AD7610 - FAQ

コンバータのアナログ部とデジタル部の分離

Q:  回路のアナログ部とデジタル部分離したいと考えています。 アナログ用とデジタル用で全く別の電源を用意し、コンバータのREF+、REF–、 AINはアナログ電源に、VDD/GND/通信インターフェースはデジタル電源に、というような配線をしても問題ないでしょうか。

A:  VDDはアナログ電源とすることをお勧めいたします。またREF+/REF–/AINにはGND – 0.3V ≤ (REF+, REF–, AIN) ≤ VDD+0.3Vの制限がありますので、別電源とした場合、この制限を越える状態が発生しないように注意してください。

完全差動型のADCをシングルエンドのアナログ入力信号で駆動したい

Q:  完全差動型のADCでは、データシートによると、シングルエンドのアナログ入力信号の場合は、差動変換ドライバの使用が推奨されています。シングルエンド信号を直接A/Dコンバータ入力端子(IN+)に接続した場合、ADCコードはどのようになりますか?(2の補数で出力されないのでしょうか?)

A:   完全差動型の入力構成で設計されているADC、たとえばAD7690では、本来はシングルエンド入力信号に対しての使用を推奨する製品ではありません。AD7690のデータシートにもありますようにコモンモード入力レンジはVref/2までしかなく、仮に"-入力"をGNDに接続して+側にシングルで入力した場合、5Vリファレンス使用時に、入力信号電圧2.5Vまでしか精度が保証されません。基本的にADC内部で信号がシングルか差動かを判別するロジカルな機能はなく、出力データフォーマットは一定です。

未使用ロジック入力は?

Q:   /CONVSTやALERT、/BUSY信号を使用しない場合の処理を教えてください。

A:   未使用ロジック入力はノイズの影響でエッジが発生することを避けるためPull upなどでLOGIC high固定してください。

ADCの電源電圧を変えることで精度の違いはでてくるか

Q:   AD7610にて0~5VのユニポーラでAD変換値を見る場合、電源(VCC,VEE)が±15Vと +7Vで、得られる数値の精度に違いはありますか。それともリファレンスの電圧さえ安定していれば違いはないのでしょうか。

A:   VEEとVCCは、アナログ入力部分のアンプ回路に使用されています。5V入力に対してミニマムの7V電源(VEE=0V)を使用すると、特にAC性能に影響が出ます。データーシートに記述されているように、THD(歪み特性)などのAC性能が多少劣化します。アンプの性能のぎりぎりのところで使用する形になるので、このようなことが起こります。7V電源が負荷変動などの影響でマイナス側に変位すると、アンプの歪みが大きくなり、やはり結果に影響しますので注意が必要です。リファレンスは、その先のADCコア回路の部分で使用されるため、直接この性能部分には関わりません。もちろん±15Vでも7Vでもリファレンスの安定度は、重要です。特にDC特性(INLやDNL)に影響を与えます。