いと、バッテリが不完全充電となる、バッテリ寿命が縮む、バッテリ性能が低下するなどの問題が発生します。
Li+チャージャではこのような要件を満足しなければならないことから、設計したチャージャについてその運用動作の全域について段階的に細かく試験をする必要があります。しかし、Li+チャージャに本来の負荷(つまりLi+バッテリ)を接続した状態で試験を行うのは時間がかかりすぎ、ラボ環境や製造環境においては非現実的です。このアプリケーションノートでは、このようなプロセスをシンプルにする方法として、バッテリを接続せずにLi+バッテリチャージャを実践的かつ短時間に試験できるバッテリエミュレーション回路を紹介します。
CC-CV充電
Li+バッテリの充電プロセスでは、まず第1段階において中程度の精度を持つ定電流(CC)充電を行い、次に第2段階の高精度定電圧(CV)充電を行う必要があります。
図1は、Li+バッテリチャージャに用いられる最新のCC-CV集積回路(MAX1737)のV-I特性です。民生品のLi+バッテリチャージャには、このようなICが必ず使われています。図1では、CC領域(バッテリ電圧が2.6V~4.2Vの範囲)とCV領域(4.2V)が明確に図示されています。
図1. MAX1737のV-I曲線で、Li+セルチャージャでは一般にこのような特性が使用されます。
バッテリ電圧が2.6V以下の領域では、また別の充電方法を使用します。2.6V以下まで電圧が下がったバッテリに充電する場合、チャージャは、バッテリが2.6Vになるまで充電電流を小さく抑えて充電します(「コンディショニング電流」と呼ばれます)。これは過放電したLi+バッテリの特性に合わせた安全対策です。VBATT < 2.6Vの状態で急速充電電流を流すと、バッテリが短絡状態となり、元に戻らなくなってしまいます。
CCからCVへは、±40mVの範囲で遷移させる必要があります。遷移ポイントの許容誤差がこれほど小さい理由は、CVへの遷移時の電圧が低すぎるとバッテリが完全充電されず、逆に高すぎるとバッテリの有効寿命が短くなるからです。
充電プロセスの最後では、バッテリが完全充電されたことを検知し、チャージャを切り離すかシャットダウンする必要があります。このためには、CV段階の充電電流を検出し、それが、いわゆる急速充電電流あるいは最大充電電流と言われる値の一定割合(10%以下とすることが多い)まで低下したら充電プロセスの終了処理を行います。
この記事に関して
製品
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