PWMを増幅してバッファされたリニア信号に変換する回路
要約
単純な回路で、低電圧のPWM信号を増幅してバッファされたリニア出力に変換します。ファンの速度調整を目的としたこの回路は、3.3V入力によって、12Vファンをリニアに制御することができます。
マキシムは、温度の関数としてファンの速度を制御するためのPWM出力を備えたさまざまなファン速度コントローラを製造しています。これらのコントローラは、ファンへの電力のオン/オフを繰り返すことによって動作します。デューティサイクルによってファンの速度を設定します。多くの状況では、ファン速度コントローラ用の標準的なアプリケーション回路で十分です。ただし、一部の状況においてはファンの変調によって可聴ノイズが発生するため、ファンに定電力を供給することが必要となります。
ファンの電源のオン/オフを繰り返すことによってノイズがあまりにも大きくなる場合は、図1の回路を検討してください。このケースでは、BJT (Q1)とPMOS FET (Q2)の相補するペアによってリニア増幅器を作成します。
図1. 単純な回路は、低電圧PWM信号を増幅してバッファされたリニア出力に変換します。
この回路は、次の方法で動作します。Q1のPNPのベースはアンプへの非反転入力で、NPNのエミッタは反転入力です。PNPにはエミッタフォロワとしてバイアスをかけ、NPNはエミッタフォロワ及び初期の利得素子として使用されます。PNPとNPNは、ほぼ同じ電流密度と温度で動作するため、2つの入力電圧は互いに追従します。反転入力から流れ出る電流はNPNコレクタにミラーリングされ、抵抗R2の両端に電圧降下を生じます。R2両端の電圧降下は、Q2のVGSを駆動し、Q2のVGSはQ2のドレインで増幅されます(アンプ出力)。出力が十分な電圧にまで上昇すると、反転入力の電流がほぼゼロになり、このポイントにおいて、アンプは安定した動作ポイントに達したことになります。
指定されたアンプには、約100mVの出力オフセットがあり、これは、R3両端の電圧降下を強制的にQ2のVGSスレッショルドにする必要があるためです。この出力オフセットは、ファン速度の制御という目的のアプリケーションを考えた場合、重要ではありません。アンプは+4の利得で構成されており、これは、PWM信号が100%のデューティサイクルに近づいたときに、3.3VのPWM信号を取り込んで12Vの最大出力振幅にまでレベルシフトするのに適しています。
相補するデュアルの構造を備えているため、CMXT3946をQ1に選択しましたが、性能面でほとんど低下しないディスクリートのトランジスタに置き換えることができます。ZXM61P02 PMOS FETは、ほとんどのシングルファンに適しており、800mWの最大電力損失によって6V出力で133mAまで、ファンを駆動することができます。ほとんどのファンは、ほぼ抵抗成分のように動作するため、12Vでピーク電流が250mA以下のファンを駆動することができます。当然ながら、全動作範囲においてファンを測定し、電力損失がPMOS FETの仕様内であることを確認する必要があります。複数のファンまたは高電流のファンを駆動している場合は、SOIC MOSFETは図に示すSOT23デバイスと置き換える必要があります。
図示した回路には、入力フィルタの値を記載していません。少なくともPWM周波数よりも20倍低いカットオフ周波数1 / [6.28 × R × C]を選択し、出力でのPWMリップルを低減してください。100kΩという大きな抵抗値は、回路の入力インピーダンスが高いので、許容可能です。