要約
自動運転、搭乗者の安全確保、車車間通信など、自動車に関連する技術は急速な進化を遂げました。そうしたなか、自動車メーカーは重要な課題に直面しています。それは、エネルギーの大きい過渡的なトランジェント・パルスから、電子システムをどのようにして保護すればよいのかというものです。特に配慮すべき事柄としては、ロード・ダンプのパルスが挙げられます。これについては、ISO 16750-2の試験Aと試験Bで最も破壊的なパルスとして取り上げられています(以前は、ISO 7637-2でそれぞれパルス5a、同5bとして扱われていました)。本稿では、「MAX16126」または「MAX16127」と外付けのTVS(Transient Voltage Suppressors)ダイオードを併用することにより、24V系のシステムにおいてロード・ダンプのパルスから下流のサブシステムを保護する方法を紹介します。MAX16126/MAX16127は、ロード・ダンプのトランジェント・パルスに対する保護機能を提供します。それ以外に、低電圧/過電圧、過電流、逆電圧/逆電流、過熱などに対する保護機能も備えています。
はじめに
冒頭でも触れたように、現在の自動車には、自動運転、搭乗者の安全確保、車車間通信などの機能が追加されています。そのような多岐にわたるイノベーションを実現する上では、半導体製品が重要な役割を果たしています。自動車業界を変革する立役者は半導体製品だと言ってもよいでしょう。例えば、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-assistance System)は、搭乗者の安全を確保することを目的として開発されています。それを下支えしているのも半導体製品です。現在、自動車メーカーは、安全性と信頼性を高めるために、より多くのICを車載システムに追加するようになっています。.
システムの安全性と信頼性を確保するために必要なのは、どのようなものでしょうか。主要な要素としては、堅牢性に優れるパワー・マネージメント機能とサブシステムの保護機能が挙げられます。それらを自動車に実装することで、エネルギーの大きいトランジェント・パルスによって下流にある回路が損傷しないようにします。本稿では、24Vのバッテリを使用するシステムにおいて、ロード・ダンプのパルスから下流のサブシステムを保護する方法を紹介します。パルスについては、ISO 16750-2の試験A(集中型のロード・ダンプ抑制なし)と試験B(集中型のロード・ダンプ抑制あり)で定められた仕様に基づいて解説を進めます。それらの試験で用いられるパルスは、以前はISO 7637-2においてそれぞれパルス5aと同5bとして規定されていました。
図1. 24V系の車載システムで使用されるアーキテクチャ
ロード・ダンプのパルスからサブシステムを保護する方法を理解するためには、車載システム内部のアーキテクチャについて把握しておく必要があります。
自動車は、大きく軽量車と重量車の2種類に分けられます。一般に、軽量車では12Vのバッテリが使用されます。それに対し、トラック、クレーン、トラクタなどの重量車では、多くの場合、24Vのバッテリを使用します。図1に示したのは、車載システム内部の一般的なアーキテクチャです。ご覧のように、このアーキテクチャは、バッテリ、オルタネータ、保護用システムのブロック、DC/DCコンバータ、下流のサブシステムで構成されています。下流のサブシステムとしては、LDO(低ドロップ・アウト)レギュレータと様々な機能を提供するECU(電子制御ユニット)が存在しています。
車載システムでは、下流のサブシステムに最も繊細なコンポーネントが含まれています。ECU内部のセンサーやプロセッサには、安定した状態で電力を供給しなければなりません。そのため、システム設計者にとっては、車載バッテリの電圧を確実にレギュレートすることが課題になります。
ロード・ダンプ
ここでは、ロード・ダンプが発生する原因について説明します。また、それがサブシステムに与える影響について解説します。
まずは図2をご覧ください。車載システムにおいて、オルタネータが充電用の電流を生成している際、放電済みのバッテリとの接続が突然遮断され、オルタネータの回路に他の負荷が接続されたとします。ロード・ダンプは、このような場合に発生する可能性があります。
図2. ロード・ダンプが発生する状況
ロード・ダンプが下流のサブシステムに与える影響について理解するにはどうすればよいのでしょうか。そのためには、ロード・ダンプに関する2つの要素について理解する必要があります。
1つは、パルスの振幅(VP)です。これは、バッテリが切断されたときのオルタネータの速度とオルタネータの励磁レベルに依存します。もう1つはパルスの幅(td)です。このtdは、励磁用の回路の時定数とVPに依存します(図3)。VPは最大202Vにまで達します。また、バッテリの公称電圧に減衰するまでには最長350ミリ秒の時間を要すことがあります。負荷に放出(ダンプ)されるエネルギーの量は、トランジェントの発生源であるオルタネータの内部抵抗(図2に示したRi)に依存します。
図3. ロード・ダンプが生じた際のオルタネータの出力電圧。バッテリの公称電圧(VB)から大きく外れています。
ロード・ダンプのパルスに関するISOの規格
ISOは、ロード・ダンプのパルスに関する規格を定めています。ただ、その規格は新たな技術の設計上の課題に対応するために何度か改訂されています。ロード・ダンプについては、2011年まではISO 7637の「Road vehicles - Electrical disturbances from conduction and coupling」(路上走行車 - 伝導及び結合による電気的妨害)において、パルス5a、同5bとして定義されていました。この規格は、電源品質を左右するトランジェント関連の内容も含めて、電磁環境適合性(EMC)の仕様として扱われていました。
2011年に、電源品質に関連するEMC以外の仕様は、ISO 16750-2の「Road vehicles - Environmental conditions and testing for electrical and electronic equipment, Part 2: Electrical loads」(路上走行車 - 電気・電子機器の環境条件及び試験 - 第2部:電気的負荷)に移されました。それにより、ロード・ダンプのパルスについては、試験A/試験B向けの仕様が定められました。
現在では、すべての車載システムにおいて、安全性と信頼性が優先すべき事柄になっています。それを受けて、自動車メーカーはロード・ダンプに関する独自の基準ではなく、ISO規格に準拠することを目指すようになりました。現在では、ISO 16750-2の試験Aで定められたロード・ダンプのパルスを対象として設計が行われるようになっています。
ロード・ダンプに対する保護
車載システムをロード・ダンプから保護するにはどうすればよいのでしょうか。その方法はいくつか考えられます。本稿では、最も有効な3つの方法を取り上げることにします。3つの方法とは、以下のようなものです。
【方法1】トランジェントの発生源から負荷を切り離す
【方法2】ロード・ダンプのパルスを、フロントエンドのDC/DCコンバータが対応可能な電圧(絶対最大定格)にクランプする
【方法3】方法1と方法2を組み合わせたハイブリッド型のソリューションを構成する
以下、それぞれの方法について詳しく説明していきます。
【方法1】トランジェントの発生源から負荷を切り離す
ここでは、「MAX16126」または「MAX16127」を使用して、トランジェントの発生源から負荷を切り離す方法を紹介します。図4に示すように、この方法ではパワーMOSFETをスイッチとして使用します。このMOSFETは、保護用のICであるMAX16126/MAX16127によって制御します。それにより、ロード・ダンプの発生源を下流の負荷から切り離すということです。この機能を実現するために、MAX16126/MAX16127は入力電源レールを監視します。その電圧が過電圧のスレッショルドを上回ったら、MOSFETをオフにし、トランジェントの発生源を負荷から隔離します。
MAX16126/MAX16127は、広い動作範囲に対応しています。過電圧と低電圧のスレッショルドは、抵抗回路を使用することにより、3V~30Vの範囲で設定できます。保護の対象となる入力電圧範囲としては、-36V~90Vに対応しています。そのため、ロード・ダンプやバッテリの逆接続を防ぐための信頼性の高いソリューションを実現できます。MAX16126/MAX16127は、車載アプリケーションに対する理想的なソリューションと言えるでしょう。
図4. 方法1の概念図。ロード・ダンプの発生源から下流の負荷を切り離します。
MAX16126/MAX16127による保護の範囲は、ツェナー・ダイオードを使用することにより拡大できます。図5に示すように、ツェナー・ダイオードは電流制限抵抗(RP)と直列に接続します。また、MAX16126/MAX16127のINピンにも接続します。このピンは、MAX16126/MAX16127に正の電源電圧を入力するためのものです。ロード・ダンプが発生した結果、INに入力される電圧が90V以上にオーバーシュートしたとします。その場合、ツェナー・ダイオードによってMAX16126に入力される電圧は90Vにクランプされます。また、ツェナー・ダイオードに流れる電流はRPによって制限されます。
この方法では、直列に接続して使用するMOSFETの選択が非常に重要になります。ロード・ダンプによって生じる電圧が、MOSFETのドレインとソースの間に印加されることになるからです。MOSFETとしては、VDSSの最大値が、ロード・ダンプに伴うパルスのピーク電圧の1.2倍よりも高いものを選択しなければなりません。但し、VDSSの値が高いMOSFETは、RDS(ON)の値が大きくなります。そのため、通常動作時におけるシステム全体の効率が低下します。
この方法を採用した場合、ロード・ダンプだけでなく、コールド・クランク、逆電圧といった様々な事象に対する保護機能を利用できます。このことは大きなメリットです。過電圧と低電圧に関するスレッショルドは、適切な抵抗を追加するだけで簡単に設定できます。
図5. MAX16126/MAX16127による保護の範囲を拡大する方法
【方法2】ロード・ダンプのパルスを、DC/DCコンバータが対応可能な電圧にクランプする
この方法では、TVSを使用してロード・ダンプのパルスをクランプします。その方法は図6のようなものになります。TVSによって、DC/DCコンバータが対応可能な電圧(絶対最大定格)にトランジェントのパルスをクランプするということです。その際、TVSはパルスの最大エネルギーを吸収する役割も果たします。先述したように、ISO 16750-2では、試験Aで使用するパルスの仕様が定められています。その中で、オルタネータの内部抵抗(Ri)の値は1Ω~8Ωに設定されています。この点には注意が必要です。この条件によって、TVSに供給される最大エネルギーが制限されます。パルスのエネルギー量は、クランプ電圧、パルス幅、ロード・ダンプの発生源の内部抵抗に依存します。それも踏まえて、適切なTVSを選択することが非常に重要です。
図6. 方法2の概念図。TVSによって、ロード・ダンプのパルスを安全な電圧にクランプします。
この方法の有効性を示すために、様々な値を計算してみます。ここでは、VSが151V、Riが1Ω、tdが100ミリ秒、VCLAMPが38Vという条件を設定します。その場合、試験Aのパルスのピーク電力(PPK)はどのようになるでしょうか。その値は、以下のように算出することができます。
TVSが導通している時間とTVSに吸収されるエネルギー量の近似値を計算するために、パルスの波形は図7に示すような三角波であると仮定します。
図7. ロード・ダンプのパルスの波形。ロード・ダンプが生じている際、TVSが導通している時間を求めるために、パルスの波形はこのような三角波であると仮定します。
そうすると、TVSが導通している時間(T_CONDUCT)は次の式によって計算できます。
続いて、TVSに吸収されるエネルギー量(E)を算出します。そのための式は以下のようなものになります。
ここで、TVSのクランプ電圧(VCLAMP)は38V、Iは三角波状のパルス、IPEAKは113A、パルス幅は74.83ミリ秒なので、Eの値は以下のように計算できます。
この方法には1つの欠点があります。それは、TVSの選択の難易度が高いというものです。このパルスの最大エネルギーを吸収できるだけの定格ピーク電力とパルス幅を備える製品を選択するのは容易ではありません。例として、図8に、定格ピーク電力とパルス幅の関係を表す一般的なグラフを示しました。パルスのピーク電圧が高くなるにつれて、TVSのパルスを持続する能力(パルス幅)は低下します。そのため、エネルギーの大きいロード・ダンプのパルスに対応するための理想的なTVSを選択するのが困難になります。
図8. 標準的なTVSのピーク電力と最大パルス幅の関係。
このグラフは、複数のTVSの性能を表しています。TVS 1は15kW、TVS 2は5kW、TVS 3は3kW、TVS 4は600W、TVS 5は400Wに対応します。
ISO 16750-2では、システムに対し、1分間隔、10回の連続パルスに耐えることを求めています。ただ、TVSはロード・ダンプが発生する度に劣化していきます。従って、TVSだけを使用して、ロード・ダンプのパルスに対するシステムの保護を実現するのは非常に困難です。
【方法3】方法1と方法2を組み合わせたハイブリッド型のソリューションを構成する
この方法では、MAX16126/MAX16127とTVSを組み合わせて使用します。つまり、直列スイッチを使用してトランジェントの発生源から負荷を切り離す機能と、電圧をクランプする機能を併用します。方法1は、保護用ICによって保護の範囲が制限されると共に、高電圧に対応可能なMOSFETが必要でした。一方、方法2では、TVSのピークの消費電力によって制限が生じていました。そこで、方法3では、TVSのクランプ電圧を引き上げつつ、保護用ICによって負荷を切り離すことでピークの消費電力を抑えます。具体的には、図9のように回路を構成することでロード・ダンプに対する保護を実現します。
図9. 方法3の概念図。TVSと保護用ICを併用することでロード・ダンプに対する保護を実現します。
この方法の有効性を示すために、ISO 16750-2の試験Aに向けて定義されたパルスのピーク電力を計算してみましょう。VSが151V、Riが1Ω、tdが100ミリ秒、VCLAMPが120Vとすると、ピーク電圧は以下のように算出されます。
続いて、パルスの波形は図7と同じであると仮定し、T_CONDUCTの値を計算します。そのための式は以下のようになります。
ここで、TVSのクランプ電圧であるVCLAMPは120V、Iは三角波状のパルス、IPEAKは30A、パルス幅は19.86ミリ秒です。従って、Eの値は以下のようにして計算できます。
上記のとおり、TVSのピークの消費電力は1.8kW、パルス幅は19.86ミリ秒に抑えられています。そのため、適切なTVSを選択しやすくなります。また、方法1と同様に、電流制限抵抗と共にツェナー・ダイオードを使用すれば、保護用ICによる保護の範囲を拡大することができます。両方の方法を組み合わせれば、低電圧に対応するMOSFETを使用できるという柔軟性が得られます。
ここで、前掲の式を使用して、ツェナー・ダイオードのピークの消費電力を計算します。ツェナー・ダイオードのピーク電流はIZENER_PKで表すことにします。TVSに関連する値は、VS_TVSが120V、VZENER_CLAMPが85V、RPが1kΩであるとしましょう。そうすると、以下のようにして各値を算出することができます。
ここで、RPによる消費電力は、(VS-VS_TVS)×IZENER_PKで表されます。RPによるピークの消費電力を計算すると、(120 - 85)×0.035 = 1.225Wとなります。
上で求めたデバイスの定格最大電力に基づいて、このアプリケーションで使用するツェナー・ダイオードとRPを選択しました。検討すべき重要な事柄は、RPに関する制限です。RPの値が大きいほど、過電圧と低電圧を検出するための応答時間が長くなります。その原因は、RPとC1によって決まる時定数にあります(図10)。過電圧と低電圧のスレッショルドを選択する際には、MAX16126/MAX16127のデータシートを参照し、抵抗R1、R2、R3の最適な値を選択してください。
図10. RP、C1、R1~R3の関係
方法3のリファレンス設計と実証実験
ISO 16750-2によれば、24V系のシステムでRiの値が1Ω~8Ωである場合、ロード・ダンプのパルスのピーク電圧は151V~202Vに達するといいます。本稿では、コーナー・ケースのテストを実施するために、様々な電圧レベル、内部抵抗値、パルス幅を使用し、図11に示すリファレンス設計の堅牢性を確認しました。その結果、この設計がISO規格の最も厳しい要件に適合することを実証することができました。以下、その詳細について説明します。図12に示したのは、図11のボードの回路図です。図中のD7とD4はTVSです。これらは、エネルギーの大きいロード・ダンプのパルスを120Vにクランプするために使用しています。以下、それ以外のコンポーネントについて要点をまとめておきます。
- MOSFETのQ1とQ2:120Vにクランプされたロード・ダンプのパルスに対応できるように、定格が150Vのものを選択しています。
- ダイオードD1:120Vのパルスを85Vにクランプします。MAX16126/MAX16127の入力電圧が保護の対象範囲の上限値(90V)を超えないようにするために使用しています。
- 電流制限抵抗RP(図中のR3):ダイオードD1に印加される電力を制限できるように、1kΩの抵抗を使用しています。
- ダイオードD5:ISO 7637で定められた負のパルスに対応するために使用しています。このダイオードは、負のパルスを-32Vにクランプします。それにより、MAX16126/MAX16127に下限値(-36V)を下回る電圧が入力されないようにします。
- ダイオードD6:このダイオードは冗長なものであり、D5を使用する場合には削除して構いません。
図11. リファレンス設計のボード
図12. リファレンス設計の回路図。MAX16126/MAX16127を使用し、ロード・ダンプに対する保護を実現します。
続いて、図13をご覧ください。これは、MAX16126/MAX16127を使用したリファレンス設計のボードに、ロード・ダンプのパルスに相当する信号を印加した結果です。パルスに関する条件としては、VSが202V、Riが8Ω、tdが400ミリ秒としています。負荷としては、1Aの負荷電流と330μFの出力コンデンサを使用しています。過電圧のスレッショルドは28Vに設定しました。図13を見ればわかるように、202VのパルスがシステムのD7に印加されると、D4がロード・ダンプのパルスを111Vにクランプします(赤色のトレース)。MAX16126/MAX16127は、INの電圧が28Vを超えた場合、過電圧の障害が発生したと見なし、MOSFETをオフに制御します(緑のトレース)。すると、出力が27Vに制限されます(青色のトレース)。
図13. リファレンス設計の評価結果
このソリューションは24V系のシステムに対応しています。その堅牢性を証明するために、リファレンス設計のボードを独立系の試験機関であるWipro®に送付しました。Wiproのラボからは、このソリューションは、Riが1Ω~8Ωの条件下で、151V~202Vのパルスのテストに合格したとの報告が得られました。つまり、このリファレンス設計は、ISO 16750-2とISO 7637-2の仕様に適合するということです。
表1は、方法1、方法2、方法3についてまとめたものです。それぞれが実現できる機能/性能を中心に比較を行っています。
機能 | 方法1 | 方法2 | 方法3 |
ロード・ダンプのパルス | 最大90V | 最大202V | 最大202V |
低電圧保護 | あり | なし | あり |
バッテリの逆接続に対する保護 | あり | なし | あり |
TVSによるエネルギーの吸収 | N/A | 160J | 35.74J |
ソリューションのサイズ | 小さい | 大きい* | 小さい |
*TVSは大きなエネルギーを吸収します。そのため、TVSの近くにヒートシンクを配置する必要があります。 |
まとめ
多くの自動車メーカーは、搭乗者の安全を確保するための対策を強化しています。その結果、自動車ではますます多くの半導体製品が使用されるようになっています。そうしたシステムを安全かつ確実に動作させるには、エネルギーの大きいトランジェント・パルスによって下流側の回路が損傷することがないようにしなければなりません。この目標を達成するためには、堅牢性に優れるパワー・マネージメント機能とサブシステムの保護機能を実現できるようにシステムを設計する必要があります。
トランジェント・パルスが発生する最大の要因は、オルタネータです。バッテリとの接続が遮断され、他の負荷がオルタネータに接続されると、ロード・ダンプのパルスが発生します。このトランジェント・パルスは、下流側の回路に損傷を与える原因になります。
本稿では、ロード・ダンプの問題を解決するための方法を3つ紹介しました。1つ目は、MAX16126/MAX16127を使用して、ロード・ダンプの発生源から負荷を切り離す方法です。2つ目の方法は、TVSを使用して定格ピーク電圧を制限するというものです。そして、3つ目の方法では、それら2つの方法を組み合わせます。そのようにすれば、両者の長所を活かすことが可能なハイブリッド型のソリューションを実現できます。
このハイブリッド型のソリューションの堅牢性を実証するために、リファレンス設計のボードを独立系の試験機関に送付しました。その結果、MAX16126/MAX16127を使用して設計した回路は、ISO 16750-2の仕様に適合することが確認できました。つまり、ロード・ダンプのパルスから24V系の車載システムを保護できることが実証されたということです。
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