MAX4007で動作速度を上げる方法

要約

高精度、ハイサイド高電圧電流モニタのMAX4007は、ファイバアプリケーションのフォトダイオード電流監視用として特別に設計されています。このアプリケーションノートは、GPONバーストモード動作のためにMAX4007の応答時間を上げる為の容易な方法を記載します。

動作の説明

MAX4007は、そのREFピンから流れ出る電流と比例した電流を出力することが出来る電流モニタです。もし、出力をADCによってサンプリングするのであれば、出力は先ず電圧に変換しなければなりません。これを行う簡単な方法は、10nFアンチエイリアスコンデンサと並列に出力抵抗を用います。この構成(図1)はデバイスのデータシートで見ることができます。

図1. MAX4007アプリケーション例

図1. MAX4007アプリケーション例

この構成で出力抵抗を用いると、アンチエイリアスコンデンサの有無にかかわらず、電流モニタ出力の負荷になり、その応答を遅くします。この問題を解決する簡単な方法は、出力抵抗を出力トランスインピーダンスアンプで置き換えることです。この変更はMAX4007の出力での負荷の影響を取り除き、大幅にその動作速度を上げます。この設計方法は、100ナノ秒台の応答時間を必要とするGPONバーストモードコントローラに、非常に役立ちます。

2つの方法の違いをより明確にするために回路例を検証します。図2は、MAX4007の基本機能を試す為の回路です。

図2. この回路は、MAX4007の動作速度をテストします。

図2. この回路は、MAX4007の動作速度をテストします。

図2は、APDsのために必要となる高電圧アプリケーションで、MAX4007をテストするために利用するサンプル回路を表します。この考え方は、PINフォトダイオードまたは他の低電圧の光検出器に使用することもできます。フォトダイオードの動作と同じように、スイッチング電流ソースの効果をシミュレーションする為に、入力回路はVINとRtとRiで構成します。VINは、±5Vの最大振幅電圧のファンクションジェネレータで作るので、20Vの電源電圧はファンクションジェネレータのリファレンスとして使用し、回路を25Vのバイアス電圧でテストすることができます。Ci1、Ci2、Cf1、Cl1とCl2は、フィルタとして存在し、回路の通常動作に影響を与えません。素子とVINの値は、1mAから10µAの電流ステップを発生するように選びます。図3はこの構成の応答を示しています。

図3. 出力素子として抵抗を使用した場合のMAX4007の応答データを示します。

図3. 出力素子として抵抗を使用した場合のMAX4007の応答データを示します。

図3のカーブが示すように、これはデータシートで規定された、デバイスから予想されるものと類似の応答です。

次に、出力回路の受動部品を置き換えると、MAX4007の応答時間は大幅に改善することができます。図4参照。

図4. オペアンプ出力構成によるMAX4007

図4. オペアンプ出力構成によるMAX4007

図5は、10µAから 1mAの電流ステップをMAX4007のREFピンへ入力したときの大信号入力インパルス応答を示します。立上り時の時定数は、およそ57ns、立下り時は26nsです。

図5. オペアンプ出力によるMAX4007の応答

図5. オペアンプ出力によるMAX4007の応答

図4の最終的なアプリケーションは、1つのSOT23デバイス(MAX4007)、1つのSC70パッケージのオペアンプ(MAX4412)、そして2、3の個別部品で極めて小型です。