24ビットADC向け アンチエイリアス・フィルタ

2016年08月03日
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ADCアプリケーションの多くは、バッファ入力でのシンプルなRCフィルタにより、適切なアンチエイリアス・フィルタが可能です。より高次のフィルタが必要なアプリケーションでは、アクティブ・フィルタが使用されることも多くあります。このフィルタの能動部品には、ADCに到達する前に信号が破損しないよう、十分な帯域幅、高速セトリング、低ノイズ、そして低オフセットといった性能が備わっている必要があります。LTC6363は、低消費電力SAR ADCの駆動用に最適化された差動オペアンプです。LTC6363のゲイン帯域幅は500MHz、セトリング時間は780ns、4ppm、2.9nV/√Hz、最大オフセット電圧は100µVです。

図1は、デジタル・フィルタを内蔵した1.5Msps/2Msps低消費電力SAR ADCであるLTC2380-24を併用するよう最適化されたLTC6363を使用した30kHzの3次フィルタを示しています。LTC2380-24は、1から65536までの変換結果をリアルタイムで平均化し、S/N比を向上させることができます。この回路では、両方の入力を±2.5Vppの信号範囲で差動駆動することも、一方の入力をグラウンドにし、他方の入力を最大±5Vpp信号で駆動することも可能です。

図1. 30kHzの3次フィルタがLTC2380-24 24ビットADCを駆動

図1. 30kHzの3次フィルタがLTC2380-24 24ビットADCを駆動

図2は、サンプル・レートを1.5Msps、平均数(N)を1および8に設定した場合のフィルタとADCの周波数応答を組み合わせたものを示しています。図3は、PScopeのスクリーン・キャプチャで、N = 1の場合における図1の回路のFFT、S/N比、THDを表しています。図4と図5は、N = 1とN = 8の場合における図1の回路のTHDおよびS/N比と入力周波数の関係を示しています。数kHz未満の入力周波数では、S/N比とTHDはデータシートの代表値に近い性能を発揮します。入力周波数がこの数kHzを超えると、THDは次第に悪化します。

図2. フィルタとADCの周波数応答の組み合わせ

図2. フィルタとADCの周波数応答の組み合わせ

図3. N = 1の場合における図1の回路のFFT、S/N比、THDを示すPScopeのスクリーン・キャプチャ

図3. N = 1の場合における図1の回路のFFT、S/N比、THDを示すPScopeのスクリーン・キャプチャ

図4. 図1の回路におけるTHDと入力周波数の関係

図4. 図1の回路におけるTHDと入力周波数の関係

図5. 図1の回路におけるS/N比と入力周波数の関係

図5. 図1の回路におけるS/N比と入力周波数の関係

著者について

Guy Hoover
Guy Hooverは、Linear Technology(現在はアナログ・デバイセズに統合)で30年以上にわたりIC設計技術者、アプリケーション・エンジニアなどの職務を果たしてきました。

Bob Dobkin氏、Bob Widlar氏、Carl Nelson氏、Tom Redfern氏の指導の下、オペアンプ、コンパレータ、スイッチング・レギュレータ、A/Dコンバータ(ADC)など、様々な製品を担当。この時期には、...

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