DCオフセット電圧が存在する場合のMAX2510 I/Q変調器の性能
要約
ベースバンド出力DACとI/Q変調器への入力の間に直接結合が必要となるRFシステムには、設計上の課題があります。多くのRFシステムには、この直接接合という独自の要件は生じませんが、これは、システム内のこの地点でDC応答を必要としなくてすむように変調と符号化を設計しているからです。非常に低い周波数の応答が必要となる場合は、許容範囲のRF性能を維持しつつ、DAC出力信号をI/Q変調器に送出するための方法を考える必要があります。このアプリケーションノートでは、変調器へのDCカップリングの影響を測定するためにMAX2510 IFトランシーバ上で実施するテストについて説明し、そのテスト結果を提示して、MAX5183 DACへのDCインタフェースを提供するための簡単な回路を提案します。
追加情報:
はじめに
ベースバンド出力DAC (ディジタルアナログコンバータ)とI/Q (同相/直交)変調器への入力の間に直接結合が必要となるRFシステムは、設計上の課題があります。多くのRFシステムには、この直接接合という独自の要件は生じませんが、これは、システム内のこの地点でDC応答を必要としなくてすむように変調と符号化を設計しているからです。非常に低い周波数の応答が必要となる場合は、許容範囲のRF性能を維持しつつ、DAC出力信号をI/Q変調器に送出するための方法を考える必要があります。このアプリケーションノートでは、変調器へのDCカップリングの影響を測定するためにMAX2510 IFトランシーバ上で実施するテストについて説明し、そのテスト結果を提示して、MAX5183 DACへのDCインタフェースを提供するための簡単な回路を提案します。
テストの結果によると、1つの変調器の入力に10mVのオフセットが存在する場合、LO (局部発振器)の抑制は-43dBcから-20dBcに劣化することがわかりました。IとQの両方の入力に±20mVのオフセット電圧が存在すると、LO抑制は-15dBcまで劣化します。テストは、200MHzのLOを用いて行いました。
手法
インタフェースを設計できるようにするには、MAX2510のI/Q変調器のRF性能に対するオフセット電圧の影響を事前に把握しておく必要があります。この影響を測るために、I/Q変調器の出力をスペクトラムアナライザ上で観察しながらオフセット電圧(図1参照)を変更できるようMAX2510の評価キットを改良しました。
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図1. MAX2510変調器のオフセット電圧テストのセットアップ
標準のMAX2510評価キットに3つの10回転ポテンショメータを追加して改良しています。1つは、出力アンプ用に利得制御電圧を設定します。残り2つの10回転ポテンショメータは、変調器へのIとQの入力にオフセット電圧を加えます。信号発生器を使用して、200MHz、-13dBmの局部発振器を供給しています。ベースバンド直交出力を備えた信号発生器を使用して、変調器のIとQの入力を駆動します。10dBの減衰器により、MAX2510に供給されるIおよびQ信号のレベルを低減し、歪みを防止しています。出力スペクトルは、スペクトラムアナライザ上で観察します。
オフセット電圧が主に変調器のLO抑制に影響することは予測されていました。これは、オフセット電圧を変更しながら出力スペクトルを観察するという、いくつかの簡単な実験で証明されました。側波帯抑制はほとんど変化せず、これは、利得と第2高調波レベルについても同様でした。
表1は、実験室の測定から得られた実際のデータで、LOレベルがオフセット電圧に依存することを示しています。
すべてのデータについてのテスト条件を以下に示します。
- テストはすべて室温で実施
- 変調の種類:CW
- VCC = 3.3V
- VBIAS = 1.809V
- VGC = 2.003V
- LO = 200MHz、 -13dBm
Vary just the QOFFSET | QOFFSET voltage (mV) | LO level (dBc) | IOFFSET set for minimum (mV) | SA Ref. level | LO | VBIAS | VGC | |
0 | -43 | 2 | -13dBm | 200MHz, -13dBm | 0.4V | 1.809V | 2.003V | |
-4 | -28 | 2 | ||||||
-9 | -22 | 2 | ||||||
-19 | -15 | 2 | ||||||
6 | -22 | 2 | ||||||
11 | -18 | 2 | ||||||
21 | -13 | 2 | ||||||
Vary the IOFFSET | IOFFSET voltage (mV) | LO level (dBc) | QOFFSET set for minimum (mV) | |||||
0 | -44 | -1 | ||||||
3 | -33 | -1 | ||||||
8 | -23 | -1 | ||||||
13 | -18 | -1 | ||||||
18 | -15 | -1 | ||||||
-7 | -21 | -1 | ||||||
-12 | -18 | -1 | ||||||
-22 | -13 | -1 | ||||||
Vary both the IOFFSET and QOFFSET | QOFFSET voltage (mV) | IOFFSET voltage (mV) | LO level (dBc) | Lower sideband (dBc) | 2nd harmonic | |||
-3 | 2 | -44 | -40 | -34dBc | ||||
-20 | 2 | -20 | -40 | |||||
-20 | 20 | -17 | -40 | |||||
20 | 20 | -16 | -40 | |||||
20 | -20 | -15 | -40 | -32dBc |
推奨インタフェース
実験室の結果を使用して、MAX5183 DACをMAX2510変調器に接続するためのインタフェースを提案します。図2は、必要なローパスフィルタを備えたインタフェース設計を示しています。
図2. Butterworthローパスフィルタを備えたインタフェース設計
インタフェースは、抵抗を使用して、必要なレベル変更を実現しています。このインタフェースの損失に疑問を抱く読者もおられることでしょう。しかし、MAX5183 DACからの信号振幅がMAX2510 I/Q入力を駆動するのに必要な振幅よりも大きいため、この損失は許容範囲内です。この推奨インタフェースに対するもう1つの懸念材料は、電源からI/Q入力に伝わるノイズです。差動ネットワークを使用すると、いずれの電源ノイズもコモンモードで入力に与えられることになります。変調器のコモンモード除去を行えば、この電源ノイズが除去されて、クリーンな出力スペクトルを維持できるようになると思われます。
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