ADC駆動:疑似差動ユニポーラまたはバイポーラ入力
ほとんどのアプリケーションにおいて、LTC2369-18を駆動するADCドライバとして推奨されるのが低消費電力のLT6202です。ノイズ密度が1.9nV/√Hzと低く、電源電流がわずか3mAのLT6202は、柔軟性が高く、様々な振幅の信号をLTC2369-18の0V~5Vの入力範囲に変換するように構成できます。
LTC2369-18の歪み性能を最大限に発揮するために、図1に示すようにユニティゲイン・バッファとして構成されたLT6202で駆動される歪みの少ないシングルエンド・ユニポーラ信号源を使用して、データシートで規定された-120dBのTHDを実現することができます。

図1. 入力シグナル・チェーン
ADCのノイズと歪みには、バッファ・アンプと信号源のノイズと歪みが加わるため、これらについても考慮しなくてはなりません。ノイズの多い入力信号は、バッファ・アンプの前段で適切にフィルタ処理してノイズを最小限に抑える必要があります。なお、多くのアプリケーションでは、図1に示す簡単な単極RCローパス・フィルタ(LPF1)で十分です。
LPF2から成る別のフィルタ・ネットワークをバッファとADC入力の間に使って、バッファによるノイズの影響を最小限に抑えるとともに、サンプリング時トランジェントからバッファに反映される擾乱を最小限にすることが可能です。アナログ入力のRC時定数が長いと、アナログ入力のセトリングが緩やかになります。そのため、LPF2にはLPF1よりも広い帯域幅が必要です。ノイズ密度の低いバッファ・アンプを選択して、SNRの低下を最小限に抑える必要があります。
図2では、LT6202を使用して±10Vのシングルエンドで真のバイポーラ信号をLTC2369-18用に変換しています。この場合、LT6202は反転アンプ段として構成され、入力信号をLTC2369-18の入力範囲0V~5Vまで減衰させてレベル・シフトするように働きます。この反転構成では、シングルエンドの信号源は、高インピーダンス入力を直接駆動することはありません。代わりに、入力インピーダンスは、抵抗RINによって設定されます。RINは、信号源のソース・インピーダンスを基に慎重に選択する必要があります。RINの値が高いほど、LT6202とLTC2369-18のノイズと歪みはいずれもシステム全体として劣化する傾向があります。この構成でいくつかのRIN、R1、R2、R3、R4値に対して得られたSNRとTHDを表1に示します。またLT6202を図2のように使用した場合のFFTを図3に示します。

図2. LT6202を使用して±10Vのバイポーラ信号を0V~5VのLTC2369-18への入力信号に変換

図3. 図2に示した回路の32kポイントのFFTプロット(Fin = 2kHz)
RIN (Ω) | R1 (Ω) | R2 (Ω) | R3 (Ω) | R4 (Ω) | SNR (dB) | THD (dB) |
2k | 499 | 499 | 2k | 402 | 96.1 | −97.3 |
10k | 2.49k | 2.49k | 10k | 2k | 96 | −92 |
100k | 24.9k | 24.9k | 100k | 20k | 93.8 | −93.5 |
著者について
Bob Dobkin氏、Bob Widlar氏、Carl Nelson氏、Tom Redfern氏の指導の下、オペアンプ、コンパレータ、スイッチング・レギュレータ、A/Dコンバータ(ADC)など、様々な製品を担当。この時期には、...
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