要約
このアプリケーションノートでは、WCDMA/UMTSシステムに対応するため、比較周波数80kHzでMAX2395用に最適なループフィルタの設計について説明します。基準周波数は13MHzまたは26MHzです。EVMの結果も示しています。
はじめに
MAX2395は、WCDMA/UMTSトランスミッタ用に製造された、完全モノリシックの準ダイレクトコンバージョンモジュレータICです。内部アーキテクチャにより、RF出力周波数はRF LO周波数の5/6となります。RF LOは、オンチップの整数NタイプPLLによって生成されます。WCDMAシステムのラスタ周波数は200kHzであるため、MAX2395 PLLは、240kHzのステップサイズ(すなわち200の6/5倍)を提供する必要があります。WCDMAのユーザ端末アプリケーションで最もよく使われる基準周波数(19.2MHzや15.36MHzなど)の場合には、240kHzの比較周波数を、内蔵PLL整数分周器(それぞれ80および64)によって容易に生成することができます。マキシムの評価ボードは、19.2MHzの基準周波数を念頭において設計されています。
UMTSシステムでは、ほとんどの場合13MHzまたは26MHzの基準周波数が使用されますが、これは240kHzの整数倍ではありません。このため、MAX2395のPLLで使用する比較周波数を、逓倍して240kHzと13/26MHzになるような値に低減する必要があります。26MHzの水晶発振子では、一般に80kHzの比較周波数が使用されるので、80kHzのステップを3つ使用すれば、240kHzのチャネルラスタが可能となります。80kHzのPLL周波数は、同一LOにとって3倍大きな「N分周」値に相当するので、近傍の位相ノイズが10dB増大することになります(20logN)。
EVM (Error Vector Magnitude:エラーベクトル振幅)も同様に劣化します。これは、EVMに対するPLLの影響が、集積されたPLLの位相誤差におおよそ比例するからです。ループフィルタからの比較スプリアスの減衰は少なくなるため、ループフィルタを再設計して、集積位相誤差、セトリング時間、および比較スプリアスの減衰のバランスがとれるようにしなければなりません。
ループフィルタの部品
240kHzの比較周波数で使用するループフィルタの帯域幅は約12kHzであり、また80kHzの比較周波数の場合には約7kHzの帯域幅となります。対応するループフィルタ部品の値を次の表に示します。
表1.
BW = 12kHz, 240kHz comparison freq. |
BW = 7kHz, 80kHz comparison freq. |
C1 = 2.2nF | C1 = 1nF |
C2 = 22nF | C2 = 10nF |
R2 = 3.3kΩ | R2 = 7.5kΩ |
受動ループフィルタのトポロジについては、以下の回路図(図1)を参照してください。
図1.
測定データ
19.2MHzと26MHzの水晶発振器を使用して、マキシムWCDMA参照設計ボード上でMAX2395の性能を測定しました。すべての測定グラフを図2~7に示します。
図2. 位相ノイズのグラフ(19.2MHzの基準水晶発振器を使用)
図3. 位相ノイズのグラフ(26MHzの基準水晶発振器を使用)
図4. RF出力端でのEVM (19.2MHzの基準水晶発振器を使用)
図5. RF出力端でのEVM (26MHzの基準水晶発振器を使用)
図6. ステップ周波数60MHzでのPLLの整定時間(19.2MHzの基準水晶発振器を使用)
図7. ステップ周波数60MHzでのPLLの整定時間(26MHzの基準水晶発振器を使用)
500Hz~1.92MHzまでの集積位相誤差は、比較周波数240kHz時で1.98度、80kHz時で2.75度です。前者の場合のRF出力端におけるEVMは5.5%ですが、後者の場合は7.2%のEVMが生成されます。60MHzのステップ周波数で、19.2MHzの水晶発振器を使用したときのループ整定時間は720µs、26MHzの水晶発振子の場合には、820µsです。比較スプリアスの減衰量はどちらの場合もほぼ同じで約-40dBcです。
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