AC電源ラインの実効値を測定する簡単な回路
AC信号の実効値は、ある負荷における未知のAC信号の発熱量を同一負荷における既知のDC信号の発熱量と比較した値で、その負荷で同じ熱量を発生させるために必要なDC量に等しい値です。負荷で消費される電力が等しい場合、既知のDC電圧は未知のAC信号の実効値に等しくなります。例えば、実効値1VのAC電圧を抵抗加熱素子に加えると、1Vの直流電圧を加えた場合とまったく同じ熱量が発生します。
数学的には、電圧の実効値は以下のように定義されます。
この式は、平均値がゼロの統計的信号の標準偏差を表します。
より単純な関係には次のようなものがあります。
一般に、実効値の測定には、任意の入力波形の実効値に等しいDC出力を提供するRMS/DCコンバータが必要です。測定するAC信号の範囲は非常に広くなる場合もありますが、残念ながら標準的なRMS/DCコンバータの入力範囲は数ボルト程度です。したがって、RMS/DCコンバータを使用できるようにするには、この大きな入力電圧をスケールダウンしなければなりません。例えば家庭用電源の実効値を測定するには、回路を追加して、RMS/DCコンバータの入力範囲に合った適切な値にAC信号を減衰させる必要があります。このアプリケーションは、電灯線などに使われている大きなAC信号の実効値測定における問題を解決します。
図1において、ゲイン1/25に設定されたAD628プログラマブルゲイン・ディファレンス・アンプは、電源信号をスケーリングした後、その信号をAD8436 RMS/DCコンバータに加えます。コンバータが受け入れられるのは両電源電圧から0.7V以内の電圧のみです。この差動アンプのコモンモード入力範囲と差動モード入力範囲は±120Vで、高電圧の電灯線の分圧に適しています。AC波形における実効値の正確なDC相当値はRMS OUTに出力されます。60Hz 330Vacp-pの家庭用電灯線の電圧、差動アンプからのスケーリング出力、RMS/DCコンバータのDC出力を図2に示します。

図1. 電源ラインの実効値を測定する簡単な回路

図2. 入力波形、中間波形、および出力波形
流れる電流は回路全体でわずか2mAになるよう設計されており、低消費電力アプリケーションに最適です。信号が400Vp-pを超える場合は、図に示す150kΩの外付け入力抵抗を大きくすることで対応できます。入力信号電圧が電源電圧より大きくなってもデバイスに損傷を与えるおそれはないので、電源電圧のない状態でも入力信号を加えることができます。更に、最大±18Vの両電源で短絡保護システムを作動させることができます。
この回路は、複雑なAC(またはAC+DC)入力信号の真の実効値を計算して、これに相当するDCレベルを出力します。波形の真の実効値は信号の電力を表す指標なので、平均整流値よりも有用な量です。ACカップリングされた信号の実効値は、その標準偏差でもあります。
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