15mm×15mm×4.32mmのパッケージに収容された完全な20V、20A高性能μModule DC/DCレギュレータ

2014年01月01日
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LTM4637は、15mm×15mm×4.32mmの小型LGAパッケージに収容された完全な20A高性能スイッチ・モード電源です。コントローラ、パワーMOSFET、インダクタ、および補償回路が低背型パッケージ内にすべて集積されているので、PCBの底面での使用が可能です。LTM4637の入力電圧範囲は4.5V~20Vで、0.6V~1.8V の出力電圧範囲をサポートしています。動作周波数範囲は440kHz~770kHzで、わずか数個の外付け部品で最大20Aを供給できます。

汎用性

LTM4637の特長は、プログラム可能なソフトスタートによる突入電流の制限、ならびに出力電圧トラッキングによるシーケンシング要件への対応です。その他に、出力電圧パワーグッド・インジケータ、効率向上を実現するために内部LDOをバイパスできるようにする外部VCCピンを備えており、パルス・スキップ・モードおよび軽負荷時の効率を向上するためのBurst Mode動作を選択可能で、さらには内部温度モニタも内蔵しています。

容易な補償、容易な並列動作

LTM4637の固定周波数電流モード制御と内部帰還ループ補償により、広範囲の出力コンデンサで優れた安定性とトランジェント性能を実現します。また、LTM4637は差動リモート検出アンプを内蔵しており、さらには位相同期ループと電圧制御発振器による外部クロックへの同期機能も備えています。これらの機能により、LTM4637はさらに高い負荷電流の要求を満たす並列接続モジュールに最適です。LTM4637の電流モード制御アーキテクチャにより、バランスのとれた負荷電流分担が確実になり、効率や熱に関する利点を最大限に引き出すことができます。差動リモート検出アンプによって、並列接続したLTM4637が負荷の近傍で±1.5% の高精度出力電圧を安定化することが可能であり、PCBでのIR 電圧降下に起因する誤差を補償できます。内蔵の位相同期ループにより、同期および並列化された位相の交互配置が可能で、システム内の電圧リップルおよび電流リップルを最小限に抑えることができます。

保護

LTM4637は、過電圧保護、フォールドバック電流保護、および過熱保護機能を備えています。出力電圧が設定値の10%を超える過電圧状態が発生した場合、上側のMOSFETは強制的にオフになり、下側のMOSFETは過電圧状態が解消されるまでオンのままです。出力が短絡した場合、出力電圧が公称出力レベルの50%より低くなると、最大出力電流は元の値の1/3まで徐々に低下し、電流が短絡箇所へ急激に流れ込むのを制限します。過熱保護回路は約130°C~137°Cで内部回路をシャットダウンさせ、温度が下がったらコントローラを再起動します。これらの保護機能は、低リスクの設計を確保するのに役立ちます。さらに、一個一個のモジュールで実施される厳しい電気試験および信頼性試験により、LTM4637の信頼性を保証できます。

最小限の設計労力

LTM4637には完全な電源ソリューションが組み込まれているので、高性能の設計回路を構築する労力はほとんどかかりません。アプリケーションの設計を完成させるのに必要な外付け部品はわずか数個なので、回路図とPCBレイアウトが簡略化されます。

たとえば、各設定ピンとグランドの間に1 本の抵抗を接続して出力電圧とスイッチング周波数をそれぞれ設定し、その後、入力コンデンサと出力コンデンサを選択して電圧リップルと電流リップルの要件を満たせば、基本設計は完了です。LTM4637は設計の全労力を最小限に抑えます。このことは、製品化までの時間が鍵となる場合や、電源の設計リソースが限られている場合に重要な要素となります。標準的な12V入力、1.8V/20A出力のアプリケーション回路とその効率を図1および図2 に示します。これらはLTM4637を使用した設計が簡単で高性能であるという利点を実証しています。

図1.必要な部品がわずか数個の完全な1.8V、20Aレギュレータ

図1.必要な部品がわずか数個の完全な1.8V、20Aレギュレータ

図2.図1の1.8Vレギュレータの効率

図2.図1の1.8Vレギュレータの効率

並外れた熱性能

並外れた熱性能により、電流供給能力が向上します。これは全ソリューション・コストの削減と高電流密度アプリケーションでの信頼性の向上につながります。LTM4637は最大20Aを供給できる一方で、消費電力と熱抵抗が小さいので冷却状態を維持できます。図1の回路構成でのµModuleレギュレータの抜群の熱性能を図3に示します。強制空冷なしで20Aという大量の負荷電流を供給している場合でも、LTM4637は0.35in2 未満の実装面積から36Wの大出力電力を容易に実現し、熱負荷が過剰になるリスクはありません。内部温度をさらに下げるには、パッケージ上面の露出金属にヒートシンクを取り付けた上に、強制空冷状態にします。

図3.図1の解決策での最大負荷条件でのLTM4637の熱走査

図3.図1の解決策での最大負荷条件でのLTM4637の熱走査

まとめ

LTM4637は、少ない実装面積で最高水準の性能が要求されるアプリケーション向けの完全なPOL電源ソリューションで、設計の労力が最小限で済み、ユーザが調整可能な機能の汎用性を備えています。電力損失と熱抵抗が小さいので、位相ごとに最大20Aの負荷電流を可能にする一方で、電流モード制御により、並列に構成して負荷電流を増やすことができます。内蔵の保護機能と出荷前の厳しい電気試験により、信頼できる低リスクのソリューションを保証できます。

著者について

Sam Young
Sam Youngは、アナログ・デバイセズでμModule®レギュレータ製品やLTpowerCADを担当するアプリケーション・マネージャです。10年以上にわたり、多様な製品とアプリケーションを対象としてレギュレータの設計を支援しています。

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