アナログフロントエンドMAXQ3180の単相構成での使用法

要約

このアプリケーションノートでは、マルチ機能、多相アナログフロントエンド(AFE) MAXQ3180を単相電力の測定に対応させる方法について説明します。MAXQ3180ベースのシステムをこのアプリケーション向けに構成するために必要となる固有の電気的設定を示します。

概要

大規模な産業ユーザーや複数世帯の集合住宅には、一般的に3相電力が供給されます。エネルギー使用量に基づく課金方式の場合、供給元の電力会社は3つの位相をすべて正確に測定して、適正な料金をユーザーに請求する必要があります。主として単一世帯の住宅と中小企業向けに、単相のみを使用するアプリケーションも多数存在します。単相の測定は、冷蔵庫やコンピュータなど、ほとんどの電気製品による使用箇所での消費電力測定を行うためにも必要になります。

MAXQ3180は専用の電気測定フロントエンドデバイスです。多相の電圧、電流、電力、エネルギー、およびその他の多相負荷の検針および電力品質に関する多数のパラメータを収集して計算を行います。計算結果は、チップ上のSPI™バスを通して外部のマスターによって取得することができます。

MAXQ3180は3つの電源位相にわたって測定を行うように設計されていますが、位相Aの入力のみを使用して、BおよびCチャネルを未接続のままにすることによって、単相のエネルギーを測定することも可能です。このアプリケーションノートの残りの部分では、この単相動作を実現するための簡単な手順について説明します。

ハードウェアの設定

デバイスの入力を単相動作用に設定するためには、以下の変更を行う必要があります。

  1. V1P、V2P、VN、およびVCOMMの各端子を相互に短絡してください。
  2. I1P端子とI1N端子を短絡してください。
  3. I2P端子とI2N端子を短絡してください。

ソフトウェアの設定

MAXQ3180を単相測定モードで使用する場合も、ソフトウェアの特別な設定は不要です。単に、BおよびCの電圧に関係するレジスタと設定を無視してください。

具体的には、以下のレジスタが含まれます。

すべての位相B較正およびステータスレジスタ
すべての位相C較正およびステータスレジスタ
すべての位相B測定レジスタ
すべての位相C測定レジスタ
末尾が「.B」または「.C」のすべての仮想レジスタ
位相Bと位相Cが必要ない場合は、これらの位相に対応するスキャン機能をディセーブルすることによって、デバイスのパフォーマンスを向上させることが可能です。以下のレジスタのビット3をセットすることで、該当するスキャン機能がディセーブルされます。
SCAN_IB
SCAN_VB
SCAN_IC
SCAN_VC

標準アプリケーション回路図

MAXQ3180を単相システムに実装するための標準的なアプリケーション回路を下図に示します。

図1

結論

マルチ機能、多相AFEのMAXQ3180で、単相の測定を行うことができます。このデバイスは、ラインおよび負荷への単純な接続のみでこの動作が可能になります。この構成の場合、使用しないチャネルのスキャン機能をディセーブルすることによって、単一サイクル内で実行する必要のある計算量を削減することができるため、デバイスのパフォーマンスも向上します。

著者

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Kevin Self