最適な電力転送機能と安全機能を備えたフル機能内蔵の高効率100mAワイヤレス充電ソリューション

2019年09月01日
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LTC4124は、高性能の100mAワイヤレス・リチウムイオン・チャージャ・レシーバーで、外付け部品がほとんど不要で、スペースの制約があるアプリケーション向けに小型のトータル・ソリューションを提供します。このデバイスは、Optimum Power Search機能と異物検出機能を備えたワイヤレス・パワー・トランスミッタであるLTC4125と組み合わせることで、安全で効率的なワイヤレス充電環境を創出します。

高集積ワイヤレス・チャージャ・レシーバー

小型フォーム・ファクタのポータブル・デバイスやウェアラブル・デバイス向けに、ワイヤレス充電が次第に広く用いられるようになっています。これは驚くにはあたりません。デバイスは、コネクタやポートが露出しないため堅牢さが増し、エンド・ユーザの使用感が大幅に簡素化されます。例えば補聴器などのデバイスには通常スペースの制約がありますが、これを克服するため、LTC4124ではワイヤレス・パワー・マネージャを組み込み、ワイヤレス共振タンクからのAC電圧を調整されたDC電圧に変換しています。そしてこのDC電圧は、フル機能リニア・バッテリ・チャージャに伝送され、健全なバッテリ充電サイクルを提供します。この高度な集積化により、レシーバー共振タンクとバッテリ自体を追加するだけで、非常に小型でフル機能のワイヤレス充電が実現できます。

効率的なワイヤレス・パワー・マネージャ

図2に示すように、LTC4124がバッテリの充電に必要な量より多くの電力を受電した場合、ICのワイヤレス・パワー・マネージャが、レシーバーの共振タンクをグラウンドにシャントすることで、ICへの入力電圧VCC を低く保ちます。このように、リニア・チャージャは入力を常にバッテリ電圧VBATTよりわずかに高い値に維持するため、非常に効率的と言えます。シャント回路が機能している場合は、共振周波数がトランスミッタ周波数から外れるため、共振タンクの受電パワーも小さくなります。

図1 6mmワイヤレス・バッテリ・チャージャのフル機能ソリューション

図1 6mmワイヤレス・バッテリ・チャージャのフル機能ソリューション

図2 AC入力の整流とDCレール電圧の調整

図2 AC入力の整流とDCレール電圧の調整

LTC4125トランスミッタを使用したワイヤレス充電設計の完成

図3に示すLTC4125は、高性能のAutoResonantワイヤレス・トランスミッタで、ワイヤレス充電アプリケーション向けの保護機能を完備しています。LTC4125のOptimum PowerSearchにより、レシーバーの負荷条件に応じて伝送電力が調整されます。また、LTC4125には、複数の異物検出手法が備わっており、他の対象物がトランスミッタから不要な電力を受電することのないようにします。

図3 Optimum Power Search動作時のLTC4125 AutoResonantトランスミッタを組み合わせた100mA LTC4124チャージャ・レシーバー

図3 Optimum Power Search動作時のLTC4125 AutoResonantトランスミッタを組み合わせた100mA LTC4124チャージャ・レシーバー

LTC4124と併用することで、LTC4125のフルブリッジ共振ドライバをハーフブリッジに変換してより分解能の高い探索手順を使用できるため、ロー・パワー・レシーバーがバッテリをちょうど充電できるだけの電力を受電可能となります。バッテリがフル充電に近づくにつれ、LTC4124は定電圧モードに入り、調整される充電電流は減少します。LTC4125は、レシーバーの低電力の需要に合わせて自動的に電力供給レベルを低下させます。これにより、充電サイクル全体を通じた消費電力が削減され、LTC4124チャージャとバッテリの温度上昇を抑制できます。

図4に、フル・パワー時および電流制限定電圧モード時のレシーバー回路の温度を示します。どちらの条件でも、温度は室温環境下で40°Cを下回っています。

図4 熱性能比較:(a)充電電流100mA(出力電圧4.1V)、(b)充電電流10mA(出力電圧4.2V)

図4 熱性能比較:(a)充電電流100mA(出力電圧4.1V)、(b)充電電流10mA(出力電圧4.2V)

チャージャ・レシーバーをトランスミッタから取り外すと、LTC4125はアクティブな負荷を検出できなくなり、消費電力を削減してスタンバイ・モードになります(図5参照)。金属異物をトランスミッタに置いた場合にLTC4125が高共振周波数を検出してスタンバイ・モードに入る様子を、図6に示します。

図5 レシーバーを検出しない場合のLTC4125の動作

図5 レシーバーを検出しない場合のLTC4125の動作

図6 異物を検出した場合のLTC4125の動作

図6 異物を検出した場合のLTC4125の動作

まとめ

LTC4124には、ワイヤレス・パワー・マネージャとフル機能のリチウムイオン・バッテリ・チャージャが集積されており、スペースの制約があるアプリケーションでのワイヤレス・チャージャ・レシーバーの設計を簡素化できます。LTC4125は、LTC4124レシーバーに対するハーフブリッジ・トランスミッタとして使用することで、優れた保護機能を持つ高効率ワイヤレス充電ソリューションを実現できます。

著者について

Wenwei Li
マサチューセッツ州ノース・チェルムズフォードにあるアナログ・デバイセズのパワー・プロダクト・アプリケーション・エンジニア。2014年中国長沙市の湖南大学で電気工学士号を取得、2016年オハイオ州コロンバスのオハイオ州立大学で理学修士号を取得。

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