エンジニア・ガイド:適切な出力電圧を動的に調整する方法
電源は通常、電気的負荷に電力を供給するために一定の出力電圧に設定されます。しかしアプリケーションの中には、生成電圧を変える必要のあるものもあります。例えばマイクロコントローラは、それぞれの動作状態に従ってコア電圧を調整すれば、より効率的に動作させることができる場合があります。本稿では、このような目的のために設計された専用のD/Aコンバータ(DAC)を使って、電源の出力電圧を必要に応じ随時調整する方法を示します。
通常、電圧コンバータの出力電圧は抵抗分圧器を使って設定します。固定電圧の場合これは非常にうまく機能します。しかし出力電圧を変えるには、分圧器の抵抗値の1つを調整する必要があります。これは、ポテンショメータを使って動的に行うことができます。降圧トポロジでスイッチング・レギュレータICを使用する、この種の簡単な回路の一例を図1に示します。
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図1 出力電圧を調整するために抵抗パスにポテンショメータを配置したスイッチング・レギュレータ
残念ながら、多くのアプリケーションでは、図1に示すようなポテンショメータを使用した回路はあまり実用的ではありません。多くの場合、電圧はデジタル信号で設定する必要があります。望ましいオプションの1つが、正または負の小さい電流をFBノードに流すことです。これに対しては、出力信号を動的に調整するために特に設計された小型のDACを使用できます。
電圧コンバータとLTC7106 DACを帰還パスの配線に挿入した回路の例を図2に示します。原則として、この回路には、アクセス可能な外部帰還ピンを備えた任意の電圧コンバータを使用できます。
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図2 スイッチング・レギュレータの出力電圧を動的に調整するためのLTC7106 DAC。
LTC7106は抵抗分圧器への電流出力を備えており、様々な出力電圧に対し、それに対応するスイッチング・レギュレータICのリファレンス電圧がスイッチング・レギュレータのFBピンに生じます。これにより、FBピンが必要なレギュレーション電圧を受け取ることで出力電圧が設定されます。
電流出力を持つ他の多くのDACと異なり、LTC7106は、有効なデジタル・コマンドが存在しない限りIDACピンに電流が生じないように設計されています。そのため、回路のスタートアップ時に不要な電圧が設定されることがありません。
LTC7106は、アプリケーションに応じて1LSBあたり1µA、または1LSBあたり4µAでの動作が可能な7ビットDACです。最大分解能が得られるのは1LSB当たり1µAの場合です。スイッチング・レギュレータの抵抗分圧器は、LTC7106の動作を1LSBあたり1µAにした場合に合わせて設定することを推奨します。
電流DACの出力の精度は正の範囲で±0.8%、負の範囲で±1.5%であり、どちらも許容温度範囲全体に対する値です。
LTpowerPlay®を図3に示します。これは、LTC7106を簡単にプログラムすることのできるグラフィカル・ユーザー・インターフェースです。
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図3 PMBusまたはI2Cを介したLTC7106の制御に使用するLTpowerPlayグラフィカル・ユーザー・インターフェース。
もちろん、回路にLTC7106を使用した場合でも、調整できる出力電圧には限界があります。スイッチング・レギュレータやリニア電圧レギュレータが生成できる電圧は、そのデバイスが想定している範囲に限られます。リニア電圧レギュレータや降圧スイッチング・レギュレータが生成できるのは、入力電圧より低い出力電圧だけです。また、電圧変換回路をチェックして、必要な出力電圧に対して制御ループの安定性と出力電圧リップルが妥当な範囲内に収まっているかどうかを確認することも推奨されます。
LTC7106のような小型電流DACを使用すれば、出力電圧の動的調整は極めて容易です。その機能は、最小限の配線で信頼できる動作を確保できるように設計されています。
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