同期信号アラームのMAX7461を使用し、標準画質ビデオのシンプルかつ高速な検出を実現
要約
同期信号アラームのMAX7461は、NTSC、PAL、およびSECAMアプリケーションにおいてコンポジットの同期検出を行います。このデバイスは、数ライン内で同期の有無を迅速に検出することができ、設計が簡素化できます。また、MAX7461は、SDTV同期とHDTV同期を差異化する機能も備えています。そのため、このデバイスは、外付け部品なしで、同期の有無を検出する完全ソリューションを提供します。これによって、システムプロセッサは、1つまたは複数のビデオ入力のソフトウェアポーリングと処理のオーバヘッドなしに、有効な同期付きビデオ信号の有無を迅速に決定することができます。
デバイスの機能説明
MAX7461内では、ビデオ信号は、まず、シンクチップクランプされ、DCレベルを確立します(図1参照)。これは、50Hzまたは60Hzハムなどの低周波数ノイズを除去します。また、これは入力で複数の信号源が切り替えられる場合のDCの跳ね返りも抑制します。
図1. MAX7461ブロック図
クランプした後、信号はローパスでフィルタリングされます。これは、バーストとクロマを除去することによって、誤った同期検出を防止します。また、これはノイズ耐性も向上させます。クランプされてフィルタリングされたビデオは、スライスされ、同期スライスレベルと比較することによって同期を抽出します。
抽出された同期信号は、高い信頼性で迅速に同期を検出可能なブロックである、LOSフィルタに供給されます。LOSフィルタは、同期幅と同期周波数の両方を測定します。
デバイス性能
MAX7461は、同期が存在することを検出するだけでなく、存在した同期を検証する必要もあります。図2に示すように、これは、幅と周波数を測定して行います。
図2. 同期タイミングパラメータの測定
同期パルス幅の標準値は、4.7µsです。同期パルス間隔の標準値は、63.55µs (NTSCの場合)、および64µs (PALの場合)です。ただし、多数のカラー規格が使用されているため、4.19µs~5.76µsの同期パルス幅を持つことができます。例外的な場合では、同期パルス間隔は63.492µsになることがあります。そのため、このデバイスは、同期パルス幅ウィンドウと同期パルス間隔ウィンドウを設定しています。信号が有効な同期を示すには、このデバイスは、2.2ms (typ)のウィンドウ内で複数の同期を検出する必要があります。有効な同期が検出されたら、デバイスが同期消失(LOS)を示す前3.4ms (typ)の間、同期を無くす事もできます。検出時間と解放時間の許容値は、次の表1のようになります。
Parameter | Symbol | Min | Typ | Max | Units |
LOS release time | tRT | 1.7 | 2.2 | 2.7 | ms |
LOS detect time | tDT | 1.9 | 3.4 | 4.9 |
同期幅、複数の同期にわたる同期間隔、およびヒステリシスを測定するこれらのアルゴリズムは、同期を検出する非常に厳しいノイズ耐性方式です。
同期幅ウィンドウと間隔ウィンドウは、すべてのSDTV同期パターンが高信頼で検出可能であるように内部で設定されています。HDTV同期が入力である場合、このデバイスはLOSを示します。これは、HD信号がSD入力に不注意に接続される可能性がある、各種規格が混在した環境において重要です。
したがって、MAX7461が有効な同期を検出するには、幅と間隔の両ウィンドウで、最低2.2msの間、同期を検出する必要があります。同期が検出されたら、有効な同期は、53ラインに相当する最低3.4msの間、無くすこともできます。標準値および許容値は、表2のとおりです。
Sync Period | Parameter | Symbol | Min | Typ | Max | Units |
64µs | LOS release time | tRT | 27 | 35 | 43 | Lines |
LOS detect time | tDT | 30 | 54 | 77 | ||
63.55µs | LOS release time | tRT | 27 | 35 | 43 | |
LOS detect time | tDT | 30 | 54 | 78 |
アプリケーションと利点
このセクションでは、標準CCTV、車載用エンタテイメント、および民生用アプリケーションが示されます。このようなシステムのプロセッサは、多くの場合、それらの基本機能によって能力一杯に稼動しています。同期消失(LOS)は、非常に重要な機能ですが、補助的として見なすことができます。
LOS (同期消失)機能は、システムプロセッサによって実行することができます。ただし、この機能は、リアルタイムに実行される必要があり、大量の処理能力を無駄に消費する可能性があります。そのため、単一の簡単なデバイスでLOS機能を実装すると、このリアルタイム処理負荷がシステムプロセッサから取り除かれます。
CCTVセキュリティシステム
標準CCTVセキュリティシステム(図3参照)では、システムプロセッサがビデオソースのどれかが動作していないかどうかを認識していることが重要です。ほとんどのシステムは、複数のカメラで監視されている部屋の場合のように、システムに接続された指定数のカメラのみを監視して録画する性能を備えています。一部のシステムは、カメラソースが損傷された場合、同室内の別のカメラが即座に監視と録画を行うようにプログラムすることができます。したがって、できる限り迅速に、ソース間を切り替えることが重要です。
図3. 標準CCTVセキュリティシステムにおけるMAX7461
バックアップカメラ内蔵の車載用エンタテイメントシステム
車載用エンタテイメントシステムは、ますます複雑化しています。たとえば、現在、車のドライバが自分の背後を見て簡単にバックすることができるように、バックアップカメラが搭載されています。そのようなアプリケーション(図4参照)では、特に、視界が悪い夜間では、バックアップカメラからのビデオ信号が連続的に監視され、信号に障害が発生した場合システムが即座に応答することが不可欠となります。MAX7461は、システムプロセッサの負荷を軽減し、信号障害が即座に検出されるようにします。
図4. 標準車載用バックアップカメラアプリケーションおけるMAX7461が示されています。
パーソナルビデオレコーダ(PVR)システム
標準PVRシステムは多くの場合、その内蔵デコーダからだけでなく、補助アナログ入力からも録画する性能を備えています。PVRシステムは、ビデオ信号の処理によく利用される複合システムプロセッサを搭載しています。そのため、外付けLOS検出器を使用し、プロセッサに負荷をさらに追加するのを防止することが有利です。MAX7461を使用するPVRアプリケーション用の標準ブロック図は、図5のとおりです。
図5. MAX7461を内蔵した標準PVRシステム
結論
このアプリケーションノートは、MAX7461が各種システムの同期の有無を検出する場合の動作方法について詳しく説明しています。MAX7461は実装が容易で、システムプロセッサ上のリアルタイムソフトウェア負荷を軽減する簡単な方法を提供することが示されています。