LEDによって可能にする新しい遠隔制御の照明アプリケーション

2010年09月10日
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要約

LEDが汎用照明アプリケーションで提供する一つのメリットは、遠隔制御が容易であることです。このアプリケーションノートは遠隔制御アーキテクチャまたは街灯システムを説明し、照明システムの電力線または無線コミュニケーション制御を実現する方法について論じます。

街灯、駐車灯、および室内灯の遠隔制御アプリケーション

街灯、駐車灯、および室内灯の遠隔制御アプリケーション

アプリケーションノート4670 「汎用照明用LED:レトロフィットランプにおけるLEDが提供するものとその設計」で述べたたように、LEDは、調光や発光色の変更において優れた設計の柔軟性を備えています。この汎用性によって、LEDは、建築照明、室内環境照明、および調光可能な街灯や屋外照明などのアプリケーションに最適といえます。これらのアプリケーションはすべて、LEDランプをリモートでコントロールする技術を必要とします。これらのアプリケーションが市場で成功を収めるためには、照明インフラストラクチャを新しいLED技術に置き換えるためのコストを最小限に抑える必要があります。当然のことですが、現在のインフラストラクチャを再利用可能なソリューションが最も早く市場に浸透することでしょう。

遠隔制御のLED照明に変更するとき、最も費用がかかると思われるインフラストラクチャの改善作業は、LED照明を制御するための配線です。幸いにも、LEDランプは、PLC技術を使用して既存の電力線によって制御することが可能です。

PLC技術によって長距離の通信が可能になります。G3-PLC™などの新たに生まれた規格を含む、新しいOFDMベースのPLC技術によって、ノイズ耐性や相互運用性が実現し、照明制御アプリケーションを簡単に統合することができます。

遠隔制御のLED照明ソリューションの主要な設計要件は次のとおりです。

  • 通信距離。これはアプリケーションによって決まります。室内住居向けのアプリケーションでは、30mの通信距離があれば十分です。街路照明においては、数kmの通信距離が求められます。

  • 低消費電力。LEDの重要なセールスポイントの1つとして、エネルギー効率が高いことがあります。消灯状態では、LEDランプの消費電力を最小限に抑え、通信回路のみがアクティブとなることが重要となります。

  • 通信速度。照明アプリケーションの中には、調光の制御や予想される障害の検知のために、低ビットレートの通信(すなわち数kbps)しか必要としないものがあります。しかし、大規模なランプネットワークや建築照明では、最大100kbpsのデータレートを必要とする場合があります。一例として単一のPLCで制御されるネットワークにおける数百台の街灯の稼働があります。
PLCやワイヤレスリンクで制御されるLED照明システムのブロック図。推奨ソリューションについては、japan.maximintegrated.com/lightingをご覧ください。
PLCやワイヤレスリンクで制御されるLED照明システムのブロック図。推奨ソリューションについては、japan.maximintegrated.com/lightingをご覧ください。

遠隔制御の照明には、ほとんどの場合、ディスクリート部品として、または別のICに内蔵されて、マイクロコントローラが搭載されています。複雑な通信プロトコルと複雑なスタックがともに適用されないかぎり、基本のマイクロコントローラで通常は十分です。マイクロコントローラの役割としては、一般的に、通信プロトコルの復号化、LEDドライバへの調光信号の生成、障害の検出、およびランプの照明効果の制御(たとえばシアターでの調光)があります。

室内照明アプリケーションのワイヤレス通信用として、マキシムはMAX1473レシーバとMAX1472トランスミッタを用意しています。これらの製品を使用すれば、室内環境において30m~50mの通信距離にわたって300MHz~450MHzのフリー帯域での通信が可能となります。

PLC用として、マキシムのソリューションには、G3-PLC準拠のMAX2992ベースバンドとMAX2991アナログフロントエンド(AFE)があります。これらのデバイスは、電力線のトランスミッタ/レシーバのチップセットを形成し、数百m~10km以上の距離にわたって最大300kbpsのデータレートでデータを送信することができます。この通信距離によって、デバイスは街路照明アプリケーションに最適となります。MAX2992は、OFDMと適応型トーンマッピングを使用して、電力線を経由した堅牢な通信を実現しています。MAX2992は、IEEE® P1901.2予備規格に準拠しています。

エネルギー測定

世界中のエネルギー需要は、私たちの発電能力を上回る速度で増大すると予測されています。国際エネルギー機関(IEA)は、地球全体の電気の使用量の約17.5%を照明が占めると算出しています。これは、2,200テラワット時(TWh)を超える値となり、世界中のすべての原子力発電所が1年で生成する電力を超えることになります。IEAは、G8に対するエネルギー効率アドバイザとして、一丸となって新しい技術の実現に取り組まない限り、照明のための電気使用量が2030年までに劇的に増大すると述べています。エネルギー効率の向上とエネルギー管理の改善が、この潜在的なエネルギー危機を回避するために必須となります。

従来のような開ループ型の電気使用量の管理方式では、粗雑で能率が悪いため、信頼性が低下して配電の安定性が低減します。すべての電子アプリケーションにおける電力効率を向上すべくエンジニアたちは奮闘していますが、効率の向上は問題の一要素にすぎません。

エネルギー管理の改善および(その結果として)総合的な測定システムが必要不可欠になります。電力消費についてのフィードバックを導入することで、閉ループシステムの利点がもたらされ、浪費を削減することができます。また、エネルギー使用者に自分たちの電力消費を目で見てはっきりわかるようにすることで、消費者のエネルギー問題への関心を高めることができるようになります。

正確な測定を行うことによって、電力消費の動作を把握、確認、および変更するために必要なフィードバックを得ることができます。エネルギー管理の制御ループを実装し、保守と障害の診断を詳細に検討することが重要となります。

屋外照明の場合、正確な測定は、調光や実際の電力消費に基づいた課金によって、自治体の電気費用の低減を可能にします。リレー制御パネルで、正確な測定を行うことによって、エネルギー管理の監視と検証のフィードバックが得られるため、LEED格付、ISO 50001の取得、および時間帯別の課金調整をすることができるようになります。

著者について

Piero Bianco

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