製品概要
製品概要
デモ回路2896A-Bは、高出力ブースト・コンバータのデモ用で、内蔵ゲート・ドライバ付き位相エクスパンダLT®8551を備えています。DC2896A-Bは、単相ブースト・コントローラLTC3769を1次コントローラとして、また、電力位相が4相追加されたLT8551を、位相エクスパンダとして備えています。LT8551に接続される電源セクションの数が増えることにより、設計上の複雑さを増すことなく、また1次コントローラLTC3769の機能を犠牲にすることなく、高レベルの出力電力を提供できます。
DC2896A-Bの入力電圧範囲は10V~46V、出力電圧は48Vです。各電源部の最大入力電流は12Aであるため、DC2896A-Bの最大入力電流は60Aとなります。これによって、入力電圧24Vでは30Aの出力電流、1,440Wの出力電力を実現します。それに応じて、入力電流を60Aと同レベルに保つため、入力電圧が12Vになると出力電流は14.5A、出力電力は720Wまで低下します。どちらの値も、電圧が上がれば増加します。ヒート・シンクを取り付けている場合は、入力電流の値を60Aを超えて増加させることも可能です。下のパーツ・リストを参照してください。
スイッチング周波数は250kHzで、24Vを48VOUTに最大負荷で入力した場合、DC2896A-Bの効率は98%となります。図3のディレーティング曲線で示したように、DC2896A-Bのインダクタ飽和を防ぐため、入力電圧が低下すると、出力電流も同じく低下します。効率曲線は、図4で示した通りになります。
DC2896A-BのR114~R119抵抗では、異なる位相の総数(TDPN:Total Distinct Phase Number)を設定することによって、電源セクション間の位相関係をプログラムします。軽負荷において効率性向上、スイッチング損失低減を実現するため、DC2896A-Bでは一部の電源セクションの切り離しに対応しています。この動作モードは、Stage Sheddingと呼ばれており、J3のSTAGE SHEDジャンパによってプログラミングを行います。ジャンパJP1では、LT8551 SYNCピンのプログラムを行い、DC2896A-Bを外部クロックに同期させることができます。DC2896Aのプリント回路基板は、2相エクスパンダ・コントローラLT8561(DC2896A-Aバージョンの場合)およびLT8551(DC2896A-Bバージョンの場合)に対応しています。電気回路図に記載した表[1]では、両バージョンの違い(コントローラのバイアス電圧、ゲート駆動電圧など)を示しています。DC2896A-Bは、コントローラの有効/無効を手動で切り替えるためのSHDN(JP2)ジャンパを備えています。SYNC(E19)入力を使用して、LT8551を外部信号と同期させることができます。LT8551の機能のコントロール・ロジックを、簡単に監視可能にする端子も備えています。電流検出抵抗RSNS1~RSNS5は、電流モード制御、位相間の電流監視および電流分担機能の実装に使われます。効率性を向上させるため、DC2896A-BはオプションでインダクタL1~L5のDCR検出にも対応しています。
DC2896A-Bでは、データシートで推奨されている、LT8551入力用のセンス・ライン・フィルタおよびフィルタ・オプションも用意しています。低電圧シャットダウン、スイッチング周波数、LT8551 ILIM電流制限レベル、これらはいずれも抵抗または抵抗ジャンパで調整できます。DC2896A-Bは、U3コントローラをベースにしたハウスキーピング回路を備えています。この回路は、消費電力を減少させます。レギュレータ・トランジスタQ21が高入力電圧の場合も、同じ現象が起こります。ハウスキーピング回路にも、突然の入力電圧低下時にコンバータのバイアスを安定させる機能があります。
高レベルの出力電力を、同じく高レベルの複雑な設計なしでも利用できるLT8551は、商業用、産業用、自動車用の高出力DCバスやバッテリ・システムにとって魅力的な選択肢です。DC2896A-Bの熱強化型52ピン7mm × 8mm QFNパッケージには、LT8551EUKGが塔載されています。DC2896A-Bを使用/変更する前に、このデモ・マニュアルと併せて、LT8551とLTC3769のデータシートを必ず参照してください。
対象となる製品
関連資料
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DC2896A-B - Schematic2020/06/11PDF437K
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DC2896A-B- Demo Manual2020/06/11PDF1 M
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DC2896A-B - Design Files2020/06/11ZIP9M