AD8221 - FAQ

単電源でうまく動かない

Q:  単電源5V、REFはGND接続の条件で、入力0~10mV位まで、ゲイン設定値によらず出力が0.6V位の値が続きます。オフセットとしては大きすぎる値だと思うのですが、何故でしょうか。 また狙った増幅度を得ることが出来ません。

A:  AD8221は±2.3V~±18V電源で動作しますが、+5V電源で動作させた場合には入出力電圧範囲が制限されます。入力信号は+2.5Vを基準とした信号とする必要があります。また+2.5Vの低インピーダンスの電圧でREF端子を駆動し、出力を+2.5V基準で動作させる必要があります。

OPアンプの利得を減衰で使用したい

Q:   ゲインを0.5倍から0.3倍程度(減衰)で、反転アンプを構成しようとしていますが、オフセットドリフト性能、その他に問題は生じませんか。

A:   反転増幅回路であれば基本的には問題ありません。注意点はゲインと言うよりもむしろ抵抗のマッチングになると思いますので、減衰でも増幅するときと同様にオフセットの影響になりうる抵抗値のマッチングに注意してください。 また、抵抗が比較的悪い温度係数を持っている場合は抵抗のドリフトに影響する事が考えられますので、そちらもご注意ください。

OPアンプをコンパレータとして使用したい

Q:   OP497を例にしますが、このICをコンパレータとして使用しているのですが、-側は-4Vぐらい出るのですが、+側は0.8∼3.6Vぐらいに振れてしまいます。 OP497の入力は、+- ともアンプからの出力を直でつないでいます。 出力は、トランジスタですが、外しても電圧に変わりありません。 REF電圧は0.3Vになります。 他のOPアンプだと、±4Vぐらい振れます。

A:   OP497をコンパレータとして使用した場合には幾つかの問題点があります。
一番問題となるのは入力に差動電圧を制限するための保護回路としてクランプダイオードが使用されていることです。また保護回路が動作した時に入力電流を制限するために抵抗が使用されております。従いOP497をコンパレータとして使用した場合、この保護回路を通じて比較する信号間に電流が流れ、比較信号に影響を与える場合があります。また入力の保護抵抗のバラツキは保護抵抗に流れる電流による電圧降下の差の要因となり誤差の要因となります。
アンプをコンパレータとして使用される場合には入力に差動電圧の保護回路が使用されていない製品、または保護電圧が比較電圧より高い製品をご使用下さい。

供給電源電圧精度は?

Q:   OPアンプの供給電源電圧精度がわかりません。±15Vは±いくらでしょうか?

A:   電源電圧±3Vから±18Vで動作するOPアンプはその範囲内で動作します。なおデータシート上の仕様は規定された条件で測定、記載されています。

IC内蔵保護回路

Q:    OPアンプ出力端子のIC内蔵保護回路を教えてください。

A:   汎用OPアンプICにつきましては、入出力あるいは電源ピンなどの区別なく、全ピンにESDプロテクション・ダイオードが挿入されております。 これは寄生ダイオードではなく、各ピンをESDから保護するために付けられたもので、ジャンクション・アイソレーション・タイプのプロセスに見られるサブストレート起因の寄生トランジスタと異なるものです。アンプ出力端子にも、このESDプロテクション・ダイオードは接続されております。このダイオードは、一般的にサージ電圧・電流から素子を保護する目的があり、定常的に入力をクランプするためのものではありません。

OPアンプを片電源で使用する場合の最大電圧

Q:   OPアンプの電源仕様に関して、たとえば仕様で5V~24Vの場合、 片側電源(+15V)で使用したいのですが、片側では+12VがMAXでしょうか?

A:  片側電源(単電源)においては、MAX+24Vまで使用可能です。+Vs --Vs電源端子間電圧が動作範囲を満たしていれば、問題ありません。

OPアンプを誤接続し電源を与えずに出力端子に電圧を加えてしまったが損傷してしまったか?

Q:  ± オペアンプOP07に、OPアンプ電源用のDC電源と、OPアンプ出力電圧確認用のマルチメータを接続して、動作確認をしようとしたところ、接続を誤り、OPアンプの電源回路に電圧確認用マルチメータを接続し、OPアンプ出力回路にDC電源(出力電圧7V、電流リミッタ0.8A)を接続してしまいました。配線を正しく接続し直した後、OPアンプの出力を確認したところ、正常に動作しているように思われます。OPアンプOP07の電源オフ時に、OP07出力端子(6ピン)に上記電圧を与えてしまいましたが、OP07にストレスを与えていないのでしょうか?

A:   この条件は、OP07の電源端子に電圧が印加されない状態で、OPアンプの出力端子の電圧を印加したということですので、基本的には、アンプの内部に異常な電圧の印加がされたことになります。使用されています応用回路の状態によりますが、アンプの入力端子の電圧が(出力端子に印加された電圧によって)印加されるような状態の場合、OP07の絶対最大定格の「Note 1 For supply voltages less than ±22 V, the absolute maximum input voltage is equal to the supply voltage.」の条件になりますので、何らかの損傷が生じて可能性があります。ただし(あくまで一般的な話として、保証ではありませんが)、出力側への印加は、IC内部の出力段のトランジスタの耐圧、また回路内の抵抗の耐量によります。これらは、比較的丈夫に設計されます。
また、OPアンプの入力端子の抵抗を介して接続されている場合、入力端子に流れ込む電流が制限されますので、破損に至らない可能性が高まります。従って、そのような状態の場合、動作を維持している可能性が高まります。

ゲインが高いと動作が安定しない

Q:   AD8065を使用して減算回路を組んだのですが、動作が安定しません。AD8065のデータシートを見るとゲインが10までの特性データしか記載されていませんが、このオペアンプをゲイン200程度で使用することは可能なのでしょうか?また、ゲイン200で使用する場合に何か使用上の注意点等はありますでしょうか?

A:   電圧帰還型OPアンプである、AD8065をゲイン200で使用された場合、周波数帯域が200KHz程度にまで低下します。またループゲインの制限により誤差が増加しますので、AD8065をこのようなゲインで使用することはお勧めできません。これは電圧帰還型OPアンプに共通して言えることです。

熱電対をつないだ計装アンプの入力をグランド接続するのはなぜ?

Q:   計装アンプを使用して熱電対信号の 増幅回路を構成しています。 計装アンプのデータシートを見ますと、-側の信号をアナログGNDに接続されていますが、熱電対の場合この様にしなければならないのでしょうか? また、その場合どのような理由でそのようになるのでしょうか?

A:   熱電対をAD624の入力とした場合、+または-の入力端子をGNDに接続します。これはアンプに入力バイアス電流をリターンパスするためで、この処理が行われないと入力バイアス電流が入力端子にチャージされて入力電位が変化し、入力電圧範囲を超えてしまい誤動作の要因となります。 アンプの入力端子の設置は、直接GNDに接続するかまたは抵抗経由でGNDに接続する事が出来ます。抵抗を使用した場合には、入力バイアス電流による電圧により、入力端子の電圧が入力範囲を超えないような抵抗値とする必要があります。

*接地型の熱電対を使用した場合には、このような処置は必要ありませんが、熱電対を接地した点とアンプ間の同相電圧が規定の範囲を超えないようにする必要があります。

*Webに参考資料:AN-937がございますのでご参照ください。

計装アンプのゲイン設定に可変抵抗を使用可能か

Q:  ゲイン選択にポテンショメータ(Vishay Spectrol Model 535)を使用したいと思います。この抵抗値のレンジは実測で5Ωから50kΩで、AD8221の指定レンジからやや外れてしまうのですが、これを接続した場合、故障する可能性はありますか?最低値が50Ωとなるよう、抵抗を足す方がよいのでしょうか?今回はAD8221を4機使用します。ゲインを全機同時に変更したいのですが、上記ポテンショメータ1個にまとめて結線しても構いませんか?

A:  AD8221のゲイン幅は1~1000までですが、5Ω~50kΩの可変抵抗をつけて壊れることはありません。ゲイン1001倍以上の設定の場合、出力値の保証はありません。もし気になる場合は、44Ω程度の固定抵抗とこの可変抵抗を直列につないでください。
また、Rgには通常時{(+IN)-(-IN)}/Rgの電流が流れます。AD8221それぞれにゲイン調整抵抗をつけることをお勧めします。更には周辺からのノイズの影響を受けないようにRgはピンの近くに配置していただくことをお勧めいたします。

計装アンプの出力電圧範囲の限界

Q:  計装アンプ(例えばAD623)を用いてローサイドでのシャント抵抗器を用いた電流測定をしています。
両電源では問題なく動作しますが、単電源で動かすと、どのゲインでも1.3V以上を出力しません。電源電圧は5Vです。計装アンプの入力条件と出力の範囲はどのように考えればよいのでしょうか。

A:  AD623英語データシートの等価回路のように入力段のアンプ(A1,A2)と出力段のアンプ(A3)で構成されています。AD623を単電源で動作させたときアンプ:A1,A2は-の電圧は出力できませんの で入力信号の同相電圧およびゲインにより出力できる信号レベルが制限されます。 その他の計装アンプでも、内部の回路構成により出力の範囲が変わります。Webの設計ツール 「計装アンプ用ダイヤモンド・プロット・ツール」により動作可能か確認できますので、ご利用ください。

出力がデータシートの振幅に足りません

Q:   負荷抵抗はデータシートの条件より軽いのに、出力に振幅がデータシートの値より小さなところまでしか出ません。考えられる原因は何でしょう。

A:   計装アンプ(差動アンプ)は入力の同相電圧とその設定ゲインにより、出力電圧範囲に制限があります。同相電圧がマイナス側あるいはプラス側電源に近づくと、出力振幅範囲が小さくなります。 詳しくはそれぞれのデータシートを確認してください。ハイサイド・モニタやローサイド・モニタとして使用する際には注意して下さい。

熱電対をつないだ計装アンプの入力をグランド接続するのはなぜ?

Q:     計装アンプを使用して熱電対信号の 増幅回路を構成しています。 計装アンプのデータシートを見ますと、-側の信号をアナログGNDに接続されていますが、熱電対の場合この様にしなければならないのでしょうか? また、その場合どのような理由でそのようになるのでしょうか?

A:      熱電対をAD624の入力とした場合、+または-の入力端子をGNDに接続します。これはアンプに入力バイアス電流をリターンパスするためで、この処理が行われないと入力バイアス電流が入力端子にチャージされて入力電位が変化し、入力電圧範囲を超えてしまい誤動作の要因となります。 アンプの入力端子の設置は、直接GNDに接続するかまたは抵抗経由でGNDに接続する事が出来ます。抵抗を使用した場合には、入力バイアス電流による電圧により、入力端子の電圧が入力範囲を超えないような抵抗値とする必要があります。

*接地型の熱電対を使用した場合には、このような処置は必要ありませんが、熱電対を接地した点とアンプ間の同相電圧が規定の範囲を超えないようにする必要があります。

*Webに参考資料:AN-937がございますのでご参照ください。

電源が遮断したときに入力信号がある場合

Q:   動作パターンとして、DC5V入力時とバッテリ駆動時の2パターンある回路での動作です。 DC5V入力時は、OPアンプは電源供給され動作しています。バッテリ駆動時にはOPアンプの電源は遮断されます。バッテリ駆動時にはバッテリにて動作している他の回路(オペアンプ)より信号線がつながっていて、電源遮断中のOPアンプに対し入力ピンに電圧がかかります。この時、OPアンプの入力に電圧がかかっても問題ないでしょうか。また、電圧がかかることにより電流がリークすることはないでしょうか。

A:   英語データシートのABSOLUTE MAXIMUM RATINGSに、Input Common-Mode Voltage ±VS という項目があります。そちらを参照してください。
つまり、この場合は電源が0Vのときに入力が0V以上になりますのでICのダメージにつながります。

計装アンプとシャント抵抗を使った電流計測回路の注意点

Q:   計装アンプを使用して電流をモニター出来るような回路を検討しております。 構成としては電流検出用の抵抗の両端電圧を計装アンプの入力に入れて出力をOPアンプでバッファし、ADCに入力します。 AD8226のゲインの値でも変わるとは思いますがどのくらいの差動電圧を取り出せるものなのでしょうか。 例えば抵抗両端の電圧が数mVでも正確に取る事が出来ますでしょうか。電圧が小さければゲインを高くしてもノイズ等に埋もれずに精度が出るのしょうか。

A:   計装アンプは、もともと数mVあるいはそれ以下の信号電圧(たとえば熱電対やロードセルの出力)を増幅、信号処理するためのアンプです。 したがって1mV以下の信号でも、動作条件を正しく設計してやれば正確に増幅することが可能です。 検出する電流信号の同相電位がどの位置にあるのかによりますが、ハイサイドやローサイドの電流検出であれば、アンプの入力同相電圧レンジと出力電圧の関係に注意が必要です。データシートには、電源電圧と入力同相電圧、出力電圧の関係が示されたグラフが、条件を変えて多数示されているので参考にしてください。電源電圧以内の入力信号でも、条件によっては正しく増幅、出力されないことがあります。たとえばAD8226では、±5V電源でゲイン100倍で使用した場合、入力の同相電圧が0V(グランド)の時、出力は-5Vから+5Vぐらいの電源電圧近くまでの信号を、正確に増幅できますが、同じ電源でも、同相電圧が-4Vになると出力は、-3Vから+3Vぐらいまでしか正確に扱うことはできなくなります。使用する回路とその信号レンジを考量して、動作条件を設計してください。またノイズに関しては、入力換算(RTI)のノイズと出力換算(RTO)のノイズ2種類があるの注意してください。RTIのノイズは、ゲイン倍されて出力されます。RTOのノイズは、設定ゲインに関わらず同じ価が出力の現れます。これらの値が、測定精度にどれぐらい影響するかは、ADCの入力でどれぐらいのSN比が必要かで判断します。ただし、ADC入力時に(あるいは計装アンプの出力)にフィルタリングすることで、このSN比を向上させることができます。ADCのアンチエリアス・フィルターとしても必要です。電流センス抵抗の値が非常に大きいと(数10MΩ以上であるとアンプの入力バイアス電流やその電流性ノイズが問題になりますが、通常の電流検出では、問題にならないレベルです。

出力短絡電流の絶対最大定格が無限大?

Q:  AD8221のデータシート上、絶対最大定格にて出力短絡電流=無限大、また仕様にて、出力の短絡電流が18mAとなっています。 これらは出力を短絡しての使用が可能で、短絡時はTypで18mA流れるということでしょうか。

A:  AD8221の出力の短絡電流は18mA(typ)で短絡時間の制限はありませんが、短絡により内部消費電力が増加し、ジャンクション温度が上昇しますのでジャンクション温度が150℃を超えない様にするために、動作周囲温度等による制限が発生します。