DS33Z11 ― イーサネットLANと非フレーム化T1/E1 WAN間のブリッジ
要約
今日のデータ集約型の社会では、ワイドエリアネットワーク(WAN)とローカルエリアネットワーク(LAN)間の境界はなくなり始めています。通信会社は従来から顧客にT1、E1、またはファイバなどの高速媒体によるWAN接続を提供しています。しかし、標準的なLANは顧客の建物内のイーサネット接続の使用によって構築されます。WANとLANのブリッジ接続のためには、顧客は通常、2つのネットワーク間の共通接続を提供する複数の装置またはマルチプロトコルシステムを購入しなければなりません。WANとLANのブリッジ接続を容易にするために、マキシムの完全子会社のダラスセミコンダクタはELITE (Ethernet Link Transport Engine)製品ラインを開発しました。このアプリケーションノートはELITE製品ラインに基づく設計を提供し、非フレーム化T1またはE1接続によりイーサネットトラフィックをブリッジするDS33Z11の使用を実証します。非フレーム化WANリンクを使用すると、設計が単純になり、コストが最小化され、そしてデータ速度が最高になります。
設計
情報通信用の装置を設計する場合、相互接続されたデータ信号の完全性を維持してエラーフリーの動作とすることが重要です。基板は電源およびグランドプレーンを分離し、電源はデカップリングしてノイズを低減しなければなりません。
LANとWAN間のブリッジの主要コンポーネントはマキシムのELITE製品ライン、特にシングルポートの10/100イーサネットとシリアル間インタフェースのDS33Z11です。このデバイスはイーサネット接続と、T1、E1、T3、E3、またはHDSLなどのシリアル接続(WAN接続としても知られています)をブリッジします。このデバイスは10/100イーサネットMAC、パケットアービタ、認定情報速度コントローラ、HDLC/X.86マッパ、SDRAMインタフェース、ビット誤り率テスタ(BERT)、および制御ロジックで構成されます。
ELITE製品ラインのデバイスは2つの仕事をします。最初に、DS33Z11はWANインタフェースによる伝送のために、HDLCまたはX.86 (LAPS)によりLANイーサネットトラフィックをカプセル化します。2番目に、DS33Z11はLANインタフェースによる伝送のためにWANインタフェースから受信したカプセル化されたイーサネットパケットを抽出します。DS33Z11はインタラクティブな制御を可能とするマイクロコントローラとのインタフェース、容易なワンタイム起動設定を可能とするシリアルEEPROMの使用、または外付け部品なしに動作が可能なハードウェア端子をじかにバイアスするか、によって設定することができます。
WANへの物理的な接続はマキシムのT1/E1/J1シングルポートラインインタフェースのDS21348によって提供されます。DS21348はT1、E1、またはJ1ラインに対する物理層のインタフェースに必要なすべての機能を実行します。レシーバはクロックおよびデータの回復、信号のデコード、および信号喪失の監視を実行します。トランスミッタは信号のエンコードを実行し、100Ωまたは120Ωの非シールドツイストペアケーブルまたは75Ωの同軸ケーブルを標準に準拠した波形で駆動します。内蔵のジッタ減衰器を受信または送信経路に配置することができます。
LANへの物理的な接続はNational Semiconductor®のシングルポート10/100イーサネットトランシーバのDP83846Aによって提供されます。このトランシーバは物理層デバイス(PHY)としても知られていますが、カテゴリ3またはカテゴリ5の非シールドツイストペアケーブルによって10Base-Tおよび100Base-TXの両方のイーサネットプロトコルをサポートします。送信および受信回路には、ディジタル信号処理技術およびディジタルフェーズロックループが使用されています。この結果、性能の強化、ノイズ耐性の向上、および少ない外付け部品が達成されます。
残りのコンポーネントはマイクロコントローラとその付属回路、128Mb同期型ダイナミックRAM (SDRAM)、水晶発振器、トランス、RJ-45コネクタ、抵抗、コンデンサ、および外付けまたはオンボードの3.3V電源で構成されます。図1と表1は電源以外のLANとWAN間のブリッジを構築するために必要なすべてのコンポーネントを示しています。
回路はWAN側ではDS33Z11にDS21348を、LAN側ではDP83846Aを接続した簡単な構成です。DS21348は送信および受信のシリアルおよびクロック接続によってDS33Z11に直接インタフェースされます。DP83846AとDS33Z11のインタフェースはIEEE® 802.3の媒体非依存のインタフェース(MII)接続によって直接行われます。DS33Z11、DS21348、およびDP83846Aの設定はマイクロコントローラによって行われます。しかし、コストが重要でデバイスの設定変更が問題にならない場合は、すべてのデバイスの設定はマイクロコントローラを使用しないでサポートされます。DS33Z11はある種のハードウェアのみによる設定のサポートには外付けのEEPROMを必要としますが、DS21348とDP83846Aは外部端子に存在するプリセットされた電圧によって設定されます。イーサネットインタフェースには25MHzの発振器が必要で、T1またはE1インタフェースでは1.544MHzまたは2.048MHzの発振器が必要です。DS21348の再生クロックが送信クロックも駆動する場合、2.048MHzの発振器のみで内部PLLを使用してT1またはE1モードで動作させることが可能です。アプリケーションはすべて、わずかにしか異ならないため、残りの回路接続は設計者にお任せします。デバイスに関してさらに質問などがあれば、下記の参考資料の項にあるリンクを使用してください。
図1. イーサネットLANの非フレーム化T1/E1 WANに対するブリッジのブロックダイアグラム
表1. イーサネットLANの非フレーム化T1/E1 WANに対するブリッジの部品リスト
Device | Part Count | Description | Vendor |
DS33Z11 | 1 | 3.3V/1.8V single-port Ethernet-to-serial interface | Maxim Integrated |
DS21348 | 1 | 3.3V single-port T1/E1 line interface unit (LIU) | Maxim Integrated |
DP83846A | 1 | 3.3V single-port 10/100 Ethernet transceiver | National Semiconductor |
MT48LCM32B2 | 1 | 3.3V 128Mb SDRAM | Micron Technology |
Microcontroller | 1 | 3.3V 8- or 16-bit microcontroller | Various |
NTH089AA3-25.0000 | 1 | 25.000MHz oscillator, 3.3V | Saronix |
NTH089AA3-1.5440 | 1 | 1.544MHz oscillator, 3.3V | Saronix |
NTH089AA3-2.0480 | 1 | 2.048MHz oscillator, 3.3V | Saronix |
H1012B or PE-68515L | 1 | 16-pin SMT 1:1CT 10/100Base-T transformer | Pulse Engineering |
TX1099 | 1 | 16-pin SMT multitap transformer | Pulse Engineering |
RJ-45 Jack | 2 | 8-Pin, RJ-45 right-angle jack | Various |
Power supply/connector | 1 | Power-supply circuitry | Various |
Resistor | Pullup and bias resistors | Various | |
Capacitor | Power and decoupling capacitors | Various | |
LED | Power, LAN, and WAN connection indication | Various |
参考資料
LANとWANのブリッジ設計に関してさらに質問があれば、Telecommunication Application support teamまで、Eメール telecom.support@maximintegrated.com、または電話972-371-6555にお問い合わせください(英語のみの対応となります)。
参考資料
For further questions on the LAN-to-WAN bridge design, please contact the Analog Tech Support Team.