高効率スイッチング電源とローノイズ・リニア・レギュレータをμModuleパッケージに統合
高速または高分解能の機能を持つデバイスには、クリーンな電力が必要です。スイッチング・レギュレータはさまざまな入出力条件にわたって高い効率を実現しますが、標準的なスイッチング・レギュレータでは、データレートの高いFPGA I/Oチャネルやビット数の大きいデータ・コンバータが必要とするローノイズ性能と高速トランジェント応答の両立を果たすことは出来ません。一方で、高性能リニア・レギュレータは低出力ノイズおよび高速トランジェント応答を特長としますが、簡単にヒートアップしてしまいます。
LTM8028は、それらの良いとこ取りをしたものです。つまり、UltraFast™リニア・レギュレータが制御する高効率の同期整流式スイッチング・コンバータであり、これらが小型の15mm×15mm µModule®パッケージに統合されています。このデバイスはLGA(高さ4.32mm)およびBGA(高さ4.92mm)パッケージで供給され、どちらもRoHS 規格に準拠しています。
リニア・レギュレータはスイッチング・レギュレータの出力を目的の出力電圧より300mV高い電圧に制御して、余裕電圧、効率、トランジェント応答の最適な組み合わせを実現しています。LTM8028は最大40Vの入力で動作し、0.8V~1.8Vの範囲の出力電圧で最大5Aを発生します。標準的な1.2V出力のアプリケーションを図1に示します。
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図1.LTM8028は、36V入力、UltraFast、低出力ノイズの5A µModuleレギュレータです。
LTM8028の出力電圧は、3つのトライステート入力(VO0、VO1、およびVO2)を制御することで設定します。MARGAピンに電圧を与えることにより、出力電圧を最大±10%の範囲でマージニング調整できます。電流制限値はIMAXピンによって最大値の5Aより低い値に設定することが可能であり、PGOOD信号は出力が目標電圧の10%以内に入っていることを示します。
従来のリニア・レギュレータを用いた設計では、12Vの電源から1.2V/5Aを出力すると50W以上の損失が発生するので、高価なヒートシンクによる放熱が必要になります。図2に示すように、LTM8028 の電力損失はその12 分の1(4W)と少ないので、標準的な接合部温度の上昇はわずか45°Cで済みます。
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図2.12V入力、1.2V/5A出力のアプリケーションでは、LTM8028の消費電力は4Wより少なく、温度上昇はわずか45°Cです。
LTM8028 の心臓部は高性能リニア・レギュレータです。そのライン・レギュレーションとロード・レギュレーションは室温で0.2%未満であり、-40°C~125°Cの全温度範囲で1%です。LTM8028 は、そのUltraFast 帯域幅により、10%~90%の負荷ステップでのトランジェント応答がわずか2%にすぎません。それぞれ1Vおよび1.8Vを供給するようLTM8028 を構成した場合に、1A/µs のスルーレートで負荷ステップが0.5Aから5Aまで変化させた場合のLTM8028のトランジェント応答を図3および4に示します。
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図3.1.0V出力では、LTM8028のトランジェント応答は20mV未満です。
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図4.LTM8028のトランジェント応答はわずか38mVです。
リニア・レギュレータと同期整流式スイッチング・コンバータが同じパッケージに収容されていても、電源電圧除去比が高くノイズ軽減策が組み込まれているので、低出力ノイズ特性が得られます。図5は、ピーク・トゥ・ピーク・ノイズが1mV未満であることを示しています。1
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図5.LTM8028の出力でのピーク・トゥ・ピークのスイッチング・ノイズは1mV未満です。(回路図には、この結果を得るために使用した構成を示します。)
周波数領域ではスペクトラム・ノイズ成分が非常に低く、図6に示すように、スイッチング・コンバータの基本周波数である300kHz に4μV/ √Hz のピークがあります。このことは、ビット数の多いデータ変換回路に電力を供給する場合に重要です。
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図6.LTM8028の出力ノイズ・スペクトラム密度はピーク値がわずか4µV/ √Hzなので、感度の高いデータ変換回路の電源の有力候補になります。
まとめ
低電力損失、許容範囲の厳しいレギュレーション、高速トランジェント応答、および低出力ノイズがシステム設計に求められるときは、LTM8028 µModuleレギュレータを検討してください。このデバイスでは、高性能スイッチング・レギュレータとリニア・レギュレータの最高の機能を省スペースの単一パッケージに統合しています。
データシート、デモボード、およびその他のアプリケーション情報については、www.analog.com/LTM8028にアクセスしてください。
注記
1 小振幅のノイズの測定には注意が必要です。この測定は、同軸ケーブル、インピーダンス整合回路、および150MHz のHP461Aアンプを使用して行いました。これはリニアテクノロジーのApplication Note 70、「A Monolithic SwitchingRegulator with 100μV Output Noise」(Jim Williams)に記述されている構成と同様ですが、ここでの測定では帯域幅を10MHz に制限していないことだけが異なります。
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