iButtonデバイスとOneWireViewerのクイック・スタート・ガイド

2009年03月11日
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要約

本稿は、iButton®デバイス用のクイック・スタート・ガイドです。Microsoft® Windows®をベースとするPCを使用してiButtonデバイスを評価するために必要な手順を紹介します。必要なすべてのハードウェアを示すと共に、それらとPCの接続方法を説明します。その上で、評価に必要なソフトウェアをインストールする方法を紹介します。そのソフトウェアには、デモンストレーション用のプログラム「OneWireViewer」も含まれています。

はじめに

MaximのiButtonデバイスは、PCを使用して簡単にデータを読み書きできるように設計されています。そのための操作は、デモ用のソフトウェアであるOneWireViewerを使用することで実行できます。具体的には、USBポートを備えるWindowsベースのPCを使用することで、iButtonデバイスからのデータの読み出しと、iButtonデバイスへのデータの書き込みを簡単に行うことができます(EPROMベースのiButtonデバイスに対するデータの書き込みについては制限が設けられています。これについては後述します)。本稿で示す内容を試すためには、PCにJava®の実行環境であるJRE(Java Runtime Environment)をインストールしておく必要があります。JREは、Oracle®AdoptOpenJDK、または他のディストリビュータから入手することをお勧めします。

PCとアダプタの通信を実現するためには、OneWireViewerとは別に、1-Wire®に対応するソフトウェア・ドライバ(以下、1-Wireドライバ)を用意する必要があります。OneWireViewerと1-Wireドライバをバンドルしたものが無償ダウンロード提供されているので、そちらを利用するとよいでしょう。

OneWireViewerと1-Wireドライバは、Windows® 10、Windows 7ならびにそれより前のバージョンのWindows上で動作します。本稿では、Windows 10、Windows 7、Windows Vista、Windows XPが稼働するPCを対象としてインストール手順を説明します。

準備すべきハードウェア

iButtonデバイスとの通信を実行するためには、図1に示したすべてのものを用意する必要があります。

図1. 準備すべきハードウェア

図1. 準備すべきハードウェア

Maximは、iButtonの評価キットとして以下の2つを提供しています。
DS1921K#:—温度ロガー機能を提供するiButtonデバイス用のスタータ・キット
DS9092K#:iButtonデバイス用のスタータ・キット

これらには、アダプタ、リーダ/プローブ、評価用のiButtonデバイスなど、評価に必要なあらゆるものが含まれています(PCは除く)。ただ、最終アプリケーション向けに、ある程度の数量が必要になることもあるでしょう。その場合、個別の品番が付与されたアダプタとリーダ/プローブを購入することで対応できるはずです。評価キットに含まれるアダプタ「DS9490R#」は、PCのUSBポートに差し込んで使用します(USBアダプタ)。なお、多くのユーザは、iButtonデバイスの評価はもちろん、最終的なアプリケーションの開発時にも、スタータ・キットに含まれるアダプタとリーダ/プローブを使用しています。Maximは、USB以外のシリアル・ポート・インタフェースを使用するアプリケーション向けのアダプタも別売りしています。それらについてはアダプタのページをご覧ください。

<注意> EPROMをベースとするiButtonデバイス(「DS1982」、「DS1985」、「DS1986」など)をプログラムするためには、12Vの外部電源とシリアル・ポート・アダプタ「DS9097U-E25」を使用する必要があります。このアダプタは、25ピンのシリアル・コネクタを備えています。ほとんどのPCと共に使用するには、9ピンから25ピンへのシリアル・コンバータが必要です。USBアダプタを使用する場合にも、EPROMをベースとするiButtonデバイスからデータを読み出すことは可能です。但し、同デバイスをプログラムすることはできません。

リーダ/プローブは、アダプタに差し込むためのRJ-11対応のモジュラ・コネクタを備えています。評価を目的とする場合、多くのユーザはネットワーク・ケーブル「DS1402D-DR8#」を使用しています。Maximは、これ以外のバージョンの製品も提供しています。

すべてのiButtonデバイスは、1-Wireプロトコルを使用して通信を実行します。プリント基板の設計担当者にとっては、フォーム・ファクタの面で、iButtonデバイスよりもプラスチック・パッケージを採用した1-Wire対応デバイスの方が適していることがあります。その種のデバイスを評価するためには、1-Wireデバイス用の評価キット「DS9090K」を使用するとよいでしょう。

【ステップ1】Javaのバージョンを確認する


多くのPCは、Javaに関連するソフトウェア(JREなど)がインストールされた状態で販売されています。OneWireViewerを実行するには、Java 6以降のバージョンが必要です。PCにJavaがインストールされているか否か、どのバージョンがインストールされているのかを確認するには、コマンドプロンプトを開き、「java -version」と入力します(図2)。

図2. Javaのバージョンの確認

図2. Javaのバージョンの確認

PCにJavaがインストールされていない場合には、自身でインストールを実施する必要があります。その場合、OracleAdoptOpenJDK、JREを提供するその他のディストリビュータのウェブサイトにアクセスしてみてください。

【ステップ2】OneWireViewerと1-Wireドライバのバンドル版をダウンロードする


<注意> ステップ2、ステップ3の作業が完了するまでは、USBアダプタ(DS9490R#)をPCに差し込まないでください。両ステップの完了前にUSBアダプタを差し込むと、インストール中に問題が発生する可能性が高くなります。

OneWireViewerと1-Wireドライバのバンドル版をこちらのページからダウンロードします。ダウンロード用のページにアクセスすると、お使いのOSに適したファイルをプルダウン・メニューから選択できるようになっています。Windowsには32ビット版と64ビット版が存在します。どちらのバージョンを使用しているのか確認したい場合には、まず「コントロールパネル」を開いてください。「システムとセキュリティ」→「システム」を順に選択すると、OSのバージョン情報が表示されます(図3)。

図3. OSのバージョン情報

図3. OSのバージョン情報

【ステップ3】OneWireViewerと1-Wireドライバのバンドル版をインストールする


ダウンロードすべきファイルを選択したら、「Download」ボタンをクリックしてください。ダウンロードした圧縮ファイルには、.msiファイルが含まれています。同ファイルを実行すると、OneWireViewerと1-Wireドライバのバンドル版のインストールが開始されます。

図4のウィンドウが表示されたら、「Next」ボタンをクリックしてください。

図4. インストールを行うためのスタート画面

図4. インストールを行うためのスタート画面

OneWireViewerと1-Wireドライバを使用するには、ライセンス契約に同意する必要があります。図5の画面が表示されるので、求められる操作を行ってください。

図5. 使用許諾に関する確認画面

図5. 使用許諾に関する確認画面

次に、インストール先のフォルダを選択します。インストールの処理が行われたことを確認したら、「Finish」ボタンをクリックしてインストールを完了してください(図6)。この時点で、USBアダプタ以外の1-Wire対応アダプタ(シリアル・ポート用のアダプタやパラレル・ポート用のアダプタなど)を使用している場合には、ステップ5に進んでください。なお、パラレル・ポート用のアダプタを使用している場合には、ステップ5に進む前にPCを再起動する必要があります。

図6. インストールの完了

図6. インストールの完了

【ステップ4】USBアダプタを接続する


PCに、USBアダプタ(DS9490R#)を接続します(図7)。Windowsのハードウェア用ウィザードの指示に従えば、プラグ&プレイで接続が完了します。

図7. PCとUSBアダプタの接続

図7. PCとUSBアダプタの接続

このフェーズでは、WinUSBと呼ばれるMicrosoftのドライバが使用されます。それにより、1-WireドライバはUSBポートを介して通信を実施できるようになります。USBアダプタをPCに差し込むと、Windowsのプラグ&プレイ機能のイベントがトリガされます。それにより、WinUSBが1-Wireドライバに対して適切にリンクされます。

<注意> ステップ3が完了する前にUSBアダプタをPCに差し込もうとすると、プラグ&プレイ機能によって1-WireドライバとWinUSBを適切にリンクすることができなくなります。

Windows 7とWindows Vistaでは、プラグ&プレイ機能のウィンドウが表示されます(図8、図9)。Windows XPを使用する場合については図10、図11を参照してください。

図8. Windows 7/Vistaのプラグ&プレイ機能の実行画面

図8. Windows 7/Vistaのプラグ&プレイ機能の実行画面

図9. 図8の処理が完了した際に表示される画面

図9. 図8の処理が完了した際に表示される画面

図10. Windows XPのプラグ&プレイ機能の実行画面

図10. Windows XPのプラグ&プレイ機能の実行画面

図11. 図10の処理が完了した際に表示される画面

図11. 図10の処理が完了した際に表示される画面

【ステップ5】OneWireViewerを起動する


Windows 10、Windows 7、Windows Vista、Windows XP上でOneWireViewerを起動するには、以下の操作を実行します。

  1. Windowsの「スタート」ボタン(通常は画面左下に表示される)をクリックする。Windows 10の場合、Windowsのアイコン(通常は画面左下に表示される)をクリックする。
  2. 「すべてのプログラム」を選択する(Windows 10の場合、この操作はスキップ)。
  3. 「1-Wire Drivers x86」フォルダをクリックする。
  4. OneWireViewer.jarをクリックする。

【ステップ6】iButtonデバイスとリーダを接続する


次に、iButtonデバイスをリーダの青いドット(円形の部分)の一方に接続(はめ込み)します(図12)。そして、リーダをアダプタに差し込みます(図13)。1-Wireの通信プロトコルでは、ネットワーク上の複数のデバイスから同時にデータを読み出すことができます。そのため、iButtonデバイスを2つ保有している場合には、もう1つのiButtonデバイスをリーダのもう一方の青いドットに接続してみてもよいでしょう。各iButtonデバイスを青いドットに接続すると、OneWireViewerのウィンドウに64ビットの固有のIDが表示されます。

図12. iButtonデバイスとリーダの接続

図12. iButtonデバイスとリーダの接続

図13. リーダとアダプタの接続

図13. リーダとアダプタの接続

【ステップ7】OneWireViewerを実行する


OneWireViewerを使用すれば、あらゆる種類のiButtonデバイスと通信を実施できます。つまり、単純な認証に使われるiButtonデバイス、メモリ機能を提供するiButtonデバイスに加えて、温度/湿度ロガーとして機能するHygrochronのiButtonデバイスや、温度ロガーとして機能するThermochron®のiButtonデバイスにも対応可能です。各iButtonデバイスは、それぞれ異なる目的で使用されます。各種のアプリケーションにおけるOneWireViewerの使い方については、アプリケーションノート3358「OneWireViewerユーザーガイド」をご覧ください。

OneWireViewerはオープンソースの形で提供されています。そのため、ソフトウェア開発者は、OneWireViewerをベースとして独自のアプリケーションを開発することが可能です。Maximのオープンソースのコード例については、ソフトウェア開発キットのページをご覧ください。

Maximの多くのパートナーは、iButtonデバイスを利用する各種のアプリケーション向けにカスタムのソフトウェアを開発しています。そうしたソフトウェアやシステム・ソリューションを提供するパートナーを検索したい場合には、ソリューションの検索用データベースにアクセスしてください。

問題解決のヒント


OneWireViewerの動作に問題が発生した場合には、技術サポート・フォームを使用してサポートを求めてください。1営業日以内に、アプリケーション・エンジニアが対応いたします。



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