Ethernet-over-PDHテクノロジの概要

2006年10月17日
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要約

Ethernet-over-PDH (EoPDH)は、十分に確立されたPDH電気通信インフラ上でネイティブEthernetフレームの伝送を可能にするテクノロジと規格の集合です。これによってキャリア各社は、旧来のPDHおよびSDH機器による広範なネットワークを利用して、新しいEthernet中心のサービスを提供することが可能になります。さらに、EoPDHは相互運用性への道を拓き、キャリア各社が徐々にEthernetネットワークに移行することを可能にします。この記事では、G.7041で定義されているGFPでのフレームのカプセル化、Ethernet-over-PDHフレーミングのマッピング、G.7043によるリンクアグリゲーション、G.7042によるリンク容量調整、Y.1731とY.1730で定義されている管理メッセージング、VLANタギング、QoS優先順位付け、およびDHCPサーバやHTMLユーザインタフェースなどの上位層アプリケーションを含めて、EoPDHで使用されているテクノロジを取り上げます。

非Ethernetネットワーク上におけるEthernet伝送は、何十年も前から存在しています。距離XをはさんでネットワークノードAとネットワークノードBを接続するという、ただ1つの一見単純な仕事を達成するために、無数のテクノロジ、プロトコル、機器が生み出されてきました。その単純な等式に対する解の組は、これまでは無限に考えられました。300baudの音声FSKモデムを使用した最初のコンピュータゲートウェイから、今日の先進的なEthernet-over-SONET/SDHシステムまで、その仕事は基本的にずっと変わっていません。しかし、長年にわたる様々な力によって、この仕事の解決に使用される技術的実装の進化が引き起こされ、時代のニーズに応じた形を取ってきました。進化の「枝分かれ」の中には、惨めな失敗に終わったものもあります。逆に、DSLのように地球規模で広く展開されているものもあります。新しい進化の枝の中でどれが生き残ることになるか、どうすれば分かるでしょうか。過去を振り返って参考にしてみると、生き残っているテクノロジは、サービス品質、信頼性、利用可能な帯域幅、スケーラビリティ、相互運用性、使いやすさ、設備コスト、および運用コストを、最適なバランスで実現していることが分かります。これらの面のいずれかに不備があるテクノロジは、広範な使用には選択されず、結局は消え去るか、ニッチな環境に追いやられることになります。以上の観点を念頭に置くことで、新たに登場したEthernet-over-PDH (EoPDH)テクノロジの評価を行うことができます。

EoPDHを一言で表すと、十分に確立されたPDH (Plesiochronous Digital Hierarchy)伝送テクノロジの活用による、既存の銅線通信インフラ上におけるネイティブなEthernetフレームの伝送です。実際のEoPDHは、キャリア各社が旧来のPDHおよびSDH (Synchronous Digital Hierarchy)機器による既存のネットワークを利用して、新しいEthernet中心のサービスを提供することを可能にするテクノロジおよび新しい規格の集合になっています。さらに、EoPDH規格の集合は相互運用性への道を拓き、キャリア各社が徐々にEthernetネットワークに移行することを可能にします。EoPDHで使用されている標準化されたテクノロジには、フレームのカプセル化、マッピング、リンクアグリゲーション、リンク容量調整、および管理メッセージングが含まれます(簡略化した用語を使っています)。またEoPDH機器で一般に行われる処理として、分割して仮想ネットワークに送出するためのトラフィックのタギング、ユーザトラフィックの優先順位付け、およびDHCPサーバやHTMLユーザインタフェースなどの幅広い上位層アプリケーションも含まれます。

フレームのカプセル化というのは、Ethernetネットワーク上で伝送を行うために、補助的フォーマット内のペイロードとしてEthernetフレームを配置するプロセスです。カプセル化の第1の目的は、フレームの先頭と末尾のバイトを識別することです。これを、フレームデリニエーションと呼びます。実際のEthernetネットワークでは、フレームデリミタの先頭とレングスフィールドがフレームデリニエーションの機能を果たします。カプセル化の第2の役割は、散発的な(「バースト性」の) Ethernet伝送を、スムーズで連続的なデータストリームにマッピングすることです。一部のテクノロジでは、各フレームにFCS (Frame Check Sequence)を付加することによって、カプセル化が誤り検出の役割も果たしています。HDLC (High-Level Data Link Control)、LAPS/X.86 (Link Access Procedure for SDH)、GFP (Generic Framing Procedure)など、数多くのカプセル化テクノロジが存在します。理論上は任意のカプセル化テクノロジをEoPDHアプリケーションに使用することができますが、GFPに大きな優位性があることから、望ましいカプセル化手法として浮上してきました。ほとんどのEoPDH機器は、レガシーシステムとの相互運用性を確保するため、HDLCとX.86のカプセル化もサポートしています。

GFPはITU-T G.7041で定義されており、HEC (Header with Error Control)フレームデリニエーションを利用しています。他のカプセル化プロトコルの中には、HDLCのようにスタート/ストップフラグを使用するものがありますが、ユーザデータ中にスタート/ストップフラグが現れた場合、より長いエスケープシーケンスに置き換える必要があり、帯域幅の拡大が生じます。HECフレームデリニエーションを利用することで、GFPではデータストリーム中でのフラグ置換が不要になっています。これがGFPに、一貫性のある予測可能なペイロードスループットという大きな優位性をもたらしています。保証されたスループットを顧客に提供する必要があるキャリア各社にとって、この点は極めて重要です。図1に、GFP-F (Frame-mapped GFP)のフレームフォーマットを、比較対象のHDLCとともに示します。ネイティブなEthernetとGFP-Fでカプセル化されたEthernetで、オクテット数が同じであることに注目してください。このちょっとした特長によって、速度の調節が簡単になっています。フレームデリニエーションを行う上位プロトコルへのEthernetフレームのカプセル化が終わると、次に伝送のためのマッピングを行うことができます。

Figure 1. Comparison of HDLC and GFP frame encapsulation.
図1. HDLCとGFPフレームカプセル化の比較

マッピングとは、リンク上で伝送を行うために、カプセル化されたEthernetフレームを「コンテナ」内に配置するプロセスです。それらのコンテナには、テクノロジごとに様々な名前が付けられています。解説のための一般名称として「コンテナ」という用語を使うことにすると、コンテナの第1の目的は、情報の整列性を提供することです。一部のコンテナは、管理/シグナリングのための経路とリンク品質のモニタリングも提供します。コンテナは通常、オーバヘッドと管理トラフィックの位置があらかじめ定義された、厳密なフォーマットを備えています。SDHのコンテナの例としては、C-11、C-12、C-3などがあります。PDHのコンテナを指す場合は、「トランク」と「トリビュタリ」という用語が一般的に使われています。PDHにおける例としては、DS1、E1、DS3、E3などのフレーム構造があります。ほとんどの場合、1つまたは複数の、より低速なデータレートのコンテナを、より高いデータレートのコンテナ内に配置(「マッピング」)することが可能です。SONET/SDHネットワークでは、仮想チャネル(VC)とトリビュタリユニットも定義されており、基本的なコンテナが持つ厳密な要件の一部を迂回して、より大きな柔軟性を提供する役目を果たしています。

基本的なDS1とE1のトリビュタリのフレームフォーマットを図2に示します。各フレームに、フレーミング情報用に予約された場所があることに注意してください。フレーミングビット(またはバイト)の目的は、受信側ノードにアラインメント情報を提供することです。構造化されたフレームフォーマットが、125msごとに繰り返されます。24個のDS1フレームのグループが、1つの拡張スーパーフレーム(ESF)になります。16個のE1フレームのグループが、1つのE1マルチフレームになります。フレーミング情報を使うことによって、受信側ノードは到着した各ビットを個々のタイムスロットまたはチャネルに分配することができます。従来型の電話では、各タイムスロット(またはチャネル)が1つの通話のディジタル化された情報を搬送します。パケット化されたデータを伝送する際には、すべてのタイムスロットを単一のコンテナとして集合的に利用することができます。

Figure 2. Examples of PHD frame formats.
図2. PHDフレームフォーマットの例

カプセル化されたEthernetフレームがPDH上で伝送される際、Ethernetフレーム間の時間はアイドルパターンで埋められます。GFPカプセル化がDS1またはE1上で搬送される場合、情報はバイト整列されています。このアラインメントは、DS3リンクを使用する場合より若干複雑です。ニブル整列は、DS3リンク向けにITU-T G.8040で規定されています。図3に、GFPでカプセル化されたDS1リンク上のEthernetの例を示します。カプセル化されたEthernetフレームの配置が、DS1のフレーミングパターンビット(「F」)とは無関係にバイト整列されていることに注意してください。図には示されていませんが、ペイロード情報には送信前にx43+1のスクランブルアルゴリズムが適用されます。SDH伝送コンテナにもこれと同様なマッピングとスクランブルの技法が利用されています。SDH上へのEthernetフレームの直接的なマッピングに関する完全な仕様は、ITU-T G.707で規定されています。

Figure 3. GFP Encapsulated ethernet frames mapped into a DS1 extended super frame (ESF).
図3. DS1拡張スーパーフレーム(ESF)にマッピングされたGFPカプセル化Ethernetフレーム

リンクアグリゲーションを機能の面から見ると、2つ以上の物理的接続を組み合わせて、単一の仮想接続にするものです。リンクアグリゲーションの実体は、複数の信号経路にデータを分配し、異なるレイテンシを持つ経路から受け取った情報のアラインメントを整え、データを正確に再編集して上位プロトコルに透過的な形で受け渡すための、構造化された方法論です。リンクアグリゲーションも、決して新しいものではありません。マルチリンクフレームリレー(MLFR)、マルチリンクPPP (MLPPP)、マルチリンク手順(X.25/X.75 MLP)、およびInverse Multiplexing over ATM (IMA)は、リンクアグリゲーションテクノロジのごく一部の例に過ぎません。これらの中で、IMAとMLFRが最も広く普及しています。

Figure 4. Link aggregation application example.
図4. リンクアグリゲーションのアプリケーション例

リンクアグリゲーションは、図4に示すように2つのネットワークノード間の帯域幅を増大し、より高スループットのPDHまたはSDHトリビュタリへの移行を先延ばしできるようにするために使われるのが一般的でした。リンクアグリゲーションの1形式であるEthernet in the First Mile (EFM、IEEE 802.3ahで定義)は、複数のDSL回線を結合し、特定の距離における帯域幅を増大させるか、または多くの場合より重要な目的として、特定のスループットでサービス可能な距離を効果的に増大させます。

現在SONET/SDHネットワークで使用されている主なリンクアグリゲーションテクノロジは、バーチャルコンカチネーション(VCAT)と呼ばれており、ITU-T G.707で定義されています。この規格では、既存のオーバヘッド経路をVCATのオーバヘッドに利用します。しかし、VCATの概念をPDHネットワークに拡張するに当たって、既存の管理経路では不十分であり、VCATオーバヘッド経路用に新しいフィールドが割り当てられました。図5に、DS1接続用のVCATオーバヘッドの位置を示します。オーバヘッドバイトは、結合された各DS1上でESFの最初のタイムスロットを占めることになります。

Figure 5. Virtual concatenation (VCAT) overhead for DS1.
図5. DS1用のバーチャルコンカチネーション(VCAT)オーバヘッド

VCATオーバヘッドバイトによって作られる管理チャネルは、各リンクに関する情報の伝達に使用されます。送信するDS1 ESFまたはE1マルチフレームごとに、1バイトのVCATオーバヘッドがリンク上に送出されます。こうして、利用可能なDS1の帯域幅の1/576がVCATオーバヘッドに使用されることになります。

VCATオーバヘッドの定義を図6に示します。図に示した16バイトが、1度に1バイトずつ、16個の連続したDS1 ESFにわたって転送されます。48msごとに、これらのバイトが繰り返されます。

VCATオーバヘッドバイトの下位ニブルには、様々な伝送遅延を持つリンクからのフレームのアラインメントに使用される、マルチフレームインジケータ(MFI)が格納されます。上位ニブルには、MFIを構成する16の値の1つごとに一意に定義されたコントロールワードが格納されます。この上位ニブルは、Virtual Concatenation and Link Capacity Adjustment Scheme (LCAS) informationの頭文字を取ってVLIと呼ばれます。

Figure 6. VCAT overhead byte definition for DS1/E1.
図6. DS1/E1用のVCATオーバヘッドバイトの定義

結合されたリンクは、全体としてVirtually Concatenated Group (VCG)と呼ばれます。図7に示すように、VCGのすべてのメンバがそれぞれにVCATオーバヘッド経路を持ちます。図7では、VCGの各メンバに対するデータの配置も図示しています。EoPDHリンク結合の完全な仕様は、ITU-T G.7043で規定されています。

Figure 7. Distribution of data on a four-member DS1 VCG.
図7. 4メンバのDS1 VCG上におけるデータの分配

リンク容量調整は、2つのノード間の論理接続を追加または除去することによって、アグリゲートスループットを変化させるために使用されます。VCGのメンバが追加されるとき、または除去する必要があるとき、2つのエンドノードはLCASを使ってトランザクションのネゴシエーションを行います。LCASは、VCATのオーバヘッド経路を利用してネゴシエーションを行います。LCASの使用によって、データの流れを中断せずにVCGに帯域幅を追加することができます。さらに、障害が発生したリンクはトラフィックへの影響を最小限に抑えて自動的に除去されます。LCASの完全な規格はITU-T G.7042/Y.1305で規定されています。

管理メッセージングは、ネットワークノード間で主として状態の通知、障害の報告、接続性のテストに使用されます。キャリアのEthernetネットワークでは、これは一般にオペレーション、アドミニストレーション、およびメンテナンス(OAM)と呼ばれています。OAMが重要なのは、ネットワーク運用の容易化、ネットワーク性能の検証、および運用コストの削減につながるためです。ネットワークの性能低下や障害を自動的に検出し、可能なら復旧作業を自動的に実施し、ダウンタイムの長さの記録を保証することによって、OAMは加入者が受けるサービスの水準に大いに貢献します。

交換されるメッセージは、OAMプロトコルデータユニット(OAMPDU)と呼ばれます。状態の監視、接続性の確認、障害の検出、障害の報告、エラーの局所化、データのループバック、セキュリティ侵害の防止など、様々な目的のために16種類以上のOAMPDUが定義されています。国際電気通信連合(ITU)が管理ドメインのレイヤを定義しており、キャリアのOAMが個々のポイントトゥポイントリンクを管理する一方で、ユーザのネットワーク管理トラフィックのネットワークの通過を許可しています。またITUは管理組織間のやり取りも定義しており、エンドトゥエンドのフローに対する、複数のキャリアによるシームレスな管理を許可しています。OAMPDUのフォーマットと使用法は、IEEE、ITU、およびMetro Ethernet Forum (MEF)によって共同で定義されています。該当する規格には、IEEE 802.3ahと802.3agに加えて、ITU-T Y.1731とY.1730があります。

タギングは、キャリアのネットワーク内の任意の位置で、キャリアが顧客のデータトラフィックを一意に識別することを可能にします。この目的のために、VLANタギング、MPLS、GMPLSなど、いくつかの技法が使用されています。これらの技法はすべて、進入ポイント(トラフィックが最初にネットワーク内に入る時点)において個々のEthernetフレームにいくつかの識別用バイトを挿入し、フレームがネットワークを離れるときにその情報を除去します。これらの技法は、それぞれ単なるタギング以外の機能も提供しています。たとえば、VLANタグにはトラフィックの優先順位付けのためのフィールドも含まれており、MPLS/GMPLSはトラフィックの「スイッチング」(すなわち、フレームの宛先を判定し、ネットワークの該当する部分にのみ転送する処理)に使用するために設計されています。

優先順位付けは、Ethernetフレームがネットワーク内のいずれかのポイントでバッファリングされる場合に使用することができます。フレームがバッファ内で待機している間、最も優先順位の高いトラフィックが最初に送信されるようにスケジューリングを行うことが可能です。優先順位付けは、信号で停止している車の並べ替えという形で具象化することができます。ノードからの出力データ速度が入力データ速度より低い場合、バッファリングを行う必要があります。通常、こうした状況はネットワーク輻輳による過渡的現象であり、極めて短時間だけ存在します。長期間にわたってノードの出力速度が入力データ速度よりも低い場合は、フロー制御を使用して「バックプレッシャ」をかけ、データソースからのデータを減速する必要があります。長距離の帯域幅は短距離と比較して高コストであるため、後者の状況はローカルエリアネットワーク(LAN)のトラフィックがワイドエリアネットワーク(WAN)接続に入るノードで一般的に見られます。このノードは通常「アクセスノード」と呼ばれ、トラフィックの優先順位付けにおいて最も重要な役割を果たします。優先順位付けとフロー制御というこの2つの概念は、一般にサービス品質(Quality of Service:QoS)と呼ばれるものの基礎になります。多くの人が、優先順位付けを使うと優先順位の高いトラフィックに対して保証付きの「空いたパイプ」が提供されると誤解しています。実際には、優先順位付けとスケジューリングは、単にバッファ付きノードにおいて「より重要な」トラフィックの遅延が最小になるようにするだけです。QoSを適切に実装するためには、他にも考慮すべき面がいくつかあります。

ネットワークノードが実行する上位アプリケーションには、幅広い目的を対象としたものが考えられます。最も一般的なのが、レイヤ2 (データリンク層)およびレイヤ3 (ネットワーク層)アプリケーションです。レイヤ2アプリケーションには、ノード間の通信に影響を与えるプロトコルが含まれます。これらには、アドレス解決プロトコル(ARP/RARP/SLARP/GARP)、ポイントトゥポイントプロトコル(PPP/EAP/SDCP)、およびブリッジングプロトコル(BPDU/VLAN)などのプロトコルが含まれます。レイヤ3アプリケーションには、ホスト間通信のプロトコルが含まれます。これらには、ブートストラッププロトコル(BOOTP)、動的ホスト構成プロトコル(DHCP)、インターネットグループ管理プロトコル(IGMP)、およびリソース予約プロトコル(RSVP)などのプロトコルが含まれます。レイヤ4 (トランスポート)プロトコルは時々実装されますが、通常はより上位のアプリケーションへのサービス提供だけを目的としています。

レイヤ7 (アプリケーション層)プロトコルは、EoPDH機器で時々利用されます。これらには、HTMLユーザインタフェースWebページのサービスを行うハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)と、加入者のネットワーク管理ツールによる自動化された機器監視を提供するシンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)が含まれます。

EoPDHテクノロジは、十分に確立されたPDH伝送テクノロジを利用することによって、ネイティブなEthernetフレームを既存の電気通信インフラ上で伝送する手段を提供します。EoPDHの長期的な見通しは、いくつかの基準で評価することができます。

サービス品質と信頼性 高度なEthernet OAMが、基底のDS1/E1またはDS3/E3トランスポート以上にサービス品質を増大させます。リンクの監視、性能低下とリンク障害の自動報告、および修復作業の自動化が可能です。基底のトランスポートがPDHであるため、既存のPDH管理ツールも利用することができます。長期的には、PDHとEthernetの管理ツールが融合し、透過性と単一の管理インタフェースを提供するようになる可能性があります。

帯域幅のニーズとスケーラビリティ EoPDHのリンクアグリゲーションは、1.5Mbpsから360Mbpsまで、最小1.5Mbps単位で伝送に使用される帯域幅のスケーリングを可能にします。この帯域範囲は、IPTVのような大きな帯域幅を必要とするアプリケーションを含めて、近い将来予想されるすべてのアクセスアプリケーションに対応するものです。進入ポイントにCIR (Committed Information Rate)回路を使用することによって、エンドユーザに供給する帯域幅の粒度をさらに細かくすることができます。

相互運用性と使いやすさ EoPDHは既存のPDHテクノロジを利用しているため、PDHトリビュタリに関する知識と機器の大規模なインフラがすでに存在しています。訓練された技術者がすでにPDHトリビュタリの提供とメンテナンスについて理解しており、PDH用のテスト機器がいつでもすぐ利用できます。旧来の機器を使用して、PDHトリビュタリの伝送、スイッチング、および監視を行うことが可能です。相互運用性があるため、EoPDHを旧来のSONET/SDHネットワークと組み合わせて使うとき、コスト面の大きな優位性が存在することになります。これらのテクノロジの組み合わせは、Ethernet-over-PDH-over-SONET/SDH、略してEoPoSと呼ばれています。EoPoSは、旧来のTDM-over-SONET/SDH機器の再利用を可能にすることで、コストを削減します。既存のSONET/SDHノードを「次世代の」Ethernet-over-SONET/SDH (EoS)ボックスにリプレースするのではなく、レガシーADMからEoPDH VCAT/LCASリンクアグリゲーションを実行するより低コストのCPEまたは境界デバイスにPDHトリビュタリを届けることができます。

機器コストと運用コスト 伝送網に既存の機器を使用することができるため、EoPDH対応にする必要があるのはアクセスノードだけです。多くの場合、アクセスノードをEoPDH対応にするために必要なのは、小さなDSU (モデム/メディアコンバータ)の追加だけです。先進的なEthernet OAMが、リンクの監視と迅速な障害位置の特定を通して、運用コストを削減します。将来の機器はEthernetベースのプロトコルを利用して自己設定を行うようになることも考えられ、インストールが大幅に単純化します。EoPDHは、単にキャリアの資金を節約するだけでなく、複数の(アグリゲートされた) DS1やE1接続の加入者サービス料金が、通常はDS3のようなより高速な接続のサービス料金よりはるかに低額であるため、キャリアの顧客にとっても費用の節約になります。

EoPDHテクノロジのアプリケーションは、電気通信機器の世界全体に広がっています。PDH、TDM、またはシリアルリンク上でEthernetフレームを伝送するその他すべての機器が、EoPDHテクノロジのメリットを享受することができます。機器の種類の例としては、リモートDSLAM、セルラバックホール、WANルータ、Ethernetアクセス、マルチテナント型アクセスユニット、EFM機器などがあります。

著者について

Arthur Harvey

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