要約
多くのバッテリ電流監視アプリケーションでは、バッテリの充電電流と放電電流の両方を測定するために、双方向の電流検出が必要とされます。このアプリケーションノートでは、2組の片方向電流出力/電流検出アンプ(MAX4172やMAX4173など)を接続して、1組の双方向電流検出アンプを形成させる方法について説明します。
はじめに
多くの電流検出アプリケーションでは、双方向の電流検出機能が必要とされます。たとえば、ラップトップをAC電源に接続している場合、ACアダプタがラップトップに電源を供給し、バッテリを充電します。バッテリがオーバヒートしないこと、およびACアダプタから取り出される入力電力の合計がULで定められた上限を超えないことを保証するため、バッテリの充電電流が監視されます。同様に、ACアダプタが使用できず、バッテリ容量を温存する必要がある場合には、負荷デバイスに対する残量計測/アクティブパワーマネジメントのために、バッテリの放電電流が監視されます。図1に、バッテリ充電/放電アプリケーションにおける典型的な電流検出アンプの実装を示します。
図1. ラップトップアプリケーションで使用される典型的なバッテリ充電/放電回路
双方向電流検出アンプの構築
MAX4172、MAX4173、およびMAX4073の3つは、電流出力を備えた片方向電流検出アンプとして広く普及しています。MAX4172はµMAX®パッケージで提供され、最大オフセット電圧1.6mV (SOIC版では0.75mV VOS)の精度と、産業温度範囲にわたり±2%の最大利得誤差という仕様を備えます。MAX4173は小型のSOT23パッケージで提供され、3mVの最大オフセットと、電流出力を電圧出力に変換するための12kΩ内蔵負荷抵抗を備えています。MAX4073も同様に小型のSC70パッケージで提供されます。3種類ともに高い信号帯域を持ち、アナログ制御ループ内における魅力的なソリューションとなっています。
これらのデバイスは、その電圧入力/電流出力機能によって、幅広い種類の巧妙な回路における活用が可能になっています。たとえば、2つの片方向電流検出アンプ(MAX4172やMAX4173など)を使用して、高速な双方向電流検出アンプを構築することが可能です(図2)。
図2. 2組の片方向電流検出アンプによる双方向電流検出アプリケーションを示す2種類の回路。
Part AはVRS+ > VRS-のとき(すなわち、バッテリが負荷電流を供給しているとき)アクティブになり、Part BはVRS- > VRS+のとき(すなわち、バッテリがACアダプタによって充電されているとき)アクティブになります。汎用オペアンプが2つのアンプからの出力電流を組み合わせて、適切な出力電圧にします。VREFで、ゼロ電流時の出力電圧(ゼロ検出電圧)を設定します。Part Aがアクティブのとき出力電圧はVREF以上に増大し、Part BがアクティブのときVREF以下に減少します。MAX4172の回路でRa ≠ Rbを使用することによって、正の(放電)電流と負の(充電)電流について異なる利得を使用することができます。
MAX4173の回路では、フィードバック中で1nFのコンデンサを使用して制御ループを安定させています。Part BのGND端子はオペアンプの出力によって変調されるため、MAX4173に印加するVCCはMAX4230の最大出力より少なくとも3V以上高くする必要があります。この値によって、デバイスを適切に動作させるのに十分な電源電圧のヘッドルームを確保することができます。
MAX4172とMAX4173の両方の回路の伝達特性を、図3および図4にそれぞれ示します。
MAX4172の回路の条件は、次の通りです。
VBAT = 8V
VCC = 3.3V (MAX4172およびMAX4230の場合)
Ra = Rb = 1kΩ
VREF = 1.2V
図3. MAX4172の回路の伝達特性
MAX4173の回路の条件は、次の通りです。
VBAT = 8V
VCC = VBAT (MAX4173の場合)
VCC = 5V (MAX4230の場合)
VREF = 1.5V
図4. MAX4173の回路の伝達特性
マキシムでは一体型の双方向電流検出アンプもご提供しています。
- MAX4081:76V双方向電流検出アンプ
- MAX4069–MAX4072:24V双方向電流検出アンプ(内部リファレンス付き/なし)
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