ESD: 静電放電
ESDとは
意味
静電放電(ESD)とは、蓄積された静電気が放出される現象。一般的には、帯電した物体が電子機器に触れた際に、数千ボルトもの突発的な放電が発生し、損傷を与える現象。
ESDが発生するタイミング
ESDは、以下の2つのいずれかの状態で発生します。
- 接触放電:電位の異なる2つの物体が直接接触することによって生じる電荷の移動。
- 気中放電:2つの物体を近づけたときに発生する強力な静電界。
ESDによる電子機器の損傷
ESDによる損害の中で最も懸念されるのは、ICが完全に破壊されてしまうことです。その他にも、ESDにさらされると、漏れ電流が増大したり、その他のパラメータが悪化したりする可能性もあります。ESDによる損傷の影響は累積する可能性があるため、デバイスの取り扱いを何度も誤ると最終的には故障につながるおそれがあります。
ESDの警告記号
ESDに敏感なデバイスは、保護包装で出荷され、包装には特別な取り扱い指示が記載されています。ESDに敏感なデバイスには以下の記号が使われています。
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ESDモデル
半導体やディスクリート・デバイスのESD耐性を評価するために使われる最も重要な波形は、人体モデル(HBM)、マシン・モデル(MM)、およびデバイス帯電モデル(CDM)の3つです。これらはそれぞれ本質的に異なるESDイベントを表しており、試験結果の間にほぼ相関はありません。
ESD保護
ESDによる損傷を修復したり、その影響を補償したりする方法はないため、予防が重要になります。ICをESDから保護するには、ICメーカーと顧客の両方の取り組みが必要になります。デバイス自体の設計によってESDを最小限に抑えることは可能ですが、ICのユーザも、ESDへの対処手順についての知識やトレーニングが必要です。ICを扱う際は、導電性のリスト・ストラップを装着したり、静電気拡散性の作業台やマットを使用したりといった予防措置が必要です。
ほとんどのICにはESD保護機能が組み込まれています。また、ICの入出力ピンには、ESDの影響による損傷から内部回路を保護するためのデバイスを追加することができます。アナログ・デバイセズは、ESD保護ダイオード、アナログ・スイッチ、マルチプレクサ、 スイッチ・バウンス防止機能/プロテクタ、過電圧保護(OVP)コントローラ、信号ライン・プロテクタ、リチウムイオン(Li+)電池プロテクタ、電流制限スイッチ、USB電源スイッチなど、ESD保護および各種フォルト保護に特化したデバイスを提供しています。