図1は、MAXREFDES82#リファレンスデザインのシステムブロック図を示します。図2は、デザインの実装図を示します。回路の詳細については、回路図を参照してください。
図2. MAXREFDES82#リファレンスデザインの実装図
タッチの力または重量がトッププレートの表面に接触すると、4つの歪みゲージロードセルが変形し、電気信号をADCのMAX11254に出力します。4つのロードセルに対する力の分布に基づいて、システムは全体の力および力の重心の位置を計算します。システムは4つのロードセルの個々の信号出力を継続的にスキャンし、高精度の力とその移動マップが取得可能です。システムは力の位置のみではなく力の大きさも収集および監視するため、このシステムは3Dヒューマンインタフェース入力アプリケーションに最適です。
リセットスイッチ(SW1)はボードをリセットし、キャリブレーションスイッチは較正手順を開始するために使用します。
赤の発光ダイオード(LED)は、電源が正常であることを示します。緑のLEDの点滅は、ADCが変換を行っていることを示します。
MAX11254:24ビット、6チャネル、64ksps、デルタシグマADC、SPIインタフェース内蔵
MAX11254 ICは、システムの中央に配置されています。このデバイスは、6チャネル、24ビットデルタシグマADCで、非常に低い消費電力で優れた性能を達成します。最大64kspsのサンプルレートによって、高精度DC測定が可能です。MAX11254はSPIシリアルインタフェースを介して通信し、小型TQFNパッケージ(5mm x 5mm)で提供されます。
このデバイスは、1倍~128倍の利得設定を持つ6.2nV/√Hzノイズのプログラマブルゲインアンプ(PGA)を提供します。内蔵PGAは、信号入力をスイッチドキャパシタサンプリング回路から絶縁します。また、PGAによってICは利用可能なダイナミックレンジを犠牲にすることなくハイインピーダンス信号源と直接インタフェース可能です。
このデバイスは、2.7V~3.6Vの単一アナログ電源、または±1.8Vのスプリットアナログ電源で動作するため、アナログ入力をグランド以下でサンプリングすることが可能です。デジタル電源範囲は1.7V~2.0V、または2.0V~3.6Vで、1.8V、2.5V、3V、または3.3Vロジックでの通信が可能です。
このスマート力センサーのデザインでは、MAX11254は以下のように設定されます。
VAVDD = 3.6V、VAVSS = 0V、VDVDD = 3.6V、VREFP - VREFN = 1.8V
ADCサンプリングレート = 200sps
PGA利得 = 128
シングルサイクル変換モード(SCYCLE = 1)
シーケンサモード = 2
チャネルマップ = CH0、CH1、CH2、Ch3
マルチプレクサ遅延 = 1024µs
開発者は、提供されるファームウェア内で特定の要件に応じて設定を容易に変更することができます。
歪みゲージロードセル
歪みゲージロードセルは、4.096Vの電圧リファレンスによって励起されます。歪みゲージロードセルがそれらに作用する負荷によって変形すると、ロードセルの電気抵抗が変化するため、ロードセルは負荷に比例した電圧変化を出力します。
タッチアプリケーション用に、このデザインはPhidgets Inc.製のロードセルを備えています。ロードセルの容量は780gで、定格出力は0.8mV/Vです。非直線性は0.05% FS、非再現性は0.05% FS、スパンに対する温度の影響は0.05% FSです。特定のアプリケーションまたは精度の要件に応じて、異なるロードセルを選択し、ボード上に実装されているロードセルを置き換えることができます。
注:10秒以上にわたってロードセルに過負荷をかけないでください。
電源および電圧リファレンス
PCに接続されたMicro-USBケーブルがMAXREFDES82#に給電します。
超低自己消費電流、リニアレギュレータ(LDO)のMAX17651が、5V入力を3.6Vに安定化します。
4.096V出力、低ノイズ、高精度シリーズ電圧リファレンスのMAX6071が、ロードセルを励起します。
1.8V出力電圧リファレンスのMAX6071が、ADCのMAX11254のリファレンスを駆動します。
高効率ステップアップコンバータのMAX8574が、公称19.2VのLCDモジュールバックライト電源を生成します。
マイクロプロセッサおよびLCDモジュール
MAXREFDES82#リファレンスデザインは、STM32F429をプロセッサとして使用しています。プロセッサは、ADC、LCDモジュールを制御し、すべての計算を実行します。TFT LCDモジュールは対角3.5インチで、解像度は240x320ピクセルです。このデザインでは、上部の240x120ピクセルに負荷セルの負荷情報を数値で表示し、下部の240x240ピクセルに力の大きさおよび4つの負荷セルで構成される正方形内での相対位置をグラフィック表示します。
ファームウェアの説明
MAXREFDES82#のファームウェアは、割込み駆動設計モデルに基づいています。起動後、マイクロプロセッサは電源ドメイン、クロックドメイン、LCDモジュールコントローラ、USBスタック、仮想COMポート(VCP)、およびその他のハウスキーピング作業を設定します。次に、マイクロプロセッサはループに入り、負荷セルをスキャンしてデータを処理します。結果はLCDパネルに表示されます。また、結果をPCのGUIアプリケーションに表示することもできます。GUIアプリケーションは、VCP通信を介してボードと通信します。
図3は、MAXREFDES82#のファームウェアのメイン機能のフローチャートを示します。ファームウェアの詳細については、ソースファイルを参照してください。
図3. MAXREFDES82#のファームウェアのメイン機能のフローチャート
GUIアプリケーションの説明
MAXREFDES82#ボードは、PCのGUIアプリケーションなしで単体で動作可能です。GUIアプリケーションは、結果をPCの画面上に便利な形で提供します。
図4は、MAXREFDES82#のGUIアプリケーションのスクリーンショットを示します。MAXREFDES82#ボードをPCのUSBポートに接続する前に、STマイクロエレクトロニクスのVCPドライバをインストールしてください。詳細については、「クイックスタートガイド」の項を参照してください。
リファレンスデザインボードが電力を受け取り起動時較正を完了すると、ボードは測定状態になります。GUIアプリケーションを実行してConnectボタンをクリックすると、PCのGUIはLCDパネルに表示されている情報と同じ情報を表示します。
図4. MAXREFDES82#のGUIアプリケーションのスクリーンショット
図4. MAXREFDES82#のGUIアプリケーションのスクリーンショット