パワー・システム・マネージメント(PSM)
パワー・システム・マネージメント(PSM)デバイスは、デジタル PMBus/SMBus/I2C インターフェース・ベースの制御、テレメトリ、ブラックボックス型故障記録などの機能をアナログ DC/DC パワー・コンバータに追加し、以下のような高レベルの能力をパワー・システムに提供します。
- 電源のソフトウェア管理
- 電圧、電流、電力、温度のデジタル・モニタリングとデータ記録
- 複数の POL 電源のトリミング、マージニング、シーケンシング、監視、故障記録/管理
- 設定パラメータのオンザフライ調整
- パワー・システムのリモート監視と制御

PSM を使用する理由
システム・レベルの利点
- 消費電力:システム負荷/トラフィックに対する消費電力を監視、予測し、電力領域での消費電力対性能の最適化、負荷制限、電源電圧の微調整を行います。
- 信頼性: 時間と温度変化に伴う電源の精密調整、継続的モニタリング、基板故障ログと EEPROM 故障ログの相関付け(ブラックボックス・レコーダ)によって、基板の信頼性を向上させます。
- 故障の予測: 基板の状態をリアルタイムでモニタし、経年劣化と交換時期を予測することによって故障を回避します。
- メンテナンス: ファームウェアを介して現場でシステムをアップグレードし、パワー・システムをリモート制御します。
設計レベルの利点
- PSM は、ラピッド・プロトタイピングとハードウェア微調整のソフトウェア・モデルを提供します。
- 複数レールのトリミング、マージニング、シーケンシング、監視、故障記録/管理、モニタを 1 つの製品で容易に行うことができます。
- 基板のマージン設定による信頼性の向上、生産量の増大、FPGA タイミングのテストを実現します。
- コストのかかるハードウェアの再設計を回避して、市場投入までの時間を短縮します。
- 基板レベルのあらゆる診断情報にアクセスできます。
- ディスクリート回路から省スペースの集積化ソリューションに移行できます。
PSM の利点
パワー・システム・マネージメント製品は、以下のような最先端の機能を提供します。
- 業界標準 PMBus デジタル・インターフェースを使用して電源専門の技術者が設計した全機能内蔵型ソリューションをすぐに利用できます。
- 温度範囲で精度±0.25% の電源出力トリミング、マージニング、モニタリングを行います。
- 広範な製品で構成された包括的ポートフォリオ(詳細は後述の「PSM 製品のタイプ」を参照)。
- LTpowerPlay GUI: リモート・デバッグ機能と組込みヘルプ機能を備えたエンジニアリング・レベルの開発環境。コード作成は不要です。
- I2C/SMBus デジタル・インターフェースを介した PMBus 準拠のコマンド。
- 自律動作: ソフトウェア・コーディングは不要です。
- さまざまなデバイス間のシーケンシングと故障管理の連携を実現します。
PSM の製品タイプ
PSM には 2 つの製品タイプがあります。
- パワー・システム・マネージャ: イネーブル機能とトリム機能を備えた調整式 POL(Point-of-Load)電源の管理を行います。スイッチング・レギュレータにもリニア・レギュレータ(LDO)にも対応します。既存のパワー・システムを使用しながら、トリミング(±0.25% 精度)、マージニング、シーケンシング、故障記録、テレメトリ(VIN、VOUT、IOUT、温度、故障データ収集)といった機能を追加します。
- パワー・システム・マネージメント機能を備えた DC/DC コンバータ: DC/DC 変換用の高速アナログ・ループを持ち、デジタル・テレメトリ機能や制御機能に対応する IC または µModule デバイスです。VOUT、ILIM、OV/UV レベル、周波数、ランプ・レート、シーケンシング時間遅延、マージニングなどのパラメータを設定できます。また、VIN、IIN、VOUT、IOUT、POUT、デューティ・サイクル、温度、故障などのパラメータのデータ読出しが可能です。