容易なガルバニック絶縁
多くの電気回路はガルバニック絶縁を必要とします。通常、この電気的な分離を実現するにはトランスが使われます。トランスを介した電気的エネルギーの伝達には様々な回路構成が使われます。特に約50W以下の低消費電力用に広く使われている方法の1つが、フライバック・コンバータです。
簡単なフライバック・コンバータの回路図を図1に示します。スイッチS1がオンになっている間、フライバック・コンバータはトランスのコアT1にエネルギーを貯えます。S1がオフになると、コアに貯えられたエネルギーは、T1の2次巻線とフリーホイール・ダイオードD1を通って出力に放出されます。
図1 フライバック・コンバータの回路図
図1には、電力パスに加えて、緑で示した帰還パスも必要であることが示されています。これは、出力電圧のレギュレーションを正確に行うために使われます。残念ながら、この帰還パスは極めて複雑なものになります。その理由は、ここでもガルバニック・アイソレータを通して帰還信号を伝達しなければならないからです。これには、ADuM3190のようなフォトカプラやデジタル・アイソレータが使われます。帰還信号は1次側でも検出でき、この場合、帰還パスのガルバニック絶縁は必要ありません。
ガルバニック絶縁されたフットプリントの小さいフライバック回路は、アナログ・デバイセズが提供するフォトカプラ不要の製品プラットフォームに属するコンバータを使い、簡単に構成することができます。最大入力電圧42V、最大スイッチ電流1.2AのLT8301を図2に示します。図2の回路には、出力電圧から1次側のスイッチング・レギュレータへ戻る帰還パスがありません。しかしこの回路には、トランスを経由する隠れた内部帰還パスが存在します。1次側スイッチがオフになっている間は、トランスの1次側巻線を介して反映される電圧が測定されます。これにより、出力電圧の状態に関する正確な情報を1次側で得ることができます。
図2 フォトカプラ不要のLT8301を使用した非常にコンパクトで使いやすいフライバック・コンバータ
このガルバニック絶縁ソリューションに加えて、ガルバニック絶縁されたフライバック回路を構成する巧妙な方法がもう1つあります。この技術を図3に示します。これは絶縁型降圧コンバータと呼ばれます。
図3 MAX17681を使って構成した絶縁型降圧コンバータ
一般的なフライバック・コンバータと絶縁型降圧コンバータの主な違いは、1次側トランス巻線とグラウンドの間にあるコンデンサCBUCKです。MAX17681では、トランスの1次側巻線がハーフブリッジで駆動されます。これは、MAX17681にハイサイド・スイッチとローサイド・スイッチがあることを意味します。フォトカプラ不要のフライバック(図2)のスイッチは1つだけで、これはトランスの1次側巻線とグラウンドの間にあります。
絶縁型降圧コンバータは、結合インダクタを備えることで絶縁電圧を生成する、シンプルな降圧コンバータと考えることができます。図3の青い線は降圧コンバータを示しています。CBUCKの電圧が、この集積化降圧コンバータの安定化電圧に相当します。
ガルバニック絶縁されたこれらのスイッチング・レギュレータの概念は、いずれもフォトカプラによる帰還信号を必要としません。それぞれのソリューションの利点は何でしょうか。
フォトカプラ不要のコンバータ(図2)は、大きい1次側バイパス・コンデンサ(CBUCK)を必要とせず、1個のスイッチで内部的に駆動されます。絶縁型降圧コンバータには、正確にレギュレーションされた1次側電圧を更に使用できるという利点があります。これは、例えば1次側回路デバイスの電子回路に電力を供給するシステムにも使用できます。この場合は、それに対応する巻数比で利用できるトランスを使用したときに、必要なガルバニック絶縁電圧VOUT2が生成されるように設定する必要があります。
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