2次側同期整流器ドライバを内蔵した5ピンSOT-23のフライバック・コンバータによる電流供給能力の向上と熱設計の簡素化
フライバック・コンバータでは、大電流アプリケーションでの電流レベルが、出力整流ダイオードで発生する熱によって制限されます。この制限を解除する方法は、ダイオードを、電圧降下がはるかに小さいMOSFETに置き換えて、整流器で発生する熱を大幅に減らすことです。熱放散の減少により、出力電流供給能力と効率が向上し、熱設計が簡単になります。LT8309は2次側同期整流式MOSFETドライバで、MOSFETのドレイン-ソース間電圧を検出してMOSFETのオンまたはオフを決定することで出力ダイオードの動作を再現するので、効率の低い整流器ダイオードを置き換えることができます。
LT8309は、リニアテクノロジーのオプトカプラ不要境界モード・フライバックIC製品群(1次側コントローラのLT3748など)のいずれかと組み合わせることにより、最小限の部品点数で高性能の絶縁型電源を作り出すことができます。
5V、8A絶縁型電源
低電圧、大電流、少部品点数のフライバック電源を図1に示します。従来の出力ダイオードは、LT8309、1個のMOSFET、および数個の小型外付け部品で構成される理想ダイオードによって置き換えられています。
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図1.低電圧大電流のフライバック・コンバータ
ダイオードの機能を果たすMOSFETは、ボディ・ダイオードが電流の導通を開始したらすぐにオンになり、電流がゼロまで減少したらすぐにオフになる必要があります。LT8309の高速コンパレータは、要求されるほぼ瞬時の動作を示します。この電流検出コンパレータは、MOSFETのドレイン電圧をモニタします。ボディ・ダイオードが導通し始めると、ドレイン電圧はグランドより十分低い電位まで低下するので、コンパレータが作動してMOSFETをオンします。最小オン時間経過後、LT8309はMOSFETのターンオフ作動点に達するのを待って、MOSFETをオフします。ターンオフ作動点は、デバイスのDRAINピンとMOSFETのドレインの間に接続している外付け抵抗によって調整できます。DRAINピンの電圧定格は150Vなので、広い入力電圧設計にも適しています。
LT8309の内部LDOは、INTVCCピンで7V出力を生成することにより、MOSFETのゲート駆動に対応します。プルダウン抵抗が1Ωの強力なゲート駆動により、MOSFETのオンとオフが高速になるので、効率が向上します。
効率をダイオードだけの設計と比較して図2に示します。図3および図4に示すように、高い効率のおかげで、LT8309ベースの設計回路周辺では、ダイオードだけの設計回路と比べて基板の動作温度がかなり低く保たれています。
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図 2.LT8309 ベースのフライバック・コンバータと従来の2次側ダイオード整流器を使用した同じコンバータとの効率の比較
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図3.ダイオードPDS760を使用した5V/5A出力での熱画像
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図4.LT8309を使用した方が5V/5A出力がはるかに低温で動作することを示す熱画像
VCCピンの定格は40Vなので、LT8309は、出力電圧つまりMOSFETの整流後のドレイン電圧から駆動できます。VCCピンをフライバック・コンバータの出力に接続すると、出力短絡状態時にLT8309はオフになるので、MOSFETのボディ・ダイオードが短絡状態に対処する必要があります。このため、MOSFETには余計な熱的要件が加わります。代わりに、図1に示すようにVCCをMOSFETのドレイン電圧に接続すると、短絡時にはVCCがVIN/Nに等しくなるので、短絡時にもLT8309が動作可能になります。短絡電流はボディ・ダイオードではなくMOSFETを流れます。
まとめ
LT8309は、SOT-23パッケージの使いやすい高速2次側フライバック同期整流器ドライバです。LT8309を、リニアテクノロジーのオプトカプラ不要境界モード・フライバックIC製品群の1つと組み合わせた場合は、高効率、大電流の絶縁型電源の構築に必要な部品点数が最小限で済み、熱設計が簡略化されます
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