過電圧トランジェントに対する電流検出アンプの保護
要約
このアプリケーションノートは高電圧スパイクやトランジェントから低電圧電流検出アンプを保護する方法を述べています。そのような状態は車載のカーバッテリ動作において、頻繁に現れ、ロードダンプ状態と言われます。
同様の記事がElectronic Designの2007年10月25日号に掲載されています。
電流検出アンプの中には頻繁に過電圧に直面するものがあります。例えば、車内のバッテリ放電電流を監視する電流検出アンプは、負荷がバッテリから切り離されるときに発生し、オルタネータの出力に現れる誘導的なスパイクや過電圧の高電圧ロードダンプパルスに耐えなければなりません。これらのパルスがアンプのコモンモード電圧を超える場合、アンプを保護するための外付け回路を用意しなければなりません。
図1は保護回路の例を示し、ツェナーダイオードZ1とZ2、抵抗R1とR2、およびダイオードD1で構成されます。アンプのMAX4372のコモンモード電圧範囲は0~28Vであり、それは6V~18Vまで変化する車載バッテリ電圧の測定に、十分に余裕があります。しかし、ロードダンプ電圧は35Vにも達して、0.5秒も持続することがあり、それはアンプの入力電圧の絶対最大定格の30Vをはるかに超えています。したがって、アンプは外部から十分に保護されなければなりません。
図1. この電流検出アンプは30Vを超えるコモンモード電圧に適した保護回路を備えています(上部の回路部品)。
入力保護抵抗のR1とR2に異なった値(それぞれ2kΩと1kΩ)を使用することによって、入力オフセット電圧への誤差の追加を防止することができ、したがって、アンプの異なる各バイアス電流の影響のバランスを取ることができます。これらの抵抗値の選択については、アプリケーションノート3888 「入力直列抵抗付き電流検出アンプの性能」を参照してください。
ツェナーダイオードのZ1とZ2は24Vの公称ブレークダウン電圧を備え、35Vピークのロードダンプ状態(35Vのロードダンプ電圧から24Vのクランプ電圧を引き算した電圧が1kΩの直列抵抗R2の両端間に現れます)の間に流れるおよそ11mAのシンク電流に耐える十分な電力消費を備えるように選択されます。
図2はD1を削除して35Vのロードダンプが存在する場合のアンプ出力を図示しています。正常なバッテリ電圧が印加されると、1Vの出力値が期待されます(入力のVSENSE = 50mV、および利得 = 20)。ロードダンプ電圧が現れると、ツェナーが入力コモンモード電圧をおよそ24Vにクランプしますが、アンプ出力には0Vに設定される前にいくらかのトランジェント変化が現れます。
図2. ダイオードD1を外した場合の図1の回路の動作
2つのツェナーダイオードの公称値は24Vですが、部品間のばらつきおよび異なる動作電流(Z1は5.5mAでZ2は11mAで動作)によって、わずかに異なったブレークダウン電圧になります。したがって、 差分(VZ1 - VZ2)が、変化する差動検出電圧として現れ、望ましくない出力トランジェントを引き起こします。必要であれば、Z1またはZ2と直列にダイオードを追加することによって、これらのトランジェントを除去することができます。このダイオードによって、ロードダンプ状態の間、(VZ1 - VZ2)を正または負のいずれかに強制して、アンプ出力を電源レイルの1つ(VCCまたはGND)に強制し、トランジェントが入力されている間、ランダムな出力応答になることが防止されます。
図3aはダイオードをZ1と直列に接続して、アンプ出力を正のレイルに強制して動作している回路を示します。図3bはダイオードをZ2と直列に接続して、アンプ出力を負のレイルに強制して動作している回路を示します。
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図3. D1をZ1と直列(a)、およびD1をZ2と直列(b)にした図1の回路の動作
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