AD7794 - FAQ

コンバータのアナログ部とデジタル部の分離

Q:  回路のアナログ部とデジタル部分離したいと考えています。 アナログ用とデジタル用で全く別の電源を用意し、コンバータのREF+、REF–、 AINはアナログ電源に、VDD/GND/通信インターフェースはデジタル電源に、というような配線をしても問題ないでしょうか。

A:  VDDはアナログ電源とすることをお勧めいたします。またREF+/REF–/AINにはGND – 0.3V ≤ (REF+, REF–, AIN) ≤ VDD+0.3Vの制限がありますので、別電源とした場合、この制限を越える状態が発生しないように注意してください。

変換とデータ出力が同時の場合、出力されるデータは?

Q:  たとえばAD7898をMODE-1で使用した場合、外部クロックで変換とデータ出力が同時に行われますが、このとき出力するデータは今変換しているデータか、それとも前回変換したデータなのでしょうか。

A:   Mode1では確かに変換とデ-タの読み出しを同時に行えますが、ADCの基本としては、変換が完全に終了するまでは、正しいデ-タが、内部のレジスタには収まりません。 よってAD7898のMode0のような、変換、終了、デ-タ読み出しといった一連の動作には変わりありません。
さて、Mode1では、変換とデ-ダの読み出しを同時に行うことで、より高速に動作されることができます。 しかしながら、基本動作はMode0の考え方と同じですから、変換したデ-タは変換終了後ADC内部の出力レジスタに格納されます。 その次のCSが立下り(次の変換動作)になったとき、内部に格納された変換デ-タが出力されます。

完全差動型のADCをシングルエンドのアナログ入力信号で駆動したい

Q:  完全差動型のADCでは、データシートによると、シングルエンドのアナログ入力信号の場合は、差動変換ドライバの使用が推奨されています。シングルエンド信号を直接A/Dコンバータ入力端子(IN+)に接続した場合、ADCコードはどのようになりますか?(2の補数で出力されないのでしょうか?)

A:   完全差動型の入力構成で設計されているADC、たとえばAD7690では、本来はシングルエンド入力信号に対しての使用を推奨する製品ではありません。AD7690のデータシートにもありますようにコモンモード入力レンジはVref/2までしかなく、仮に"-入力"をGNDに接続して+側にシングルで入力した場合、5Vリファレンス使用時に、入力信号電圧2.5Vまでしか精度が保証されません。基本的にADC内部で信号がシングルか差動かを判別するロジカルな機能はなく、出力データフォーマットは一定です。

未使用ロジック入力は?

Q:   /CONVSTやALERT、/BUSY信号を使用しない場合の処理を教えてください。

A:   未使用ロジック入力はノイズの影響でエッジが発生することを避けるためPull upなどでLOGIC high固定してください。

What are some general design considerations when using the AD779x ADC?

AD779x general design considerations.

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FAQs for the AD779x family.

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内蔵アンプをEnableにすると変換誤差が大きくなる

Q:   AIN3にADCの基準電圧を接続し、AIN1に、アナログ入力電圧を入れております。(AIN1(-)とAIN3(-)は未使用) ADCの内部バッファ有効とすると、AD変換結果が入力電圧より下がり、バッファを無効にすると、正常にAD変換され、アナログ入力電圧値とイコールになります。バッファ有効でも、AIN1(-),AIN3(-)を接続すると、正常に変換されます。

A:   二つ可能性があります。ADCの各入力ペア(AIN1+ / AIN1-、AIN2+ / AIN2-, AIN3+ / AIN3-)は差動入力となっていますが、この各入力をバッファーアンプに通すと、このバッファーアンプの入力のバイアス電流が入力ピンに流れます。 そのため各入力には、バイアス電流のリターン経路が必要になります。各入力に接続される信号源のグランドがこのリターン経路になりますが、これらのグランドがひとつに接続されていないと、誤差が発生します。 次に入力の電圧がどれぐらいかということです。このADCは、内蔵のバッファーアンプや計装アンプ(Instrumentation Amp)を使用しないと(パスさせると)、入力はほとんど0V~電源電圧まで扱うことができますが、これらのアンプを経由するとこの範囲が上下の動作範囲が狭まります。入力してアンプが壊れるということはありませんが、アンプの動作が頭打ちとなり、正確に信号を伝送できません。入力電圧範囲がこの中にかかっていますと、変換のフルスケールが頭打ちとなり、変換誤差となります。この2点を確認してください。

ADコンバ-タの差動入力とは何?

Q:   差動入力を持つADコンバータのデータシート内にある「Common-Mode Input Range」とは、どういったものなのでしょうか? 入力IN+、IN-には、VRef/2までの電圧しか入れられないという事なのでしょうか?

A:   ADコンバータの差動入力(Differential Input)とは、ふたつの入力(IN+とIN-)の電圧の差を、入力信号とするというものです。 例えばIN+=+1.5V、IN-=+0.5Vであれば、これは入力が+1Vと認識されます。逆にIN+=+0.5V、IN-=+1.5Vであれば、これは-1Vと認識されます。たとえばAD7687というADコンバータの入力レンジは、±Vref電圧までですから、Vref=+5で使用すると、入力は±5Vになります。極論するとIN+が+100VでIN-が+95Vでも、差動入力は+5VでOKののはずですが、そこにはやはり入力の耐圧の制限があります。この制限が、データシートのスペックに記されている、Absolute Input VoltageとCommon-mode Input Voltageのふたつです。Abs inputは、このふたつの入力ピンにかけることができる最大の電圧値を、グランドからの電圧値で示したものです。これを見るとAD7687の場合は、-0.1V~Vref+0.1Vとなっているので、Vref=+5Vの時は、IN+、IN-にそれぞれ加えることができる電圧は、-0.1V~+5.1Vということになります。次にふたつの入力信号の動作の中点である同相電圧にも制限があります。同相電圧とは簡単にいうと、ふたつの信号電圧の平均値(中点)電圧です。データシート1頁目の図に書いてある入力信号の絵で、その動作の中心になっている電圧です。これが0V~Vref/2+0.1Vということですから、Vref=5Vの時は、0V~+2.6Vということになります。仮にこの電圧を越えても(例えばIN+=IN-=5Vになると同相電圧は+5Vになる)デバイスが破壊することはありませんが、スペックシートに記載された性能は保証されません。同相電圧はふたつの入力の平均値で、通常の差動信号では中点にあって動かないもの、すなわちIN+とIN-は同相電圧中心に逆方向に同じ振幅の信号と想定されています。これらの二つの規定は、デバイスごとにデータシートに示されているので、設計する際に十分確認してください。

複数入力を持つADコンバータのデータ読み出しの考え方

Q:   例えばAD7798の変換速度 500SPS(470SPS)を使って 搭載された3CH分の変換を行いたいのですが シングル変換 連続変換 連続読み出しのどれを使っても 500SPS(2mSEC)以上の周期が掛かってしまいます。 tSETTLE(ms)の影響かもしれませんが ADCの読み出しソフトの作り方で、何か良い変換シーケンス等はありますか? 現在、AD7798はマイコンのSPIに接続し SCLK5MHz (200nSEC)で 読み出しを行っています。

A:   一般的なシグマデルタADコンバータは、内部モジュレータとそのあとのデジタルフィルターの関係で、ステップ入力に対しどうしても一定のセトリング時間を必要とします。アナログスイッチで入力の信号を切り替えたとき、この入力はステップ信号となり、それを正確にトラッキングするために、セトリング時間が必要になります。例示されたAD7798の場合500Hzのレートで4mSかかります。したがってスイッチを切り替えてから4mS以上たたなければ、正確な変換結果が得られません。しかしデータレートそのものは500Hzで出力されるので、これを読み取るデジタル側は、2mSより高速に動作します。SCLKは最速でで200nS / サイクルで動作しますので、16ビット読み出しには3.2uS、8ビット書き込みであればその半分で可能です。前後のセットアップやホールド時間、余裕時間を入れても1サイクル5uSで可能です。同じchを連側変換するのであれば、2mSで十分可能です。しかし各chを変換ごとにスキャンするなど、入力を切りかえる動作をした場合は、内部のアーキテクチャ上mS単位のセトリング時間がかかります。この切り替えによるchスキャンを行いたいときは、より高速のシグマデルタADCを使用するか、FastSettlingの機能がついたシグマデルタ(例:AD7731 など)、あるいは入力切り替えに制約のない逐次比較型のADCを使う必要があります。あるいはシグマデルタを3ch使用して常時同じchの変換を行い、データの読み取り側で処理するなどの方法が考えられます。