iCoupler デジタル・アイソレータを太陽光発電用インバータに使用した設計

2011年01月01日

標準的なセントラル・インバータ太陽光発電システムのインバータ・コントローラの筺体を開けると、デジタル・アイソレータが多くの箇所で使用されているのがわかります。これらにはゲート駆動信号の絶縁、電圧制御ループのデジタル帰還の絶縁、通信チャンネルの絶縁があります。ADI はこれらの設計ニーズに良く適合した製品を提供しています。

まず第一に、すべてのインバータにはDC パワーをAC パワーに変換するために大きな負担がかかるMOSFET あるいはIGBT のパワー・トランジスタがあります。これらのパワー・スイッチはDC/ACコントローラにより駆動されます。この場合ほとんどのコントローラが低電圧デバイスであるのに対し、パワー・トランジスタは相対的にかなり高電圧のデバイスなので、この機能にはデジタル信号を絶縁したゲート・ドライバが必要となります。ADI のiCoupler®技術はADuM3220(ピーク電流4A の駆動能力のある2 個の絶縁ドライバが一つのパッケージに収納されています。)のようなたくさんの絶縁ゲート・ドライバの基礎を形成しています。2 個のADuM3220 によりHブリッジ出力回路の4 個のスイッチを制御する事ができます。

図 1.ADuM3220 と H ブリッジ駆動

図1 をご覧ください。通常標準的なインバータでは最低2 個のコントローラ(もし3 個でなければ)があります。DC/DC コントローラとDC/AC コントローラの両方使用されている場合は、システム全体を効率よく動作させるためにそれら2 個のコントローラ間での通信が必要です。しかし、DC/DC コントローラは多くの場合DC/AC コントローラから電気的に絶縁されているか、又は少なくても高い確率で2 つのグランド・システム間に大きなCM電圧が存在します。そのため、2 つのプロセッサ間の通信は電気的に絶縁されていなければなりません。これが市場で多くの標準双方向アイソレータが販売されている理由です。クワッド・チャンネル・アイソレータのADuM140x ファミリはこのアプリケーションによく使用されています。

最終的には、システムの性能についてセントラル・コントローラへ報告する事と、そのソースからの命令を受信する両方の通信チャンネルが必要となるでしょう。高データレートで通信する場合又は長距離に渡って通信する場合、シングル・エンド伝送より差動データ伝送の方が優れた性能を発揮します。この通信タスクによく使用されているプロトコールはRS-485 とCAN です。RS-485の仕様は、真のマルチポイント通信ネットワークの要求を満たしており、規格では1 本のバス (2 線式)で最大32個のドライバと32 個のレシーバを許容されています。しかし標準的なソーラ装置にはこの能力まで必要とされないでしょう。アナログ・デバイセズはADM248x ファミリによって、このアプリケーションに適した幅広いiCoupler ベースの絶縁型RS-485/RS-422 トランシーバをご提供しております。さらに最近では、絶縁CAN トランシーバファミリのADM3052/ADM3053 を発表しました。この製品は現在サンプル出荷中で、量産開始と販売開始は2011 年夏を予定しています。

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