車載アプリケーション用のパワー制御

2012年04月03日
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要約

この記事では、エンジン制御、インフォテイメント、およびボディエレクトロニクスを含む車載アプリケーションの要件と設計上の考慮点について解説します。また、車載パワーアプリケーションに最適な数種類のマキシム製デバイスについても解説します。

はじめに

マキシム・インテグレーテッドのアナログおよびミックスドシグナルICは、カーエレクトロニクス市場で広く認められ好評を博してきました。これは、ナビゲーションユニット、高速通信システム、およびセンシングユニットで使用されるデジタル計算処理技術の多くが、大容量の高速処理を利用するためです。

車載製品に要求される厳格な品質基準を維持するため、マキシムはISO 9000認証を自動車用規格のTS 16949にアップグレードし、各デバイスの信頼性を確保するためAECQ-100に準拠するとともに、個々のユーザーによって要求されるテストを実施しています。この記事では、カーエレクトロニクス用の製品について解説します。

FET内蔵3A出力ステップダウンDC-DCコンバータ

自動車は低電圧、大容量のコアデバイスを備えている場合が多いため、最新のカーエレクトロニクスは非常に効率的なパワーICを要求します。パワーICは無線ユニット内に実装されるため、スイッチング周波数がラジオ、TV、GPS、およびその他の機器に影響しないように、無線ユニットの周波数と同期してICが動作することが重要です。

MAX20003は、電流モード完全同期整流単一出力ステップダウンコンバータで、無負荷時において15µAという低自己消費電流です。MAX20003は45Vのロードダンプに対応可能で、45Vプロセスを利用して車載ユニットの信頼性を確保します(図1)。このデバイスは3.5V~36Vの入力電圧範囲に対応し、1V~10Vの電圧を出力可能です。

図1. MAX20003ステップダウンコンバータのアプリケーション回路
図1. MAX20003ステップダウンコンバータのアプリケーション回路

最近は、軽負荷時の高効率が強く求められるようになっており、スキップモードによってスイッチング損失が低減されています。MAX20003は軽負荷アプリケーションではスキップモードで動作して消費電流を低減し、出力電圧から内部駆動電力を供給します。これによって、このデバイスは入力電圧14V、出力電圧3.3V、および出力電流10mAという条件下でも83%以上の効率レベルを達成します。

MAX20003のスイッチング周波数は、FOSC端子とグランド間の抵抗を使用して220kHz~2.2MHzに設定可能です。2.2MHz動作によって、MAX20003はAMラジオ周波数帯を超えるスイッチングに対応可能で、EMIの軽減を実現します。MAX20003はエクスポーズドパッドを備えた小型20ピンTQFNパッケージ(5mmx5mm)で提供され、使用する外付け部品数は非常にわずかです。

電流検出アンプおよびリモートアンテナ用スイッチ内蔵LDO

カーエレクトロニクスの分野では、ラジオ、デジタルTV、およびGPSを含む多様な無線ユニットが自動車に実装されます。さらに、無線信号を電気信号に変換するように設計されたユニット(アンテナユニット)が、しばしばメインシステムとは個別に実装されます。この場合、ユニットの問題と、リモート状態のユニットによって消費される電流の両方を監視し、それらをメインシステムに通知する必要があります。

MAX16946は、車載リモートモジュールパワーアプリケーションに対応するために開発されたデバイスです(図2)。このデバイスの動作の基本原理は、車載バッテリの電圧がリニアレギュレータシステムによって3.3V~15Vの範囲の任意の電圧に変換され、この消費電流が電流検出アンプ(CSA)によって検出されアナログ信号として出力されます。

図2. MAX16946のアプリケーション回路
図2. MAX16946のアプリケーション回路

短絡、アース障害、過電流、負荷の除去(断線の検出)、またはその他の問題を出力が検出した場合、各警告がフラグ信号によって通知されます。出力電流容量は85℃において500mAで、ワーストケースではサーマルシャットダウン機能によって保護されます。

さらに、デュアル出力のMAX16948は複数の電源に対応します。この製品は、リニアレギュレータシステムとの組合せでこのアプリケーションに使用されますが、マキシムは省エネ需要の拡大を予想してスイッチングシステムを検討しています。

高電圧CSA内蔵HB LEDドライバ

最近、ヘッドライト用に高輝度LEDを装備した自動車の数が増えてきました。これは主として、高効率、長寿命、および高いデザイン性を兼ね備えているという点で、LEDはハロゲンおよび高輝度放電(HID)ランプより優れているためです。しかし、カーエレクトロニクスに必要となるLEDランプは、車載バッテリの広い電圧範囲でも輝度を一定レベルに制御する必要があるため、高度なアナログ技術が要求されます。

MAX16833は、定電流で高輝度LEDを駆動し、ハイサイドCSAを内蔵しています。スイッチングFETはこの検出アンプによる検出によって駆動されるため、直列に接続されたLEDの輝度を一定レベルに維持することができます。さらに、デューティ制御(LED電流のオン/オフの制御)がLEDの調光に使用され、スイッチングFET以外のFETを駆動するための端子が提供されます。

また、MAX16833は3つの制御システム、すなわちブースト、SEPIC、およびバックブーストに対応します。直列に接続されたLEDの数が多く、LEDの電圧降下が入力電圧の最大値より大きい場合でのみ、ブーストが適用可能です。LEDの電圧降下が入力電圧の最大値と最小値の範囲内で、ブーストでは適切な制御を提供することができない場合、SEPICまたはバックブーストも利用可能です。

図3. MAX16833のアプリケーション回路
図3. MAX16833のアプリケーション回路

結論

マキシムは、インフォテイメント、車体エレクトロニクスセーフティ/セキュリティ、およびエンジン制御/パワートレインという細分化された分野のアプリケーション用に調整された新製品の開発に常に取り組んでいます。このアプリケーションノートでは、カーエレクトロニクス分野の車載アプリケーション用のマキシムのデバイスについて解説しました。マキシムは、インタフェース、バッテリモニタ、RFアンプなどの新製品も開発しています。

著者について

Masayuki Nakagawa

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