fido5000: ワンチップで多数のイーサネット・プロトコルを
近年、特に産業用 IoT(IIoT)や Industry 4.0 に関連して、産業用オートメーション技術の多くのサプライヤとメーカーが、メーカーに依存しないオープンな通信プラットフォームを切望しています。メーカーはこれにより、システム全般にわたって自動プロセスの比率が高まると予想しています。したがって、自動化にあたっては、オープン・データ・アクセスや産業用制御システムのリアルタイム条件におけるIT システムの必要性を考慮する必要があります。イーサネットと産業用イーサネットは、すでにこの分野で重要な役割を果たしています。共有伝送媒体を介した大量データの効率的な同期転送など、このネットワーク技術が持つさまざまな利点は、従来のフィールドバスの利点に勝るものです。PROFINET、EtherNet/IP®、EtherCAT®、POWERLINK® などの一般的なイーサネット・プロトコルは、程度の差こそあれ、同じイーサネット媒体を http や TCP/IP といった従来型プロトコルと共有することができます。
本稿では、産業用ネットワークの条件(例えば、信頼性の高いデータ配信やデータの時刻同期)について詳しく検討します。また、考えられる製品ソリューションとして、アナログ・デバイセズの fido5000 REM スイッチを紹介します。このチップには fido5100 および fido5200 の 2 つのタイプがありますが、両者の差は、サポートしているイーサネット・プロトコルが異なる点だけです。fido5100 は EtherCAT を除く主要な産業用イーサネット・プロトコルをサポートしており、fido5200 は EtherCAT を含む主要な産業用イーサネット・プロトコルをサポートしています。
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fido5000 REM スイッチ
fido5000 はアナログ・デバイセズが提供するリアルタイム・イーサネット・マルチプロトコル(REM)スイッチ・チップで、2 つのイーサネット・ポートを備えています。この 2 つのポートは今日の産業用デバイスに対応すると同時に、ライン・トポロジーやリング・トポロジー、スター・トポロジーなどの一般的なネットワーク・トポロジーのサポートを必要とする、将来の Industry 4.0 アプリケーションにも対応します。また、任意のホスト・プロセッサとの接続も可能です。
したがって、開発者は自社のプロセッサを使用することも、希望する開発環境を使用することもできます。fido5000 が提供するこれらすべての可能性と機能を図 2 に示します。
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REM チップとプロセッサ間の通信は、高性能で低遅延/低ジッタの産業用イーサネットを実現するために、メモリ・バスを介して行われます。メモリ・バスは、PriorityChannel® 技術によりホスト・インターフェース機能も提供します。このフィルタ技術はアナログ・デバイセズが開発したもので、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成されています。これは、イーサネット・ネットワークからの重要データを、そのプロトコルやネットワークの使用状況に関わらず適切な時間内に処理できるようにするので、非タイム・クリティカルなデータ・トラフィックの干渉を受けることはありません。つまり、リアルタイム・チャンネルからのデータのほうが、通常のネットワーク・データより処理優先度が高いことになります。この PriorityChannel 技術を図 3 に示します。図には、リアルタイム・データ処理時の精密な調整を可能にする、4 つのキューが示されています。
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fido5000 は、スイッチ機能に加え、強力なタイム・コントロール・ユニット(TCU)も備えています。TCU は、さまざまな産業用イーサネット・プロトコルの同期メカニズムを実装するためのものです。入力キャプチャや矩形波信号出力などの追加機能は、4 つの専用出力、あるいは 4 つの汎用入出力を介して実行します。これらのポートは同期時刻とまさに同調しています。例えば、4 入力のいずれへのエッジ到着も、64 ビット分解能でタイム・スタンプすることができます。また、出力では、あらゆるデジタル信号パターンをネットワーク時刻に同期させて出力することが可能です。このため、サイクル時間が 31.25 µs 未満であっても、ユーザのアプリケーションをネットワーク時間に同期できることになります。
しかし、fido5000 の機能はこれだけではありません。このチップはすでに将来を見越した構成となっています。fido5000 は TSN(Time Sensitive Networks)をサポートしています。将来の TSNベースの産業用イーサネット・アプリケーションのニーズにも対応するよう、モーション・コントロールや安全性など、アプリケーションの非常に厳しいリアルタイム条件を満たすことができます。
TSN は、IEEE 802.1 ワーキング・グループが策定した一連の規格で、既存の標準イーサネット技術と互換性があります。TSN は実質的に、スイッチド・イーサネット・ネットワーク内の時間的制約のあるデータのルーティングに関する初の IEEE 規格です。これにより、共通タイム・ベースとスケジュールを使用して、一連の IEEE 802 規格の範囲内で確定的リアルタイム通信が実現します。この共通タイム・ベースとスケジュールは、複数のネットワーク・コンポーネントにまたがるメッセージ・パスに対して生成されます。
アナログ・デバイセズは、純粋な REM スイッチ・チップである fido5000 に加えて、fido5000 を使用した RapID プラットフォームと呼ばれるフル機能のソリューションも提供しています。RapID プラットフォームは、一般的なすべての産業用イーサネット・プロトコルを備えており、非イーサネット・フィールド・デバイスにも、さほど手間をかけずに組み込むことができます。このプラットフォームを使用すれば、Industry 4.0 アプリケーションの要求に応じたフィールド・デバイスを構成することができます。これらの一般的な産業用イーサネット・プロトコルの実装は、事前に認定済みです。RapID プラットフォームのもう 1 つの興味深い特長は、動的なウェブ・サーバーが組み込まれていることです。これにより、非常に簡単にネットワーク・パラメータや入出力データを読み込んで修正することができます。
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fido5000 REM スイッチと RapID プラットフォームは、現行の産業用イーサネット規格や将来の TSN 規格に基づくタイム・クリティカル・アプリケーションに不可欠な条件をすでに備えています。
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