バッテリ充電器の新しい展開
要約
電子機器がますます小型、軽量、高性能になりつつある背景には、技術の進歩と消費者のニーズがあります。こうした要求に応えるために、バッテリ技術およびバッテリ充電と保護用の関連回路が急速に進歩してきています。
長年の間、小型電子機器には標準的にニッケルカドミウム(NiCd)電池が使用されてきました。ラップトップコンピュータや大電力無線機等の大型機器では、「ゲルセル」鉛蓄電池を使用するものもありました。しかし、環境問題とバッテリの需要の増大に伴い、ニッケル水素(NiMH)、充電式アルカリ、リチウムイオン(Li+)、リチウムポリマといった新しいバッテリ技術が開発されました。これらの新しいバッテリ技術は、性能を最大限に発揮し安全性を確保するために、高機能な充電回路および保護回路を必要とします。
NiCdおよびNiMH電池
NiCdは長い間携帯電子機器の充電式バッテリとして好まれ使用されてきており、現在でもある面では新型のバッテリよりも優れた特長を示しています。NiCd電池は、Li+やNiMHよりも容量は少ないもののインピーダンスが低いため、短時間に大電流を必要とするアプリケーションに適しています。つまり、電動工具のようなアプリケーションでは、これからもNiCd電池パックが使用され続けるであろうと予想されます。
NiMH電池はNiCdとよく似ていますが、容量が大きくなっています。NiMH電池のこの利点は、自己放電が速いという欠点によってやや相殺されています。NiCdも自己放電レートが比較的高くなっていますが(1日に容量の約1%)、NiMHではその約2倍となっています。このため、NiMHはバッテリで長時間充電量の保持が期待されるアプリケーションには適しません。
NiMHは急速充電の方法もNiCdとは異なります。いずれのタイプも、アンペアアワー単位の容量(C)値以上の電流で急速充電することができます。このため、約1時間以内でバッテリの充電が実現します。1Cの電流で1時間充電したバッテリは、内部損失があるために満充電には達しません。満充電に達するようにするには、1C以上の電流で1時間充電するか、1Cの電流で1時間以上充電する必要があります。充電損失は充電レートおよびバッテリごとに異なります。
NiCd電池を充電する場合、電池の容量に達すると端子電圧は一旦ピークに達してから下降します。このため、急速充電はこの電圧が下降し始めた時点(ΔV/Δtが負になった時点)で止めるようにします。さもないと、充電電流によって過剰なエネルギーが注ぎ込まれるために電池の電解液の水が水素ガスと酸素ガスに解離して、内部圧力と温度が上昇し、端子電圧が低下します。この状態で急速充電が続くと、電池の漏れや爆発の恐れが生じます。
多くのNiCdおよびNiMH充電器では、予防対策として、電池の(電圧だけでなく)温度を測定することによって、電池が損傷する前に急速充電を完了するようになっています。NiCdの急速充電は、ΔV/Δtが負になったときに停止します。NiMH電池では、端子電圧がピーク(ΔV/Δtがゼロ)になったときに急速充電を停止してください。
NiCdおよびNiMHのトリクル充電は簡単に行えます。急速充電とは異なり、小量のトリクル電流で充電するため、温度上昇が比較的小さくなり、電池を損傷する恐れがありません。トリクル充電は特に完了させる必要がない上、バッテリ電圧を監視する必要もありません。最大許容トリクル電流はバッテリのタイプと周囲温度に依存しますが、通常の条件では一般にC/15が安全です。
リチウムイオンおよびリチウムポリマ電池
バッテリ技術においてここ数年注目されている新技術はリチウムイオン(Li+)電池です。Li+電池は、NiCdやNiMH等の従来の充電式電池に比べて容量が大きくなっています。Li+をNiMHと比較すると、単位体積当たりのエネルギーとして容量を測定した場合、僅か10%~30%の利点しかありませんが、ポータブル機器では体積だけでなく重量も重要になってきます。容量を単位重量当たりのエネルギーとして測定すると、(NiMH電池は比較的重いため) Li+電池の方が明らかに優れていることになります。Li+電池は軽量であることから、単位重量当たりの容量は2倍近くになっています。
Li+電池には多くの難しい点もあります。例として、過充電や充電不足に弱いことが挙げられます。最大のエネルギーを貯蔵するためには最大電圧まで充電しなければなりませんが、過電圧が加わったり、充電または放電電流が過大になるとLi+電池は永久的に損傷する恐れがあります。電池の放電にも注意が必要です。低電圧で繰り返し放電すると、容量が減る恐れがあります。こうしたことから、管理回路は、充電時だけでなく、放電時にも電池の電流および電圧を制限して電池を保護する必要があります。殆どのLi+電池パックには、何らかの低電圧および過電圧切断回路が含まれています。その他よく見られる機能には、過電流による暴露を防ぐヒューズ、高圧による漏れが生じたときにバッテリ回路をオープンにするスイッチ等があります。
充電に電流ソースを必要とするNiCdやNiMH電池と違い、Li+電池は電流および電圧の複合ソースを必要とします。殆どのLi+充電器では、損傷を与えずに最大の充電量を達成するために出力電圧の公差を1%に維持しています。(これ以上公差を小さくしても僅かに容量が増えるだけで、一般に手間と費用の観点からは実際的ではありません。)
通常Li+電池パックは、保護機能として低電圧または過電圧状態のときにバッテリ回路をオープンにするMOSFETを備えています。これらの保護MOSFETは、別の充電方法(電圧制限なしに一定電流を印加)にも使用されます。この方法では、適切なバッテリ電圧を維持するためにMOSFETがターンオン/オフされます。電池の容量はバッテリ電圧の上昇を遅くするうえで役立ちますが、電池の容量は頻度によって大きく変動し、また電池ごとにかなり違うため、注意が必要です。
アプリケーションによっては、負荷が間欠的にメインバッテリの電源能力を上回ることがあります。この問題の解決法の1つとして、トランジェント負荷が大きいときに追加電流を供給する充電式電池を付け加えることができます。この場合、メインバッテリがこの補助電池を充電して次のトランジェントに備えます。小型RFデバイスがこの解決法の良い例として挙げられます。このタイプのデバイスは一般に1個の単三アルカリ電池で動作しますが、送信中の負荷は単三電池1個ではまかないきれないほど大きくなります。このため、補助NiCd電池がトランスミッタを駆動し、NiCdはトランスミッタがオフの間、即ち残りの大部分の時間で充電されます。
NiCd単三電池をLi+バージョンに代替すると、必要な電流容量を犠牲にすることなく全体のバッテリ寿命が延びます。リチウムポリマ(LiPo)バッテリは、技術的にリチウムイオン電池から進化しました。Li+電池に比べるとLiPoセルは単位質量当りのエネルギー能力が高く、直列抵抗も低く、機械的な柔軟性という意味でも利点があります。この柔軟性によってバッテリの設計者は、アプリケーションに適したあらゆる形態にすることができます。
LiPoバッテリは、Li+と多くの共通する特性を持ちます。したがって、性能を最大限に発揮し安全性を確保するために、監視には同様の注意を払う必要があります。
正しい電池の選び方
各電池には利点、欠点があります。アプリケーションに正しい電池を選ぶのには注意深く計画することが必要です。以下の表1に、電池タイプごとのバッテリパラメータを要約します。この情報はあくまでも要約であり、電池メーカーからの実際のデータを使用することを推奨いたします。
Parameter | Lead Acid | NiCd | NiMH | Alkaline | Li-Ion | Li-Polymer |
Cell Voltage (V) | 2.0 | 1.2 | 1.2 | 1.5 | 3.6 | 3.7 |
Relative Cost | Low | Moderate | High | Very low | Very high | Very high |
Internal Resistance | Low | Very low | Moderate | Varies | High | Low |
Self Discharge (%/month) | 2% to 4% | 15% to 30% | 18% to 20% | 0.3% | 6% to 10% | 5% |
Cycle Life (Charge Cycles to Reach 80% of Rated Capacity) | 500 to 2000 | 500 to 1000 | 500 to 800 | Low | 1000 to 1200 | > 1000 |
Overcharge Tolerance | High | Medium | Low | Medium | Very low | Very low |
Energy Density by Volume (Wh/L) | 70 to 110 | 100 to 120 | 135 to 180 | 220 | 280 to 320 | ~400 |
Energy Density by Weight (Wh/kg) | 30 to 45 | 45 to 50 | 55 to 65 | 80 | 90 to 110 | 130 to 200 |
クレードル充電器
携帯電話等の多くの機器では、独立の「クレードル充電器」を使用した充電方法が好ましいとされています。これは赤ちゃんをクレードル(ゆりかご)に入れるように、機器またはバッテリパックを充電器の中に入れるようになっています。充電器ユニットが独立しているため、充電器が機器に組み込まれている場合に比べて充電器の発生する熱の問題が軽減されています。
クレードル充電器に使用される最も簡単な回路は、リニアレギュレータ充電器です。リニアレギュレータは(DC電源とバッテリの間の)電圧差を、リニア領域で動作するパストランジスタの両端の電圧降下として処理します(リニアレギュレータと呼ばれるのはこのためです)。しかし、充電器が空気の流れのない狭い場所に閉じ込められると、電力消費(充電電流とこのトランジスタの両端の電圧降下の積)による過熱の恐れが生じます。
例えば、4セルNiCd電池を1Aで充電するとしましょう。NiCd電池は一般的にセル当たり1.6Vまたは1.7Vの付近で充電を完了しますが、電池の状態と充電レートによってはこの電圧がセル当たり2Vまで達することがあります。つまり、DCソース電圧は4 × 2V = 8V以上でなければなりません。完全に放電した電池のセルの電圧レベルは、0.9Vまで低下することがあります。この場合、バッテリ電圧は4 × 0.9V = 3.6Vです。DCソースが8Vだとすると、パストランジスタの両端の電圧は8V - 3.6V = 4.4Vとなります。
完全に放電したバッテリを充電する場合、電力消費は充電器が4.4W、バッテリが3.6Wとなり、効率は僅か45%となります。実際には、パストランジスタのドロップアウト電圧とソースの公差を考慮してDCソース電圧を8Vよりも高くとる必要があるため、効率はさらに低くなります。
図1のリニア単一セルLi+充電器は、クレードル充電器に適しています。この充電器は外部パワートランジスタ(Q1)を駆動し、これがソース電圧をバッテリ電圧まで下降させます。回路の電力の殆どはこの外部トランジスタで消費されるため、コントローラの温度は比較的一定に保たれます。この結果、内部リファレンスが安定してバッテリ電圧リミットの安定性が高くなります。
図1. このバッテリ充電回路は単一リチウムイオンセル用に設計されており、スタンドアロン型のクレードル充電器に最適です。
R1とR3によって出力電流が決まります。R1は充電電流を検出し、R3が電流レギュレーションのレベルを設定します。ISET端子から出る電流は、CS+とCS-の間の電圧の1/1000に等しくなっています。電流レギュレータは、ISET電圧を2Vに制御します。この場合の電流リミット[2000/(R3 * R1)]は、1Aです。
電圧および電流リミット用の制御ループは別々の補償ポイント(CCVおよびCCI)を持っているため、これらのリミットの安定化が簡単に行えます。ISETおよびVSET端子によって電流および電圧リミットを調節することができます。
内蔵バッテリ充電器
ラップトップコンピュータを含む大型機器では、バッテリ充電器がシステムの一部として内蔵されています。こうした構成では、充電器の効率が重要になってきます。これは最大限のエネルギーを注入するためではなく、発熱を最小限に抑えるためです。発熱によって温度が上昇し、高温で動作させると電池の寿命が短縮します。このアプリケーションでは全バッテリ電圧範囲にわたって高効率が要求されるため、充電器にはスイッチングレギュレータを使用します。スイッチングレギュレータは電力消費が比較的小さく、また入出力電圧降下に影響されません。
スイッチングレギュレータの主な欠点は、スイッチングされた出力電圧を電池に適したDCレベルに変換するために受動的なインダクタ/コンデンサフィルタを必要とすることです。場合によっては、このフィルタのコンデンサを電池の容量で代用することができます。しかし、前述のように電池の容量は頻度によって大きく変動します。これを設計に取り入れる場合は、その前に特性を十分に把握しておいてください。
スイッチングレギュレータのもう1つの欠点は、スイッチング動作によって発生するノイズです。通常、この問題は適切なレイアウト技法およびシールドによって避けることができます。多くのスイッチング充電器には、特定の周波数を避ける必要のあるアプリケーション用として外部信号への同期機能が備わっています。この機能によって、充電器のスイッチングノイズを問題となる周波数帯域から遠ざけることができます。
リニアレギュレータは、相当するスイッチングレギュレータに比べて一般に大型になります。これは電力消費が大きいために大きなヒートシンクを必要とするためです。ですから、スイッチング充電器は設計に時間がかかるものの、小型で効率が高いためにそれだけの価値があると言えます。そうした設計の例として、図2に4セルNiCd/NiMH充電器を示します。この回路には充電完了機能はないため、電池両端の電圧を監視して条件が満たされたときに充電器を停止するコントローラと共に使用します。多くの機器には始めからこの目的に適したコントローラが実装されています。コントローラを備えていない機器の場合は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を内蔵した低コストのスタンドアロンマイクロコントローラ(µC)が必要です。こうしたµCは数多く市販されています。
図2. この4セルNiCdまたはNiMHバッテリ充電器は大型機器に組み込むことができます。
充電器IC (MAX1640)は、スイッチングトランジスタ(N1A)および同期整流器(N1B)を使用して入力電圧をチョッピングします。このチョッピングされた電圧がインダクタの両端に印加され、電流ソースを形成します。充電器がオフになると、ダイオードD2が充電されている電池から電圧ソースへの電流の逆流を防ぎます。
MAX1640は「オフ」の外に3つの動作モード(急速充電、パルストリクル充電およびトップオフ充電)があり、デジタル入力D0およびD1によってモードが選択されます(表2)。急速充電モードでは、充電電流が150mVを電流検出抵抗値(0.1Ω)で割った値になります(この例では1.5A)。トップオフ充電モードでは、SETの電圧が急速充電電流の25.4%を生成します(この例では381mA)。パルストリクル充電モードにおける電流はトップオフモードのときと同じですが、12.5%のデューティサイクルでパルス化されています。周波数はTOFFに接続された抵抗(68kΩ)で決まります。この例では周波数は3.125MHz/R3 = 46Hzです。つまり、平均パルストリクル電流は0.125 × 381mA = 47.6mAです。
D0 | D1 | Mode | Output Current |
0 | 0 | Off | — |
0 | 1 | Top-off charge | VSET/(13.3RSENSE) |
1 | 0 | Pulse-trickle charge | VSET/(13.3RSENSE) (12.5% duty cycle) |
1 | 1 | Fast charge | VREF/(13.3RSENSE) |
図2の回路は、ΔV/Δtが(充電されているのがNiMHかNiCd電池かによって)ゼロまたは負になったときに充電を完了するはずですが、完了できなかった場合には第二の電圧制限によってバッテリ電圧が高くなりすぎるのを防ぎます。絶対最大値として、NiCdおよびNiMHバッテリの充電電圧はセル当たり2V(この回路の4セル電池では8V)を超えないようにします。R6およびR7は、この電圧リミットをVLIMIT = VREF [R7/(R6 + R7)]として設定しています。
図3に、2つの直列Li+セルを充電する同様の回路を示します。主な違いは充電電圧の精度にあり、この回路ではLi+電池に要求される1%よりもさらに高精度になっています。また、図2の充電器と違ってこの回路では、ハイサイドスイッチングトランジスタとしてnチャネルMOSFETを使用しています。回路がオンになると、このトランジスタのソースとドレイン電圧はVINとほぼ等しくなりますが、安価なnチャネルMOSFETを使用するにはゲート電圧がVINよりも高いことが必要となります。ゲート駆動電圧を高くするために、C7を充電してその電圧をVINに加えるようになっています。
図3. この充電器は2つ直列のリチウムイオン電池を充電するのに適した精度1%の充電電圧を生成します。
図3の回路の充電電流は、電流検出抵抗R1で決まります。図の200mΩの値を使用すると、185mV/R1 = 925mAとなります。この電流は、SETI端子での電圧を変えることによってさらに低い値に直線的に調節することができます。同様に、VOUTはVADJ端子における電圧を変えることによって調節することができます。VADJを全範囲(0V~4.2V)で変えてもVOUTは10% (セル当たり0.4V)しか変わらないため、1%抵抗で1%よりも良い出力精度を実現することができます(1%精度の抵抗による出力精度の劣化は僅か0.1%です)。
端子CELL0とCELL1を使用して電池のセル数を設定します(表3)。(VLはチップを駆動する5Vレベルを示します。)この充電器は、最大4セル直列のLi+電池に対応することができます。図3には示してありませんが、MAX745はサーミスタで監視されている温度がリミットに達したときに充電を完了する機能も備えています。バッテリ温度がこのリミット(THM/アクティブローSHDN端子に接続された外部抵抗およびサーミスタで決定)を超えると、充電器は停止します。このスレッショルドにはヒステリシスがあり、バッテリ温度が低下してTHM/アクティブローSHDN電圧がスレッショルドの2.3Vよりも200mV低くなるとシステムの充電が再開されます。
CELL0 | CELL1 | Number of Cells |
GND | GND | 1 |
VL | GND | 2 |
GND | VL | 3 |
VL | VL | 4 |
スマートバッテリ充電器
スマートバッテリは、設計者と消費者の双方に恩恵をもたらす新技術です。スマートバッテリパックには、シリアルポートを通じて外部充電器にそのバッテリが必要とする充電ルーチンを「知らせる」コントローラを備えています。設計者はスマートバッテリ規格に適合している全てのバッテリに対しただ1つの充電器を設計するだけで済むため、たいへん便利です。
消費者にとっても、スマートバッテリの場合はバッテリを取り替えるときにスマートバッテリ規格に適合するものであればどんな種類でも使えるため、便利です。スマートバッテリの規格は、どのメーカーでも市場に参入できるようになっています。このため、競争による製品の標準化および価格の低下が予想されます。
スマートバッテリの規格は、バッテリ、コンピュータおよび関連製品の製造メーカーが協同して定義したものですが、この規格では、バッテリパックとホストシステムの接続方法およびホストとの通信方法が定義されています。通信は、システムマネジメントバス(SMBus)と呼ばれるI²Cプロトコルに由来する2線シリアルインタフェースを介して行われます。SMBus上の周辺機器を制御する能力を備えた多数のI²C適合µCが入手可能となっています。
スマートバッテリは、残量計の問題に対してもスマートな解決法を提供しています。従来の通信機能を持たない電池で駆動されるシステムのホストでは、電池の状態が完全充電または完全放電したときにしか認知されませんでしたが、スマートバッテリでは充電状態が記憶されています。スマートバッテリの残量計は、電池がホストに接続されたりホストから切断されたりしても連続動作のときと同じ精度を維持することができます。
図4に示すスマートバッテリ適合充電器ではコントローラICにSMBusインタフェースが付いており、これによってホストコンピュータと充電されるスマートバッテリが通信を行います。スイッチングレギュレータおよびそれに付属する小型の電力効率の高い電流検出抵抗は、充電電流の分解能として1mA (min)を達成することができないため、出力電流の最初の31mA (5 LSB)は内部リニア電流ソースによって供給されます。
図4. この充電器はスマートバッテリ規格に適合しており、SMBusインタフェースを通じてホストコンピュータおよびスマートバッテリと通信を行います。
システムの出力電流の設定が32mA以上の場合には、高効率(89%)を維持するためにスイッチモード電流ソースを作動させます。しかし、電流検出抵抗の値または電流検出アンプのオフセットに関係なく出力電流が単調であることを保証するために、リニアソースもオンの状態に維持されます。入力電圧がバッテリ電圧よりも大幅に高いときに内部リニアレギュレータの電力消費が大きくなるため、トランジスタQ1によって負荷を軽減してそれを防ぎます。Q1のベースは、入力電圧よりも約5V低く保たれます。内部電流ソースの両端の電圧は5V以下であるため、電流ソースの電力消費は160mW以下に留まります。
電池からの逆電流を防ぐために、インダクタと直列にダイオード(D3)を配置します。MAX1647'sはスイッチング周波数が高いため(250kHz)、インダクタは小型で済みます。この回路は最大28Vの入力を許容し、最大出力電流はピン選択で1A、2Aおよび4Aとなっています。