AN-1305: ADIS16445/ADIS16448 機械的設計のガイドラインと例
はじめに
ADIS16445 とADIS16448 は低背型の完全に較正済みMEMS 慣性計測装置(IMU)です。IMU パッケージの上面図を図1 に示します。上面には4 個の取付け穴があり、この部分には、取付けハードウェアの全体的な高さを調整するための段差が設けられています。また、取付け穴にはM2×0.4mm または2-56 のネジ用の十分なクリアランスが確保されています。
図1. ADIS16448AMLZ、上面図
図 2 はこのパッケージの下面形状で、内部センサーを支持する基板がアルミニウム・ハウジングの底面よりも高く張り出しています。ハードウェアの取付け時に皿ネジを使用して高さを最小限に抑えることができるよう、下面側の取付け穴入口部分に皿穴加工が施されています。
図2. ADIS16448AMLZ、下面図
最良事例
ジャイロスコープのバイアス再現性を最良の状態に維持するため、ADIS16445 またはADIS16448 の取付け方法を決める際は、以下のガイドラインに従ってください。
- 取付け力をネジの位置に集中させる。
- 基板に力が直接加わらないようにする。
- 基板と接するエッジ部分を除き、パッケージのリッド部分に取付け圧力が加わらないようにする。
- 取付けハードウェアにかける締付けトルクは常に28 インチ・オンスとする。
- 電気コネクタに外部的な力が加わらないようにする。
コネクタアップ取付け
コネクタを上に向けた状態での取付け例を図3 に示します。この例では、ブラケット(ADIS16IMU2/PCBZ に付属)を取付け面上に置き、その上にADIS16445 またはADIS16448 デバイスを取り付けます。このブラケットは、IMUのアルミニウム・ハウジングの下面側エッジとのみ接触します。ブラケットには、取付けネジを通すための穴が設けられています。
図 3. コネクタアップ取付けの例
ブラケットの構造
コネクタアップ取付け方法の使用時にブラケットを使用する主な目的は、ADIS16445 またはADIS16448 を基板に直接接触させないようにしながら、アルミニウム・ハウジングの下面側エッジ全体に取付け力を分散させることです。このブラケットの概念図を図4 に示します。ブラケットには、IMU のアルミニウム・ハウジングの下面側エッジとの機械的接触を適切に保つことができるように、取付け用の段差が設けられています。この種の構造ではシステム・ベースプレートの一部とすることも可能で、その場合、別のブラケットは不要になります。
図 4. ブラケットの形状
プリント回路基板の構造
図3 では、電気接続用のコネクタ(Mating Connector)が、フレキシブル・ケーブル・アセンブリの一部である固定基板上に取り付けられています。この特別な基板はADIS16445 またはADIS16448 に取り付けられるだけの十分な幅があり、取付けネジと接続ピン用の貫通穴が設けられており、電気コネクタに、底突きによる余分な力や不均等な力がかからないようになっています。この方法では、取付けハードウェアがPCB を所定の位置に保持するので、大きな動的慣性力がかかる条件下でも確実な接続を保証します。PCB の設計情報を図5 と図6 に示します。
図 5. 固定PCB の構造:コネクタ/穴の位置
図 6. コネクタ(Mating Connector)のPCB パターン
コネクタダウン取付け
コネクタを下に向けた取付け方法の概念図を図7 に示します。この方法では図8 に示すように、システム・ベースプレートのかさ上げ部分に置いたPCB にコネクタ(Mating Connector)を取り付けます。ADIS16445 またはADIS16448 パッケージの反対側(PCB 上に乗っていない側)の取付け用段差部分は、2 個の機械的スペーサで支持します。この主な目的は、ベースプレートとパッケージの上面が接触しないように、IMU をベースプレート表面から浮かせることです。このタイプの取付け方法を使用する際のいくつかの基本的なガイドラインを以下に示します。
- スペーサの高さは、図8 に示すように、PCB 表面からベースプレートの低い方の面までの距離と同じにする。
- 円筒状スペーサの最大直径は、取付け段差部分の最小寸法に合わせるために4.3mm とする。
- 取付け穴入口部分には皿穴加工が施されているので、取付けネジの頭をハウジングに完全に埋め込むことができ、最終的なソリューションの高さを最小限に抑えられる。
- 4 本の取付けネジはすべて28 インチ・オンスの強さで締め付ける。
- ベースプレートのタップ穴位置を決定するには、ADIS16445 またはADIS16448 のパッケージ図面に示される取付け穴位置の公称寸法を使用する。
- 取付けネジが通る際に穴と接触しないように、PCB の貫通穴は最小直径を2.85mm とする。
- 最初に ADIS16445 またはADIS16448 を固定し、次に可能であれば、PCB をベースプレートに固定する。これにより、電気コネクタに加わる外部的な力を減じることができる。
図 7. コネクタダウン取付けの概念図
図 8. ブラケットおよびスペーサの詳細図
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